重心とは? トップページへ
考え方
「重心は軸足に残せ!」、この言葉はよく聞きますね。では、極端な方法ですが、全体重を軸足一本に乗せてみましょう。軸足一本で片足立ちでは、とても、スイングになりませんね。つまり、軸足に重心が100%ではダメだと言う事です。
他の項でも解説していますが、強い打球を打つためには、ボールの勢いをしっかり受け止めた上で弾き返すのがポイントです。簡単に言えば、ボールの勢いを受け止めるために、自分の体重も使うのです。当然、大型の選手の方が飛距離が出やすいですね。
凡才先生の現役時代の体重は61kgちょっとです。75kgが目標でしたので、沢山食べて、沢山筋トレしましたが、全く増えませんでした。高校2年の夏迄は、「体重が増えたらホームランバッターになろう」とも思っていましたが、いっこうに体重が増えないため、二塁打・三塁打を量産するロングヒッターを目指しました。
理由は簡単です。10割のパワーで打てばフェンスを越えるが、その分、打ち損ねも増えるからです。打率が下がったのでは意味がありませんから、打率を維持できる範囲でパワーコントロールする事にしたのです。
ウエイト(体重)が十分にある選手の場合は、若干、軸足に重心を多めにしても問題ありませんが、軽量の選手なら、打撃の瞬間に限って言えば、右足と左足の重心比率は、半々が理想的だと思いますし、更に、打撃の瞬間前後の重心バランスは、タイミングの取りかたと密接な関係にありますので、各自、自分に合ったやり方で良いと思います。
重心バランスが悪い時の症状と対策
重心が前に行き過ぎる
強い打球を打つ手段として、軸足を強く蹴りだしたり、スイングに、より多くの体重を乗せたい意識が強くて、体がどんどん前に行ったりしてしまいます。こんな経験は、あるのが普通で、学年やタイプに関係なく、不調な選手に多く見られます。そのため、これを防止するための理論も沢山あります。「重心は軸足に残せ!」も代表的な理論の一つです。
しかし、難しく考える必要はありません。用は、軸が出来ているかどうかですので、「軸を作って打つ」を意識して練習し、習慣にすれば良いのです。理論は、そのための手段でしかありませんので、理論を忠実に再現する必要はありません。自分に合ったイメージを見つけて、忘れないように、繰り返し練習すべきメニューにしておきましょう。
体が開く
これも、不調な選手に多い症状ですね。開いていると言われても、実際どのくらい開いているか分かりません。「重心が前に行き過ぎる」場合と違って、他人の指摘と自分の感覚が、かなりずれている事が多いのが特徴です。
しかし、体を開かないように意識しても、中々うまく行きませんね。凡才先生も、「体を開くな」と指導して上手く行ったためしがありません。そこで、発想の転換です。症状の多くは、打者がやろうとしている事の結果として発生しますので、やろうとする事を変えてみましょう。「体が開く症状」での具体的な特徴は、低めや外角などの、グリップから遠い位置が特に打てなくなりますので、ここを打つための練習をしてみましょう。
色んな方法がありますが、イメージですので、何が効果的かは個人差があります。
1)ステップする方の足を回転軸にする
ステップする方の足の位置を固定し(ステップする迄は、自由に動かして構いません)、軸足の力で体ごと外角に押し出します。ホーム修正が目的ですので、打った後に、勢いで軸足がベースの上に飛び出すくらいが良いでしょう。投手側の肩を開かなくても、捕手側の肩を出せば、かなり遠くまでバットが届きます。スイング速度は遅くなりますが、体重はしっかり乗せられるので、ボールをバットに乗せるだけでよく飛びます。外角に強い選手の多くが身に付けている技術ですので、覚えて損はありませんが、こればかりやっていると内角が弱くなりますので注意して下さい。
*この練習は、ステップする方の足でブレーキをかけ、軸足の力を外角のミートポイントにコントロールするのが目的ですので、重心が前に行き過ぎないように注意が必要です。
2)外にライナーを打つ
外角打ちの基本です。右打者なら一塁ベンチ方向、左打者なら三塁ベンチ方向に打つだけです。今回は、ホーム修正が目的ですので、地を這うような、低い打球を意識すると効果的です。
3)投手側の肩で狙いをつける
重症の選手には効果が得られない場合がありますが、軽症の選手ならこれだけで改善できる事があります。2ストライク前の狙い撃ちでも使える技術なので覚えて損はありません。
方法は単純で、バットを出す方向に、投手側の肩を向けて、狙いを付けてから打つだけです。選手によっては、「投手に少し背中を見せてから打つ」だったり、「投手に尻を見せてから打つ」だったり、意外なイメージがピタリとはまる事が多いものです。
ワンポイント - トスバッティング
重心バランスが良いと、打てる範囲も広くなります。重心バランスの良し悪しを判断する目安にトスバッティングがありますが、打率の高い選手はトスバッティングもうまい傾向にあります。そのため、トスバッティングの練習は、実際の打席と同じスタンスで行う必要がありますが、そうなっていない選手が多いようです。トスバッティングのためのスタンスでは意味がありません。実際の打席のイメージ作りに役立ちますので、重心バランスを意識し、軸を作りながら練習しましょう。