キャッチボール(送球)                     トップページへ


 誰もが知る野球の基本中の基本ではありますが、どれ程重要かという意識には個人差がかなり有るようです。自分で凡才だと思う人は、キャッチボールの重要度の割合は全体の90%以上だと考え良いでしょう。逆に考えるとキャッチボールがしっかり出来れば、人並みの守備が出来るといえます。“細かな技術の前に”でも紹介しましたが、凡才は決して手を抜いてはいけません。手を抜こうと思っている人はいないと思いますが、手を抜かないとはどうゆう事なのか、確認してみましょう。

 人間の体は、直ぐには思い通りに動いてくれませんから、アップが必要です。アップといえばランニングですが、ここで一工夫しましょう。ひざをしっかり上げて腕を大きく振りましょう。キャッチボールの前に少しでも肩を温めるためです。

 キャッチボールは、故障を防ぐため近い距離から始めます。皆さんもそうしていますよね。凡才にとって要注意なのは、最初の近い距離です。最終的には相手の胸めがけて全力投球するわけですから、それをきちんとやる為の準備でなくてはなりません。この意識をしっかり持ってから始めなければ、十分なアップは出来ません。その日一日の出来が、これで決まるというくらい慎重にいきましょう。

 凡才はここで一工夫、逆再生方式が有効です。まず、足が投げる方向に一直線になっているか確認し、投げる瞬間の形を作ります。全力投球した時のイメージで利腕の肩を相手方向にしっかり出して、腕は相手方向に縦に振れるか、最後にボールを弾くための指は相手方向に向いているか確認し、肩・ひじ・手首の間接を柔らかく使い、相手方向に向かって、ゆっくり振り下ろしたり戻したりしてみます。イメージが出来たら、腕をいっぱいに戻した状態で、胸を中心に両肩をゆっくり逆回転します。この時、ボールを持った方が上、グラブを持った方が下になるように肩も腕が縦に振れるように、気をつけましょう。個人差がありますが、軸足の蹴りと、グラブを持った方の肘の引きでリズムを取ると、いい感じになる選手が多いようです。

 この時点では、距離が短いので腕の力はあまり必要ありません。山なりの球でかまわないので、腕はやわらかく大きく使いましょう。形が出来てきたら、少しずつ距離をとっていきます。この時、距離が開いた分を腕の力で補うのではなく、出来るだけ肩の反転を早くしていく事で補いましょう。グラブを持った方の肘の引きを速くしていけば、自然に速くなります。肩の回転で補いきれなくなったら、肩の反転で出てきた腕を(肘が出てきてから)送球方向にはじくようにして、少しずつ勢いを足していきましょう。

 更に距離が開き、遠く感じるようになったら、ワンステップしてかまわないので、肩を反転する時、送球方向に胸を突き出しましょう。コツは、少しでかまわないので、一瞬で行ことです。一瞬で行わないと効果がありません。この時、ボールよりも先に肘が出なくてはいけないので、背負い投げのようなイメージをすると、うまくいく選手が多いようです。(肘の引き出し方は、マー君こと、楽天の田中投手がとても上手なので、ぜひ、お手本にして下さい。)

 逆再生方式は、凡才にも分かりやすく、大変有効な方法ですが、これで全てうまく行くとは限りません。凡才先生が選手の個性に合わせて実践している指導方法を、いくつか紹介しましょう。

1) 投手の場合、相手方向の足を上げれば、無理に力を入れなくても、重力で自然に相手方向に重心移動できるので、しっかり重力を感じながら投げよう。(踏み出す足のブレが少なくなるので、制球が安定します。)

2) 投手の場合、打者に何をして欲しいのか決めてから投げよう。(コントロールばかり気にしていると、単調になりがちです。球速を変えたり、ストライクゾーンの外寄りだったり、内寄りだったり、目的がしっかりしていると、自然に変化が出てきます。例えば、ゴロを打たせるなら、一工夫しておけば、内側に入っても問題ありませんから、四死球は確実に減ります。)

3) どんなに急いでいても、グラブを持った方の肩をしっかり投げる方に向けてから投げよう。

4) ボールを持った腕は、押し出すものではなく、引き出す。

5) ボールが指から離れる瞬間は、指が投げる方向に向くようにしてみよう。(肘が下がっている時や、カーブ回転をしている時に、これだけで改善出来ることがあります。ただし、10球程度試して改善が見られない場合は他の方法に切り替えましょう。投げ方を変えれば、始めのうち上手く制球できないのは自然な事ですので、焦らずに根気よく改善しましょう。

6) 捕球する時に、肘はできるだけ張らずに柔らかく使おう。

7) 近い距離で、走りながら、あるいは体制が不十分な状態で送球する場合は送球ミスになりやすい。捕球してから送球にかけての腕の動きがポイント。これから送球したい方向からまっすぐ引いて、送球したい方向にまっすぐ振り下ろす。投げる前の腕を引き上げる段階から送球方向に対し、直線的な動きを意識するだけで、かなりミスが防げます。(プロ野球選手のセカンド・ショートは、これがとても上手です。)

8) 外野は、距離があるので慌てない事が重要です。少しの制球ミスが大変な事になってしまいます。まずボールをしっかり捕球し、送球方向を確認しながら2〜3歩走り、その間に送球体勢を整え、体重を乗せて一気に送球します。ポイントは、送球方向を確認しながら2〜3歩走る事を慌てずにきちんとやる事です。主なメリットは3つあります。1つ目は、暴投のミスが激減します。2つ目は、慌てて勢いの無い送球よりも結果的に早くなります。3つ目は、送球したい塁が間に合わない場合、送球を他の塁に変更する事ができます。


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