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一般的に、スランプに陥ると何か足りないと焦りがちですが、実際には逆である事が多いようです。ありがちな原因は、大まかに2種類あります。1つ目は、技術向上の際に起こりやすいスランプで、2つ目は、すりこみ不足です。
技術向上の際に起こりやすいスランプ
例えば、アウトコース打ちの苦手な選手が技術向上のためにアウトコース打ちの練習をするとします。当然、それまで苦手なのですから何かを変えようとするのですが、変えてはいけない所を変えてしまうと、それまで打てていたコースまで打てなくなってしまいます。さらに、調子を取り戻そうと、あれやこれやと変えてしまうのですが、その結果は、フォームを崩してしまい、回復困難な状態になってしまいます。
上級者にもよくありがちなスランプで、プロ野球選手のスランプの殆どがこれに該当します。さすがに一流と言われる選手程、復調が早いので、自分なりの復調の仕方を心得ているのでしょう。しかし、凡才がこうなると、あがくだけあがいて肝心な大会で悔いを残す事になりかねません。ですから、仮に打てないコースがあったとしても、大会前の修正には、リスクが大きい事を十分に考慮しなくてはなりません。できれば、理由を説明した上で、選手本人に判断してもらった方が良いでしょう。大きな修正は、大会に2ヶ月以上の期間があり、期間的に支障がない状態が望ましいでしょう。
すりこみ不足
すりこみとは、いわゆる体で覚えると言う事なのですが、この「体で覚える」を科学的に説明しておきましょう。人間は、体で覚えていない事は、大脳新皮質にある記憶と目などの五感から集まる情報を、前頭葉で判断し、体を動かします。しかし、体で覚えている事は、前頭葉を殆ど使うことなく、体を動かす事ができます。これは、同じ事を繰り返し行うことにより、大脳新皮質にある、ばらばらな記憶どうしが連結し、一つになった状態になる事で、前頭葉の判断を待つ事無く体を動かす事ができるようになるためです。一般的な表現で、条件反射と言えば分かりやすいでしょう。
大脳新皮質に有るばらばらな記憶どうしが完全に連結するためには、最低3週間は必要です。しかし、一つの事にそれぞれ3週間かけていたのでは、時間が足りません。そこで、時間短縮と実戦的技術の向上を両立させる必要があります。具体的には、一週目に時間をかけて取り組んだ事は、少ない時間でかまわないので、最低二週〜三週反復する事です。そして、余った時間を新たな練習に使いましょう。特に、打撃練習では、ばらばらに行う必要は有りません。一週目に時間をかけて取り組んだ事がストレートで、新たな取り組みがスライダーならば、一週目はストレートのみ、二週目はストレート2球スライダー1球の比率を目安にし、ストレートが上手く打てる状態を維持しながらスライダーの練習をするのが良いでしょう。高さやコースの練習も同様です。これをする事により、コースや球種への対応の仕方の違いを、理屈ではなく体が覚えてくれます。
この方法なら、良い所を維持しながら他の練習が出来ますので、大崩のリスクは少なくて済みます。大会が近づくと焦りがちですが、100点を目指せば0点のリスクがあり、成功率も低い事を覚えておきましょう。しかし、100点ではなく、80点を目指せば、成功率は飛躍的に向上しますので、大会が近づいたら、一部の、難易度の高い技術を切り捨てて、出来る事に自信が持てるような練習をしましょう。
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