技術と実力                     トップページへ

 外見的に強そうには見えないチームの多くは、実際の勝率も低いのが一般的です。しかし、そんな中にも、少数ではありますが、大会で予想以上の結果を出すチームがあります。“まぐれ”とか、“運が良かった”と言われる事が多いものですが、本当にそうでしょうか?

 凡才先生は、「勝つにしても、負けるにしても、その理由が必ず有る」と考えています。高い技術を持っていても、使えなければ意味がありませんし、特別な技術を持っていなくても、持っている技術を十分生かす事が出来れば、不本意な負け方をする事は激減します。

 実際の試合でも、高度な技術がなければ適切に処理出来ないプレイは意外に少ないものです。凡才先生の経験では、試合平均2〜3といったところでしょうか。相手にもよりますが、この差が勝敗を直接左右してしまう確率は20%〜30%程度だと思います。つまり、勝敗を分けるプレイは、特別な技術を必要としない場面で発生している事の方が多いのです。

 全ての技術において、「平均以上の高い技術を習得したい」と言う願望は、誰にでも有るものですし、それ自体は“向上心”ですので大変良い事です。しかし、技術向上ばかり意識しすぎると、その使い方が上手になっていない事があります。この傾向は、選手にも指導者にも共通で、意外に多いと感じています。(だからこそ、強者に対するチャンスもある訳ですが・・・)


技術練習の段階

守備の場合

第1段階

 ショートバウンド捕球や送球などの部分的な技術強化の練習で、ノックに限らず、多彩な練習方法があります。ある程度の量をこなす必要はありますが、基本的には、コツを掴むのが主な目的ですので、全員が同一行動をする必要は無く、個々が、苦手な事への比率を高くすると、より、効果的です。

第2段階

基本技術を組み合わせる練習で、代表的な練習方法は、走者を付けないノックです。捕球から送球へと、一連の動作を習慣付けるのが主な目的です。しっかり捕球して、しっかり送球するのが原則ですので、慌てたり、動きが硬くなったりしないように、「捕って投げる」、「捕って投げる」のリズムを大切にしましょう。

第3段階

 試合での場面を想定した、想定練習で、代表的な練習方法は、走者を付けたノックです。ランナーの動きに合わせ、最善の選択をして実行する、実践的な練習で、適切な状況判断を習慣付けるのが主な目的です。

第4段階

 勝つ事を前提にした、勝つための想定練習で、常に、点差と双方の打順やイニング・カウントなどを考慮し、最善を目指すのか、最悪を防ぐのかを事前に選手自身で判断し、守備位置や送球などに反映します。練習試合が代表的な練習方法ですが、ゲーム形式ノックも有効な練習方法で、バッテリーの配球練習も可能です。実力に見合った、あるいは、それ以上の結果を出すのに必須で、勝つ理由と負ける理由を学習する事が主な目的です。練習後、選手同士で、良かった点と改善点を意見交換し、次の練習に反映すると、より、効果的です。


攻撃の場合

第1段階

 コースや球種に対応するための、部分的な技術強化を目的とした練習で、素振りやティーバッティングなどが代表的な練習方法です。コツを掴むのが主な目的ですので、全員が同じ練習をする必要は無く、個々が、苦手な事への比率を高くすると、より、効果的です。

第2段階

想定外を想定する練習です。練習方法は、素振りやティーバッティングと、走者を付けないフリーバッティングですが、「外角を意識していた場面で内角が来た」とか、「直球だと思って打ちに行ったら変化球だった」とかの場面を、選手自信が想定しながら練習します。ボールに素直に反応するのが目的ですので、「ネットに印を付けて、必ずそこに打つ」や、「しっかりバットに乗せる」、あるいは「センター返しだけを意識する」などの工夫をすると、より、効果的です。

*ティーバッティングでは、不慣れな選手の場合、大きな危険もありますので、事故や怪我の無いように注意が必要です。

第3段階

 実際の投球に近い練習で、代表的な練習方法は、フリーバッティングです。基本的には打つ練習ですので、通常は安打を目指しますが、主な目的はタイミングとミートポイントですので、部分的に、ゴロを意識したり、飛球方向を意識したりする事で、より、実践的な練習が可能です。

第4段階

 守備同様、勝つ事を前提にした、勝つための想定練習で、常に、点差と双方の打順や好不調とイニング・カウントなどを考慮し、1球毎に自分がやるべき事を確認します。練習試合が代表的な練習方法ですが、走者を付けたゲーム形式フリーバッティングも有効な練習方法です。勝つ理由と負ける理由を学習する事が主な目的ですので、練習試合なら試合後、ゲーム形式フリーバッティングならイニング毎に、選手同士で、良かった点と改善点を意見交換し、次の打席に反映すると、より、効果的です。



 第4段階の「勝つ理由と負ける理由を学習する練習」を徹底しているチームは少ないように感じます。第4段階は、決して「ハイレベルで特殊」なものではありません。「何のためにプレイしたのか? そして、それが、どれだけ出来たのか?」ただ、それだけの事ですので、年齢による考え方の違いはありません。言い換えれば、経験豊富な選手は、考えずに出来る事が多く、経験の少ない選手は、考えずに出来る事が少ないと言う事ですので、「勝つための疑似体験を増やして、勝つためのプレイに慣れる」と言う事です。出来るか出来ないかの前に、大きな目的のための小さな目的を持つ事が大切ですので、出来るだけ早く取り入れる事を推奨します。


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