粋狂いな人々・弐式

スーパーロボット大戦・涅槃 第伍話 『世界の賽の目』 前編


第伍話 『世界の賽の目』 前編


ジャス「副長から聞きました。災難でしたね」
 ジャスがセツヤに語りかける。セツヤ達が昨日の買い物から帰ってきてから慌しかったためにろくにジャスと会話ができていなかった。
セツヤ「いつもよりはマシかな。民間人がLFOを持っていることに驚いたけどね」
ジャス「LFOは元々がリフティングが進化したような代物ですから、規制には色々と反発があるんです。それを差し引いても危険であることは否めませんがね。・・・・・・・・・さて、艦長に言っても仕方ありませんがとりあえずこっちの報告も聞いて貰いますよ」
 嫌味を混ぜつつも笑みをこぼしながらジャスはレポートを一見する。
セツヤ「はいはい。どうせ俺には理解できませんって。一応聞きますがね」
ジャス「はい。セブンスウェル現象の調査結果ですが、過去のデータと比較してトラパーの逆転現象が確認されました。数十年前に塔州連合の実験基地においてのセブンスェル現象のデータと酷似しています。現段階においてその発生原因は不明。サマー・オブ・ラブの発端となる可能性は現段階では何とも言えません」
セツヤ「・・・・・・・・・それで?」
ジャス「セカンドスウェル現象発生地の報告は以上です」
セツヤ「発生地の報告はね。もったいぶるのは君の悪い癖だね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・それで?」
 セツヤはジャスを買っている。そのセツヤの期待に間違いなく答える参謀がこのジャス・カーペンターその人なのだ。セツヤの子の言動もこの男はある程度理解できていた。
ジャス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・発生地周辺の飛行場、もしくはその飛行場設置の監視カメラの全てのデータを検分しました。その結果、面白い船が映っていました。塔州連合加盟の艦船ということでしたがその証明書はまったくのニセモノでした」
 そう言ってジャスはセツヤに一枚の写真を見せる。それには白と黄緑色が鮮やかな鳥のような巡洋艦が映っていた。
セツヤ「この船が原因かな?」
ジャス「可能性は高いです。この空船の正式名称は月光号。非公式ですが3年前に塔州連合の基地から奪取された当時の最新鋭艦です」
セツヤ「確かに塔州連合からすれば恥さらしってことになるのか。それで? その泥棒さんたちについてのデータは?」
ジャス「こちらです」
 ジャスはセツヤに写真を3枚手渡しする。その写真に写った人物を一見したセツヤは再び凝視してから反応を示す。
セツヤ「ユメコくーーん」
ユメコ「はーーい。何ですかいな?」
セツヤ「これ」
ユメコ「んん? ・・・・・・・・・あ、この人」
ジャス「艦長も副長もご存知ですか?」
セツヤ「ソースケ君も見ているはずだから、後で彼にも確認取っておいて。この男、昨日会ったよ。確か・・・・・・・・・ホランドとタルホって呼ばれてたっけ? それとこの子はエウレカちゃん?」
ユメコ「私は男と女の子のほうは覚えてませんよ。こっちの露出の多い人はそう呼ばれていましたね」
ジャス「一応説明しますが、この男の名前はホランド・ノヴァク。ゲッコーステイトと呼ばれているリフ集団のリーダーです。元々は塔州連合特殊部隊SOFに所属していた凄腕です。少女はエウレカ。年齢不明。経歴不明。名前、容姿以外のデータなし。ホランド同様に特殊部隊SOFです。こちらの女はタルホ・ユーキ。元軍情報部所属」
セツヤ「・・・・・・・・・穏やかじゃないねぇ。元特殊部隊員2名と情報部。軍艦奪取してセブンスウェルかい?」
ジャス「同感です。・・・・・・・・・更にですがもう1つ面白い写真があります。これです」
 セツヤは手渡しで渡された写真を見る。セツヤの肩越しにユメコもそれを見た。そこに映っていたのはLFOだった。白とワインレッドのポイントカラー。
セツヤ「これも見た。これに助けられたよ」
ジャス「ニルヴァーシュtype ZEROと呼ばれる機体です。最古のLFOと呼ばれながらも軍用機であるモンスーノやターミナスよりもハイスペックなLFOです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・十数年前のサマー・オブ・ラブの発端はこの機体と言われています」
セツヤ「・・・・・・・・・質問。そんな物騒な機体をなぜ塔州連合は放置した?」
ジャス「不明です。ですが予測はできます。見解の相違があったのではないかと思います」
セツヤ「見解の相違? 誰と誰の?」
ジャス「3年前に情報部に所属していた将官が幽閉されたという情報があります。この情報から州軍は事情をある程度把握してはいたがその情報の有用性、もしくは確固たる自信を持つことができなかった。そのため、情報の発信源である情報部将官を幽閉したという仮説が成り立ちます」
 ジャスの言葉にユメコがおつむを指先でトントンと突いて天井を見ながら言葉を発する。
ユメコ「今考えれば州軍の判断は間違っていたといえるわけだけど、私は仕方ないと思うな。アーキタイプのLFOというのは専門筋には知られてはいたけれども、セブンスウェル現象がサマー・オブ・ラブとの関連付けは正直微妙と考えても仕方ないからさ」
ジャス「はい。副長の言葉の方が的を得ている気がします」
セツヤ「そのとっ捕まった将官さんは貧乏くじだね。ジャス君のことだ。・・・・・・・・・報告書は出来上がっているんでしょ?」
ジャス「勿論です。艦長に書類仕事は期待していません」
セツヤ「分かってるねぇ。それをサイード司令経由でミスリル上層部に送っておいて」
ジャス「了解です。・・・・・・・・・さて、タイムテーブル通りなら次の目的地は日本ですが、東京ですか? それとも舞浜?」
 ジャスの質問にセツヤは間髪をいれずに答える。
セツヤ「俺は東京にしようと思っている。舞浜周辺ってオケアノスがいるから問題ないよ。ダナンはロシア近辺らしいからどっちかって言えば東京の方が心配かな」
ジャス「オケアノス、シマ司令ですか」
セツヤ「シマは問題ない。自分の足元を見れる奴だよ。多少無愛想ではあるけどね」
ユメコ「私はちょっと苦手かな。シマ司令もミナト副指令も。真面目すぎだよ」
セツヤ「だよねぇ。俺を見習って欲しい」
ジャス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌です」
セツヤ「否定したな? せめて性格を折半すれば位のことは言えないのかい」
ジャス「それも嫌です」
セツヤ「・・・・・・・・・この性悪参謀が」
 いつもの会話を風伯首脳はブリッジで繰り広げていた。


 巡航速度。雲に化けている風伯はそのままに目的地の東京に向かっていた。セツヤはそのころ、九朗といた。風伯での戦闘におけるデモンベインの使いどころを説明したいたのだ。デモンベインは機動兵器の中でも最も運用の難しい部類の機体に入る。世界的にも有名な覇道財閥の看板をしょっているために滅多なことでは使えない。ミスリルはその理念上、連合軍、州軍をも攻撃を開始することはできるが覇道がそこに加われば、その責任の全ては矢面に立っている覇道瑠璃に全てしわ寄せが行ってしまう。それを大十字九朗、特にアルアジフに説明していた。
セツヤ「ということ。理解したかい?」
ジャス「あの、説明したのは自分ですが?」
 ジャスのつっこみをセツヤは無視する。
アルアジフ「われらが戦うのはブラックロッジじゃぞ!? 小娘のことなど考えて入られん」
九朗「だからさアル、そこは我慢しろよ。セツヤさんだってわざわざ説明してくれてんだから。俺らが下手な場面で戦うと覇道のお嬢さんに迷惑が掛かるんだって。俺らが原因で覇道が潰れてみろ。誰がデモンベインの修理をするんだ」
アルアジフ「ここですれば良かろう!? ここのメカニックは随分優秀と聞くぞ?」
セツヤ「むーーーり! 風伯にデモンベインは入りません」
ジャス「それもあります。さらに補足するなら、無理にでもデモンベインの修理をするとするならば艦船ドックレベルの設備と風伯の3倍から4倍の整備のできる人員。それと魔道師が軽く1ダースは必要になるでしょう。どれもこれも現実的ではありません」
アルアジフ「むーー」
セツヤ「我慢してよアルちゃん。ガルズオルムや堕天翅族、羅螺軍になら参戦もできるさ。世界共通の敵だからね」
アルアジフ「九朗はいいのか? 戦うために童たちはこの船に乗っておるのじゃぞ?」
九朗「そうだけどさ、仕方ないだろう? セツヤさんは間違いなく俺たちの恩人だし、その恩人にこんなに親切に説明されちゃさ。納得しないわけにはいかないと思うぜ?」
アルアジフ「うむむむ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった。童たちが戦う場所の選択はそちらに任る」
 弱々しく言うアルの頭をセツヤは年頃の女の子の頭を撫でるようにワシャワシャと撫でた。
アルアジフ「ふにゃ! 何をする!」
セツヤ「いやぁー、俺は聞き分けの良い子は好きだからなぁ」
アルアジフ「童は貴様よりも遥かに年上じゃ! 年長者の頭を撫でるな」
セツヤ「・・・・・・・・・覚えておこう。忘れるだろうけど」
アルアジフ「意味ないわ!!」
 セツヤとアルの会話の途中にセツヤとジャスの情報端末に通信が入る。艦内電話のようだ。
セツヤ「ん・・・・・・・・・、何かあった?」
 腕時計型のテレビ電話にエーデが映る。
エーデ『はい。ミスリルからの緊急通信が入っています。ティル・ナ・ノーグ経由です』
セツヤ「わかった。ジャス君と直ぐに行く」
エーデ『お願いします』
 通信が切れるやいなや、ジャスト共にセツヤは立ち上がる。
セツヤ「お話中に失礼。ちょっと用事が入ったみたいだ。もうちょっとお喋りしたかったけど勘弁して」
九朗「相変わらず忙しいですね」
セツヤ「腐っても艦長だからね。馬車馬のように働くさ」
九朗「何か用があったらなんでも言ってください。タダメシ喰らいは願い避けなんで」
セツヤ「そんな心配は必要ない。これから働いてもらうよ。しっかりとね」
九朗「はい!」
 セツヤは手を振って九朗とアルの部屋を後にする。


 急ぎ足でセツヤとジャスがブリッジに入ってくる。
セツヤ「お待たせ。通信出して」
エーデ「はい」
 セツヤの注文に早速エーデが応じる。ブリッジにメインモニターにセツヤの直属の上司であるイブン・サイードが映る。
サイード『忙しそうだなクヌギ。結構、結構』
セツヤ「超過手当て届けの書き方覚えましたよ? 出しておきますね♪」
サイード『黙れ、エセ軍人が。超過するほど貴様が働いているものか』
セツヤ「・・・・・・・・・相も変わらずお元気そうで何よりです」
サイード『ああ。貴様もいつも通りだな。戦時中で引き締まっているかと思ったが思い過ごしだったわ。・・・・・・・・・貴様と談話している暇がないのでな、悪いが早速任務の話をさせてもらう』
セツヤ「はっ」
 セツヤが真面目な表情になる。サイードは上官でセツヤが唯一尊敬している人間なのだ。真面目な話になれば真面目な態度になるのはセツヤにとって最大限の礼儀の表れだった。
サイード『細かな指令書は後で送るが西太平洋の海上ドッグ都市、ハイドシティが占拠されたという情報が入った。此処は連邦、州軍共同のガルズオルムの反抗拠点の1つでもあり、連邦はこの件の重大さを加味し、奪還部隊の編成に取り掛かっている』
セツヤ「? その部隊に我々が協力するんですか?」
サイード『いいや。儂が杞憂しているのはそこではない。連邦の動きが妙なのだ』
セツヤ「?? と言うと?」
サイード『連邦の出撃編成が1個大隊の出撃が決定、予備兵力にもう一大隊、更にVF-Xレイブンズの参入も打診された。この編成はおかし過ぎる。占拠者の中には機動兵器が多数確認されているがこの半分でも多すぎるくらいじゃ』
セツヤ「・・・・・・・・・別の目的があると?」
サイード『そうわしは踏んでおる。・・・・・・・・・貴様達風伯にはミスリルの協力者と接触してもらう。その後占拠されたハイドシティに急行』
セツヤ「・・・・・・・・・? テロリストに協力しろと?」
サイード『わからん。正直、上層部も判断できずにいる。よって現場である風伯の判断を尊重することにする。極力戦闘に出ないことが最も好ましいが、現場の判断で的確かつ適切な行動を求める。・・・・・・・・・いや、止めるか。貴様流に言うならば心で動け。虐殺が起こればそれを止めろ。発端がどちらであれだ』
 難しいことを言う。率直にセツヤはそう思った。しかし、こんなことは早々いえるものではない。ある程度柔軟性があるとはいえミスリルにも立場がある。これを無視しての行動などはできるわけがない。サイードがセツヤのことを信頼しきっているから出せる司令でもあった。これほどに難解極まる指令であってもセツヤの表情は晴れていた。
セツヤ「了解しました」
サイード『・・・・・・・・・もう1つ。これは言いにくいことだが、貴様達が連邦に対する戦闘行動の必要性が発生した場合、その戦闘においてはデモンベインの参戦は許可できない。あれは覇道の旗だ。それを汚すことはミスリル瓦解の一因になりえる。留意せよ』
セツヤ「了解です。それでは当艦は協力者との接触のため接触ポイントの向かいます」
サイード『うむ。健闘を祈る。・・・・・・・・・・・・・・・・・・それとクヌギ、これはまだ未確認の情報ではあるが占拠している者たちの声明が出ている。要求は都市の自治権の容認など無理難題ではあるがなによりも問題なのはその声明が・・・・・・・・・ブラックレインボーの名前で公布されたらしい』
セツヤ「ブラックレインボー!? ティモシー・ダルダントン! 彼の行動なんですか!?」
サイード『それは協力者のほうが詳しいだろう。彼らの言葉も行動の基準にせよ』
セツヤ「はい。お心遣い感謝します」
サイード『心にもないことを言うな。・・・・・・・・・無事に帰って来い』
セツヤ「はい」
 通信が切れる。セツヤが脱力気味に艦長席に座る。一拍おいてから立ち上がり、
セツヤ「マリアさん、接触ポイントは?」
マリア「通信来ました。ポイントLA103」
ユージーン「到着時間を概算します。・・・・・・・・・巡航速度で75分程度」
セツヤ「あまり時間はない。第2戦速に移行。ジュリア君、突っ走るよ」
ジュリア「了解! 突っ走ります!」
 風伯が動き出す。


 ポイントLA103。海洋では景色に違いは一切ない。見える場所一面海原だった。接触予定時刻が迫ってくる。遅れなければ問題ないと考えている者がほとんどなのであまり気にはならないようだ。セツヤは湯飲みに煎れられた緑茶を飲みながら安穏としていた。時間も押し迫りレーダーに気を払うユージーンがようやく口を開く。
ユージーン「レーダーに反応! 数2。恐らくバルキリーです。機体照合開始します」
ユメコ「マリアさん、未確認機に通信。お客様かどうか確かめて」
マリア「了解しました」
 ここから数秒のラグ。まずユージーンが口を開く。
ユージーン「照合完了。VF-19Aエクスカリバーと・・・・・・・・・えっ? ぶ、VF-01Sバルキリーです」
 肉眼でも確認できるのだろう。メインモニターの脇に小さく2機のバルキリーが映る。1つはエメラルドグリーンでセツヤも戦ったことのあるVF-19Aそれと赤く染められたVF-01Sが映し出された。このユージーンの言葉にまずジャスが反応を示す。
ジャス「VF-01S!? 軍でも使用されていない30年以上前の機体だぞ!? 傑作機には違いないけど」
ユメコ「骨董品だねぇ。実物なんて博物館にしかないと思ってたよ」
セツヤ「それでマリアさん、お客様かな?」
マリア「・・・・・・・・・暗証コード確認。お客様です」
ユメコ「カタパルトオープン。ガイドビーコン出します」
 そこでセツヤは立ち上がる。
セツヤ「さてさて、お客様と会合といきますか。早い方がいいしね」
ジャス「自分も行きます」
セツヤ「ん。ジャス君は来て。ユメコ君、ここは任せる」
ユメコ「はーーーい」


 セツヤたちが格納庫に来ると既にパイロットが降りてきていた。お客様と言って入るがとりあえずSRTもSTTも警戒だけはしている。整備班の人間はこの場にはいなかった。セツヤとジャスがパイロットスーツを着込んで前を歩いている・・・・・・・・・女性に寄って行く。
セツヤ「周りが武装しているのはお許しください。ようこそ風伯へ」
女性「当然の行動だ。このくらいでなくては共に行動などできるわけがない。貴様がセツヤ・クヌギ艦長か?」
セツヤ「はい。いかにも俺がセツヤ・クヌギです。お見知りおきを。お2人のお名前を頂戴できますか?」
女性「私はビンディランスの代表、マリアフォキナ・バンローズだ。こっちは・・・・・・・・・・・・・・・・・・ギリアム・アングレート。顔合わせは初めてだろう?」
セツヤ「ん? どういう意味です?」
マリアフォキナ「言葉通りだ。なぁ、ギリアム」
ギリアム「確かに顔合わせは初めてだがこの機体に見覚えがあるだろう?」
 顔に傷のあるいかにも軍人と言う風貌の男だ。セツヤはもう一度ギリアムの指差したエクスカリバーを一瞥する。
セツヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかして、レイブンズの機体? あなたもしかしてあのときの隊長さん?」
ギリアム「あきれた男だ。今の今まで気付かなかったとは」
セツヤ「あーー、すいません。・・・・・・・・・そうですか。あのときの隊長さん。・・・・・・・・・俺の見立て以上にものの分かる人と認識を改めてもいいんですか?」
 含み笑い。しかしながらもそれは嫌味でもなんでもない。心底喜んでいるような笑いだった。ギリアムは一瞬だが言葉に詰まる。
ギリアム「あ、ああ。不本意ではあるがな。今はビンディランスのギリアムだ」
 ある程度の自己紹介と認識の定着が済んだと思ったのだろう。あまり余計な時間がないのは確かだ。ジャスが話を遮った。
ジャス「話の途中で失礼します。私は風伯の参謀を勤めていますジャス・カーペンター。バンローズ代表とアングレート氏に至急問いたいことが多々あります。申し訳ありませんがこの問題が解決しないことには我々の選択肢が絞れません。少なくとも現時点では絞れずにいます。ご協力の程を」
マリアフォキナ「なんだ、参謀の方が理路整然としているな。ティモシーの話ではセツヤ・クヌギは随分と曲者と聞いていたのだがな。まぁ、そんな話はいい。ミスリルはどの程度まで話を理解しているかをまず聞きたい。その上で説明を始めよう」
ジャス「分かりました。では、自分から。ハイドシティをテロリストが占拠していると言う情報を連邦、州軍経由でミスリルがキャッチしました。しかしながら、軍の動きと編成に奇怪であることが確認されています。その行動から予想するに都市の殲滅の可能性を我々は捨て切れていません。なお、テロリストがブラックレインボーと言う情報も未確認ながらも得ています。我々は連邦の軍事行動が民間人に多大なる危害を加えるという状況下でのみ独自で行動を開始し、テロリストの行動が民間人の生命に著しく危険を及ぼすという場合は連邦軍の行動に対して賛同を表し、その戦闘行動に一切の介入をしない。この選択肢で今風伯は揺れています。勿論、お2人の言動次第で他の選択肢が出てくる可能性がありますが」
マリアフォキナ「さすがミスリルだ。これは嫌味でもなんでもない。忌憚のない言葉だ」
ジャス「ありがとうございます」
マリアフォキナ「こちらの情報と言うのは連邦経由の情報ではなくテロリストと海上都市の市民からの情報だ。ハイドシティは連邦の隷属都市とまで揶揄される海上都市で、ほとんど強制的に人員が武器製造に借り出されている。その都市で製造される武装各種を危険と判断したブラックレインボーが人民の解放を軍に要求。武装決起を行った」
ジャス「!? 都市の占拠は捏造?」
マリアフォキナ「ラクテンスの情報操作が行われているのだろう」
セツヤ「ラクテンス?」
マリアフォキナ「ラクテンスとは世界中の軍高官、政治家などで構成された世界の秩序を守ることを理念とした一局主導体制主義者たちの集まりだ。連邦、州軍を影で操っている」
セツヤ「お偉いさん達の妄念をかなえるための団体さんってこと」
マリアフォキナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、今はそれでいい。我々ビンディランスの情報では軍が総力を挙げてハイドシティの残存兵力であるブラックレインボーの部隊を急襲すると伝わっているが私はそれだけでとどまるとは思っていない。ラクテンスは見せしめのためにハイドシティとその市民を抹殺するのではないかと考えている」
セツヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・向こうさんの兵力についての情報は貰っています。やっぱりブラックレインボーが主犯なんですね?」
マリアフォキナ「ああ。だが、主犯といわれるようなことをしているとは思えない。ティモシーたちブラックレインボーは人民の先導に立って抗議行動をしていただけだ。ラクテンスの情報操作で完全にテロリスト呼ばわりされている。周辺の基地からの攻撃はどうにか退けているがな。これもティモシーでなければとっくに全滅していたはずだ」
セツヤ「・・・・・・・・・うわ。えげつな。どこの絶対王政だよ。はーー、こうなってくると俺ら軍とやりあわないといけなくなるね」
ジャス「そうですね。バンローズ代表の言葉が真実ならばですが。・・・・・・・・・失礼」
マリアフォキナ「構わない。それにしてもギリアム、この男、本当に実力者なのか? ミスリルが条件次第で風伯のセツヤ・クヌギを矢面に立たせるというから練った作戦だが、肝心のクヌギがこんな抜けた男だとは」
セツヤ「初対面で言うことではないですが失礼な」
 まったく失礼そうに言わないところがセツヤカラーが出ている。だが、マリアフォキナの言葉に同調するのがジャス・カーペンターその人だった。
ジャス「もっと言ってやってください。ウチの艦長は本当にもう。手綱のない暴れ馬のようにもうあっちへこっちへ。部下の苦労なんて知ったこっちゃないんですから」
マリアフォキナ「この男ならばそうかも知れんな」
 セツヤは恨めしげにジャスの後頭部を見つめながら
セツヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いい部下を持って俺は幸せだよ」
 とだけ呟く。その呟きが聞こえたかどうかは分からないのだが。知ってか知らずかマリアフォキナがセツヤに迫る。
マリアフォキナ「それで? そちらはどうするつもりなのだ? こちらの情報はデータでも送るが概ね今説明したもので全てだ。裏づけも必要なら譲渡する用意がある」
 真面目な質問。それをセツヤは数拍考えてから口を開く。
セツヤ「んーーー、正直微妙なんですよね。そちらの言葉が本当かどうか、こちらには確かめる術がない。どうすれば確かめられるかと考えたら答えはひとつしかないですよね」
マリアフォキナ「ほう。連邦の出方を見ると言うことか?」
セツヤ「ご名答。俺個人としてはマリアフォキナ・バンローズ代表は知りませんが自分の行動を直視できるギリアムさんとティモシー代表の見識は信じています。万全を期す為に後手には回りますが現段階としては協力すると取って貰って構いません」
 理路整然とセツヤが答える。しかも先ほどとは全く変わらずにぼんやりとだ。これにマリアフォキナは驚きの表情を見せる。
ギリアム「双方の代表同士の会談だからな。口は出さないようにしていたが、この男は俺も買っている。抜けているとしても有事の際には卓越した技術を発揮するタイプだ。周りを見てみろマリアフォキナ。ここの兵士はよく訓練されている。これほどの練度の兵士が育つにはそれ相応の指揮官が必要になってくる。俺の中に迷いはない」
マリアフォキナ「・・・・・・・・・お前ほどの男にそこまで言わせるか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・すまなかったクヌギ艦長。無礼を詫びさせてもらおう」
セツヤ「えーー、ここに来て態度変えるんですか? 止めてくださいよ。あ、それと俺のこと艦長と呼ばないでください。大佐も嫌です。呼び捨て希望。概ね風伯の人間はセツヤさんと呼びますが」
マリアフォキナ「?? 軍規はどうなる」
セツヤ「知ったこっちゃありません。必要な奴だけ使えばいい」
マリアフォキナ「奇妙な男だ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・私はクヌギと呼ばせてもらおう」
セツヤ「結構です」
マリアフォキナ「今のところ、我々ビンディランスは風伯側の回答に満足している。微力ではあるが私もギリアムも戦闘を行うつもりでいる。風伯側と歩調は合わせるつもりでいるから使え」
セツヤ「だってさ」
 セツヤがジャスの肩をぽんと叩く。
ジャス「はい。頭に入れておきます」
マリアフォキナ「ん? クヌギ、貴様が戦闘指揮を取るのではないのか?」
セツヤ「いいえ。俺はパイロットですから。戦闘指揮は参謀、操艦は副長」
ギリアム「恐らく事実だ」
マリアフォキナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・つくづく奇妙な男だ」
セツヤ「どーーも」
 立ち話での会談が終わる。マリアフォキナにとってこのセツヤ・クヌギの気性はどうにも理解し難いものであるらしい。


 ジャスがブリッジに戻ってくる。彼は基本的に戦闘指揮官だ。パイロットの細かなブリーフィングは彼の仕事でユメコと話し合わせた上で機動兵器の行動を決める。
ジャス「ブリーフィング終了しました。実動隊の配置も完了しました」
セツヤ「ご苦労さん。悪かったねブリーフィングに顔を出せないで」
ジャス「いえ、滞りはありませんでしたので。・・・・・・・・・嬉しい誤算はありましたが」
セツヤ「ギリアムさん?」
ジャス「わかっていたんですか?」
セツヤ「彼は俺よりも遥かに実直で有能だ。ジャス君と波長は格段に合うはずだよ」
 余所見をしながらシレッと言う。粋なのか適当なのかジャスにも理解しがたい反応だ。
ジャス「はい。こちらの作戦をほぼ察知していたかのようでした。風伯を動かさないこともです」
セツヤ「だろうねぇ。マリアフォキナ代表は少々融通の効かないところがありそうだったけど、ギリアムさんは生粋だからね。SRTもSTTも学ぶところが大きいと思うよ?」
ジャス「ですが、本当にいいんですか? 風伯は戦闘不参加で」
セツヤ「ギリギリまでは出したくないね。連邦に見られるのも後々いちゃもんをつける口実を与えるのもイヤ。サイード司令も内心では思っているだろうよ」
ユメコ「私もそう思うな。司令は基本的に部下思いだから多少自分達に不利益があっても生存率を下げるようなことは言えなかったんだろうね。・・・・・・・・・でも、本当にギリギリまでですよ?」
セツヤ「当然だよ。そのときの判断は任せる」
ユメコ「了解」
セツヤ「あーー、マリアさん、ネージュはいい子にしてる?」
 作戦前にも関わらず、和んだ会話をしているのもう風伯の慣習になってきている。ブリッジだけではなく整備班から兵装班にまで伝染している為に始末に終えない。
マリア「はい。ネージュちゃんとってもいい子にしてますよ。セツヤさんに貰った服を喜んでいるみたいでした。ちょっと感情がわかり難いですけど」
セツヤ「いい傾向だね」
エーデ「セツヤさんって子供好きなんですか?」
セツヤ「子供? あー、嫌いじゃないね。懐かれるほうだと思うよ?」
マリア・ジュリア・ユージーン「「「そーでしょうね」」」
 一同の声がハモる。
セツヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしてそう思う?」
マリア「セツヤさん子供っぽいですから」
ジュリア「そうそう。我侭なところがそっくりですよね」
エーデ「そうかなぁ」
ユージーン「自分はセツヤさんが子供っぽいとは思いませんけど、細やかに優しいと思いますから」
セツヤ「あっ、ユージーン君! 良い事言った! 内部査定期待して♪」
ユメコ「うわーー、簡単」
ジャス「同感です。子供に懐かれるって自分で言う人いますか? 自分は艦長が初めてですよ」
セツヤ「俺はいいの。・・・・・・・・・そろそろかな? さぁ、お仕事モードに戻ろうか。ユージーン君、そろそろ風伯でも確認できるころだろ?」
 セツヤのお仕事モードと言う言葉に何の疑いもなく全員が従う。自分の持ち場のコンソールに目を戻す。そこに余念は一切ない。
ユージーン「監視衛星からの情報以外の映像は肉眼で監視できる映像のみです。一応、今回は介入するまでは隠密作戦とのことですので連邦側にこちらの位置を知られるようなパッシブレーダーは使えませんので」
 風伯の大気圏内迷彩システム、電磁干渉領域発生システムのおかげで雲に化けた風伯によって戦闘行動に出ない限りは見つかることはないだろう。その状況で戦闘行動を見守っている。
セツヤ「オーライ。さて、あまり疑う余地はないけどどうなるかな?」
ユメコ「連邦の投入した戦力は異常ですからね」
 セツヤたちの目下、連邦軍が今にも攻撃を開始する。機動兵器と輸送機が多数出撃している。
セツヤ「ユージーン君、大体でいいから敵の部隊の内訳と機体数をカウントして。配置は参謀に転送」
ユージーン「了解。もうやってます」
セツヤ「マリアさんとエーデ君は連邦の無線の傍受。お役所の皆様にバレないようにね」
マリア・エーデ「「了解です」」
 戦闘が始まる。状況がマリア、エーデ、ユージーンの3人から刻々と伝えられる。
ユージーン「概算ですが現在の出撃部隊の内訳です。KLF、一個中隊、12機。バルキリー、二個中隊、25機。市街戦仕様のアームスレイブ一個中隊、13機」
マリア「後方部隊への支援はまだ出されていません。ハイドシティに立てこもった部隊はバルキリー部隊が中心となって足止めをしている模様です」
エーデ「艦砲射撃は今現在確認できません。命令も出されていない模様です」
セツヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・妙じゃない?」
ユメコ「レイブンズですか?」
ジャス「確かに。あれは先頭切って出撃することで士気の向上も見込まれるのですが出ていませんね」
セツヤ「士気如何こうもあるんだけどね、艦砲支援射撃もない。ミサイル攻撃もない。だけど機動兵器で力押し。これだけの部隊が揃っているのにだよ? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・エーデ君、マルスさんに通信入れて。エルシュナイデのパッシブレーダーの使用を限定許可。周囲100キロの機影確認してもらって」
エーデ「? 了解」
ユメコ「成程。それはありそうな話ですね」
ジャス「この大規模部隊が陽動だと?」
セツヤ「ありえない話じゃないよね。猛攻らしからぬ猛攻は基本的に陽動と昔からそう相場が決まっているんだよ。・・・・・・・・・けども、問題はそこじゃない。何が出てくるか」
ユメコ「ヘビが出るか、蛇が出るか♪」
ジャス「言い得て妙ですね」
エーデ「ローチス中尉からの返信です。東南東30キロに未確認の機影3! 詳細な座標も送られてきました」
セツヤ「エーデ君はそのまま監視衛星でそのポイントの映像を索敵! ユージーン君は大至急機体照合」
エーデ・ユージーン「了解!」
 押し黙るセツヤの見守る中、エーデとユージーンがせっせと作業を続ける。一分経つか経たないかでその結果が出る。
ユージーン「機体照合完了しました。・・・・・・・・・VF-19Aエクスカリバー2機、と・・・・・・・・・VB-6? ケ、ケーニッヒモンスターです!!」
ユメコ「!?」
 ユージーンの反応にジャスがガタッと音を立てて立ち上がる。
ジャス「ケーニッヒモンスター!!? それもレイブンズの護衛で?」
セツヤ「ジャス君、説明」
ジャス「ケーニッヒモンスター、スペースシャトル型の重爆撃バルキリーです。鈍重ではありますがそれを引いても余りある火力があります。レールガンを装備した戦艦クラスの主砲を持った機体です。おおよそ市街戦で使う兵器ではありません」
セツヤ「・・・・・・・・・俺はもう仕方ないと思うけど? 2人の意見は?」
 重いセツヤの言葉にユメコとジャスもまた重く答える。
ユメコ「異論ありません。少なくても一般市民にも知られていないケーニッヒモンスターが出てきた時点で決まりです」
ジャス「自分も副長と同意見です。悲しいかなバンローズ代表の言葉が証明された形になりましたが」
セツヤ「・・・・・・・・・ケースDを適用! 機動兵器部隊に通達。当艦のマリアフォキナさん、ギリアムさんにも臨戦態勢を取ってもらう。予定通り、現段階では当艦とデモンベイン限定で戦闘不参加。ポイントIP443で待機している部隊は発進用意。連邦、州軍共同部隊に対して一斉攻撃を開始させる。マルスさんの小隊は空戦中心にKLFに対応。マオさんの小隊は市街戦を展開させてアームスレイブに対応」
ジャス「艦長は・・・・・・・・・ケーニッヒモンスターですか?」
セツヤ「そのつもり。マリアさん、ケーニッヒモンスターの情報をブラックレインボー側にも流して。俺の名前でティモシー代表宛で」
マリア「了解」
セツヤ「一応性能差があるからマリアフォキナさんは待機。ギリアムさんは俺と一緒に出てもらう。その情報でティモシー代表も対応するだろうからその3人でレイブンズとケーニッヒモンスターに対応。ジャス君はリアルタイムでケーニッヒモンスターを監視して各部隊に警報を出して」
ジャス「了解です」
セツヤ「ユメコ君、一応風伯は戦闘不参加だけども部下の命が危ういときにはその限りじゃない。君の判断で限定条件の解除権を与える。・・・・・・・・・デモンベインは風伯以上に参戦機会はないだろうけど、それも君の判断で」
ユメコ「了解」
セツヤ「よし! 頼むよ」
ブリッジクルー「了解!!」


 格納庫のエトランゼに搭乗したセツヤに通信が入る。受信スイッチを押すセツヤ。その相手はマリアフォキナとギリアムだった。
セツヤ「あなた方の言うとおりになりましたよ。少々難敵も出てきましたがね」
ギリアム『ケーニッヒモンスターのことは聞いた。俺もマリアフォキナも完全に想定外だ』
マリアフォキナ『それで、私だけ待機と言うのはどういうことだクヌギ。余計な気を回すな』
セツヤ「あなたはビンディランスの代表です。そのへんは自覚しておいででしょう?」
ギリアム『クヌギ艦長の言うとおりだ。それに貴様は客人で今回は艦長の言葉に従うのだろう?』
マリアフォキナ『・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった』
ギリアム『それで、戦況はどうなっている?』
セツヤ「現段階で民間人への無差別な戦闘行動までは起こっていませんが、ケーニッヒモンスターが街に着けばどうなるか。到着しなくても劣勢になれば形振り構わなくなるでしょうね。勝機があるとするなれば予備兵力を編入させる合間にどれだけやれるかにあると思います。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ギリアムさん言いたいことが2つあります」
ギリアム『呼び捨てにしろと言うのは俺にはもう無理だ。体に軍人根性が染み付いてしまっている。それ以外なら善処しよう』
セツヤ「それも善処して欲しいんですけどね。・・・・・・・・・レイブンズの機体が確認されています」
ギリアム『杞憂だな。俺はもうレイブンズではない。己の意思でここにいる。その意思を通すためならば誰とでも戦える。それがたとえ嘗ての部下や戦友だとしてもだ』
セツヤ「・・・・・・・・・結構。失礼しました」
ギリアム『構わん』
 ギリアムとセツヤの会話が終わるタイミングで艦内放送が入る。
エーデ『今作戦で風伯は隠密行動を取っています。そのため発進シークエンスはタイプSを適用。カタパルトを使用することなくそのまま降下してください。予定噴射時間は機体によってタイミングが異なります。留意してください』
セツヤ「了解」
ギリアム『了解した』
エーデ『天候は雨。西北西に風速3です』
ギリアム『オペレーター、ミッションコードを教えてもらえるか? ブリーフィングでは聞きそびれたのでな』
 ギリアムの突然の言い出しにエーでは言葉が詰まる。
エーデ『ミッションコードですか?』
セツヤ「ギリアムさん、風伯でミッションコードはないんですが?」
ギリアム『そうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・なら、俺が決めても構わないな?』
セツヤ「?? はぁ、どうぞ」
ギリアム『SINGIN' IN THE RAINで登録してくれ』
エーデ『SINGIN' IN THE RAIN? 雨に歌えばですか?』
セツヤ「ジーン・ケリー。ミュージカルが趣味なんですか?」
ギリアム『! 無事に帰れたら話し相手にでもなってくれ』
セツヤ「俺は下手の横好きなだけですけどね」
 昇降機でエトランゼとバトロイドモードのエクスカリバーが風伯の外に出される。そして、その機体を固定しているアンカーが外される。
セツヤ「ヒュッケバインマークU・エトランゼ、エントリー!!」
ギリアム『VF-19Aエクスカリバー、エントリー!!』
 風伯からエース級の乗る機体2機が飛び降り、戦線へと赴く。




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