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7月23日(火)

「天台宗」

叔母の四十九日法要が菩提寺にて行われた。
お寺集合だったので、直接向かったが、誰もまだいなかった。
ほどなく住職が準備にやって来た。
私は時間をもてあまして、壁に掛けられた写真の数々を眺めていた。
現住職のお父さんはなんとなく分かる。
でも一番端のいかにも昭和初期か大正時代の写真と思われる一枚が気になっていた。
住職にそれとなく聞いてみると、お祖父さんの若かりし頃という。
それから雑談が始まり、昨年の比叡山の話やらをしていたところへ皆さん到着。
千日修業の話しを聞いていた時、その際に穿くという草鞋を穿いて見せてくれた。
なんと親指が地面に食い込むつくりになっている。
言わなかったけど「なんでわざわざ?」
はじめは足袋も穿かないと言うから驚きだ。
血だらけになるだろうに。
「その昔は命を落とされた方もいたそうです」と住職。
聞けば、誰でもできる修行ではなくて、ある程度の地位にならないとさせてもらえない修業のようだ。
叔母の菩提寺は天台宗だから、最澄の比叡は総本山だ。
そこから歩いて京都にまで修業は続くという。7年かけて業を行うそうだ。
がんばれば誰にでも出来そうに思えるんですけど・・・。その資格はないのね。

法要が終わってお墓参りをし、自宅でお膳をいただいていた時、
「tuziちゃんがいてよかった。住職と話しが盛り上がって助かった」と従姉妹が言う。
「話しかけたからね。答えてもらっただけで。あれって盛り上がってたの?」
「全然話さないんだよ、あの住職」
「そーなの?」

天台宗は実に興味深い宗派である。
我家は曹洞宗である。禅宗の一派でないだろうか。
天台宗のほうが格調高いでしょ。
それはお経でも感じるし、印を結んだりするしぐさでも感じる。仏具に真言密教で使う用具があるのも興味深い。
なんといっても総本山の比叡山延暦寺は厳かで、広大で、曹洞宗の開祖、道元だって得度している。
空海の真言密教以外の開祖たちのほとんどは比叡山で修業している。
時代的にも最古の宗派と言ってよいのではないだろうか。
叔母は生まれた家の墓に葬られ、父母と再会していることだろう。
現世の叔母は不幸な一生だった。
来世ではうんと幸せな一生をおくって欲しい。

(おわり)





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