捕球エリアの拡大                     トップページへ


 この項では、捕球エリアの拡大を主体に紹介します。捕球自体は、他の項を参照して下さい。

捕球エリアとは?
 捕球エリアとは、「自分の体を中心にして前後左右どれだけ広い捕球ポイントが有るか」と言う事です。初心者は、左右の横が苦手な傾向がありますが、ある程度の上達者でも、どちらかを苦手としていたりしますし、正面が苦手な選手もいます。どの選手にも共通なのは、なぜ旨く行かないのか原因が分からない為、苦手意識を持ってしまい、改善が難しくなってしまう事です。守備の上達に苦手意識は大敵ですから、教える側が、得意不得意の概念を捨てましょう。成功率が低いのは、成功率の高い体の使い方を知らないだけです。

広い捕球エリアのメリット
 捕球エリアが広い方が良いのは当たり前ですが、手を伸ばして取れる範囲は限られていますね。基本的には、捕球しやすいポイントに足を使って移動するわけですから、限られた範囲の捕球エリアは軽視されがちです。しかし、捕球エリアの差は、技術よりも、むしろ精神的な効果によって大きな差になります。
 俊敏な移動には、思い切ったスタートが欠かせません。しかし、不安を感じている選手の体は、なかなか俊敏に動けないものです。広い捕球エリアは、選手の不安を解消、あるいは小さくするのに絶大な効果が有ります。各選手が、打球によらず体を持っていけば「なんとなる」あるいは、「なんとかする」と思えるようにするために、捕球エリアの拡大は大変役に立ちます。

捕球姿勢の確認
 ハンドノッカー(手で投げる)と選手の距離は、2m位から始めるのが良いでしょう。ハンドノッカーは、ゴロやショートバウンドやノーバウンドをランダムに(ショートバウンドをかなり多めに)投げるのですが、ルールがあります。選手に対して、正面、右側、左側を意識して投げて下さい。捕球エリアの練習ですので、最初は足を動かしてはいけません。(立ち位置が動かなければ良いので、膝を動かすのはOK、と言うより、膝は沢山使った方が良いです)この段階で、選手はハンドノッカーに正対(正面を向く)していれば良いので、通常の捕球姿勢でOKです。
殆どの選手は、正面、右側、左側のどれかで、明らかに固くなる傾向が見て取れますので、これが、各選手の苦手意識を持っているエリアです。全てが苦手な場合は比較できませんが、部分的に苦手な場合は比較する事が出来ますので、捕球姿勢を比較してみて下さい。特に、苦手なエリアのショートバウンドは分かりやすく、不安なために、上体が起きてしまいます。(*注意:苦手なエリアが分かったからといって、数をこなすだけでは恐怖が増大しかねないのでNGです)

捕球エリアを拡大するための練習方法 - 基礎
 ここからは、具体的に上達するための工夫です。まずは、正面、右側、左側で、それぞれ先に捕球姿勢を作り、手だけ動かせば取れる状態にします。(捕球姿勢自体に問題がある場合は、ここで修正して下さい)その捕球姿勢をとった状態で練習開始、ハンドノッカーは、あえて捕りやすいグラブのある所に、捕れるように投げます。「捕れる」「捕れる」「捕れる」を、ある程度繰り返して下さい。
 次に、正面の捕球姿勢から左側の捕球姿勢へゆっくり移行します。この時、移行途中のどの位置でも捕球出来る形のままでいられるようにします。注意点は、グラブが捕球しやすい方を向いているか確認しながら行い、膝が動けば肩も手首も動く事を、少しずつ動きを早くしながら確認していきます。
次は、正面の捕球姿勢から右側の捕球姿勢への移行ですが、左側と違い、途中でフォアハンドからバックハンドに切り替えなくてはなりません。凡才の多くは、この切り替え位置がはっきりしていない傾向があり、結構右寄りでもフォアハンドで捕ろうとする事があります。そもそも、フォアハンドで捕れる右側の範囲は狭いので、この段階では「迷ったらバックハンド」と教えてあげましょう。あとは、正面の捕球姿勢から左側の捕球姿勢の時と同じです。

捕球エリアを拡大するための練習方法 - 応用1
 先程の基礎に、立ち位置の変化を付け、横に開いた足を縦にします。まずは、右足を前(ノッカー側)にして見ましょう。縦にすると言っても90度ではなく、上体をノッカーに正対するのに支障ない程度(70度前後)が良いでしょう。小学生の場合は、ノッカーに正対し、右足をノッカー正面より、やや右に大きく踏み出すように教えると、大体OKです。この足位置の状態で先程と同じ、正面、右側、左側の捕球練習を行います。今度は、右足がありますので、上体が起きていると右側は捕れません。右足へ大きく重心移動し、グラブが右膝よりも前に出せるようにしましょう。左側でも、右足へ大きく重心移動したまま捕球練習すると、前後に広い捕球ポイントが得られます。
 次は、左足を前にしますが、角度は60度~90度あたりを色々試して見ましょう。右足の時と同じで、前側の左足へ大きく重心移動する(体重を乗せる)のがポイントです。(この練習はファーストの練習にもなりますので、参考にして下さい。)左足が前だと、グラブのある左肩が出しやすいので、右側の捕球ポイントも広くなります。

捕球エリアを拡大するための練習方法 - 応用2
 応用1では右足が前でも左足が前でも捕球出来るよう練習しました。つまり、ボールを追いかけて走っている時、捕球ポイントで右足が前でも左足が前でも捕れると言う事ですから、思う存分走れるようになります。とは言っても、この段階では選手を勇気付けるための理屈に過ぎませんので、実際に走りながら練習してみましょう。
 最初は、ある程度、選手とノッカーの距離を取り、(全力で走る時間が必要です)弱めの打球を正面に打つ事から始めるのが良いでしょう。選手は、ノックした瞬間に全力で走り、打球に近づいたら、少し減速したり、沢山減速したりしてバウンドをあわせます。捕球のリズムも走っている時よりスローになりますので、「スタートは早く、捕球はゆっくり」のイメージを習慣付けましょう。慣れてきたら、左右に振ったり、打球に強弱を付けたりして、通常のノックに移行できます。

捕球エリアを拡大するための練習方法 - 応用3
 応用 - 1で、「左足が前だと、グラブのある左肩が出しやすいので、右側の捕球ポイントも広くなります」と紹介しましたが、これは、捕球時に足が止まっているか、一瞬でも止まった状態を作って捕球出来る場合、または、右側に打球が来た場合などには有効ですが、実践では、上記以外の場面も多いですね。特に、正面に走り続けた状態で捕球しなくてはならない時は、体の右側よりも左側で捕球する方が良い場面が多いですね。強い送球が前提になるような場面では、意識してこれを行う事もありますので、強い送球を前提にした左側捕球の練習も、必要です。正面や右側の打球でも、余裕がある時は、送球しやすい位置に回り込んで左側捕球する事を習慣付けましょう。*注意:右方向への送球を前提にした捕球練習は、応用3が、しっかり出来るようになってから行いましょう。凡才ほど混乱します。


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