建物名称 宇和海展望タワー
所在地 愛媛県南宇和郡愛南町
高さ 避雷針高110m 展望キャビン最大高90m
竣工 1977(昭和52)年
概要 1969(昭和44)年に閣議決定された新全国総合開発計画の一環として、翌70年に建設省が「レクリエーション都市整備要項」を策定した。これは当時旺盛になりつつあった国民のレクリエーション需要を充足するために公園都市の開発を目論んだものであり、全国各地で関連事業がスタートした。愛媛県では1973(昭和48)年に第三セクターの南予レクリエーション都市開発株式会社(略称・南レク)を設立、1976年から1992(平成4)年にかけて宇和島市および北宇和郡・南宇和郡に7エリア(合計面積約206ha)の公園を開設した。
宇和海展望タワーはそのうちの第3号公園馬瀬・大森山地区に立つ回転昇降式展望塔で、1977(昭和52)年に海上ロープウェイとともにオープンした。しかしオイルショックを始めとする経済情勢の変化などによって各地のレクリエーション都市計画は苦戦を強いられ、それは南レクにおいても同様であった。80年には会社再建のためタワーとロープウェイが県に譲渡され、以後所有は県、運営は南レクという形態となっている。
なお、国庫補助事業としての南予レクリエーション都市整備事業は2000(平成12)年に中止された。事業会社は2002年に社名を南レク株式会社に改め、引き続き各公園の維持・運営にあたっている。
TF式分類 第2種 I類
登頂日 2006年3月25日
 2006年3月25日の登頂記録
タワーが立っているのは標高160mの馬瀬(ばせ)山の上。そこへ到達するには事実上この海上ロープウェイしか手段がありません。2002(平成14)年の夏、このタワーに登るつもりで宇和島市まで来ておきながら、台風の影響でロープウェイが動かず登頂を断念したという苦い経験があるのですが、そのロープウェイが施設の老朽化と経営不振のため3月いっぱいで廃止されることになったと知り、慌ててリベンジマッチに飛んで来たのでした。

ロープウェイはこの数日後に機械トラブルが発生し、最終日を待たずに運行を停止する事態となってしまいました。現在は山上まで車で行くことが可能になっています。

回転昇降式展望塔はだんだんその数が減っているので貴重な存在ですが、中でも宇和海展望タワーのようにキャビンが2階建てになっているのは古いタイプで、ここ以外には新潟県に2基が存在するだけの非常に希少価値が高いタワーです。

塔体は直径2.7m、高さ110mで、航空法に定められた赤白塗装も旧態依然としていますが、メンテナンスがしっかりなされているようで塗装は美しく保たれています。

タワーとロープウェイはどちらも南レクの運営なので、便利なセット券が販売されています。タワー単体のチケットが欲しい場合もロープウェイ駅の窓口で購入することになります。
このときはロープウェイ廃止にともなう謝恩企画として、通常は往復900円のロープウェイ運賃が最後の10日間に限りたったの100円という破格の割引が実施されていました。
ロープウェイ駅の屋上から、すぐ脇のタワー乗り場を。
右に見える屋根付きの通路が入口、左側が出口です。
次の運転までキャビンはしばし待機中。
左に掲げられている時刻表が差し替え式になっているところをみると、混雑度に合わせて運転間隔を調整しているようです。今日は土曜日に加えて学校は春休み中、さらにロープウェイのお名残乗車にやってきた人々で山上は大賑わいですが、それでも20分ごとの運転ということは、これが最短の運転間隔なのでしょう。1回の所要時間は約6分なので、その気になればもっと短い間隔で運転することは可能なはずです。
キャビン内では上階と下階の行き来ができません。したがって上階に乗りたい人はこの階段で乗り口へ向かいます。キャビンの定員は上下30人ずつの計60人です。
タワーの操作盤は至ってシンプル。一番上のパネルはタワーの位置と動き、扉の開閉状態を電光表示しています。写真では「ホーム着床」が点灯しています。へぇ、乗り場のことはホームと呼ぶのか。
その下の3つのボタンは右から順に「運転」「ブザー」「非常停止」。一連の動きはプログラムされていて、ボタンひとつで自動運転です。
その下の縦に3つあるボタンは手動運転用で、上から順に「上昇」「停止」「下降」。ということは途中まで上昇させるとか、上昇させた後キャビンの回転を一時停止させるといったことも一応はできるとみていいのでしょう。そして一番下に自動と手動の切り替えスイッチ。
手動運転を行うのは保守点検の時などに限られるのでしょうね。
さて、搭乗開始です。思ったとおり我れ先に上階へ駆け上がる人が多いので、私は混雑を避けて下階に乗ることにします。いや、そりゃ私としても少しでも高い位置に達するべく上階に乗りたいのが本音ですけど、キャビン内部の写真を撮ることを考えると下階の方が少しでも有利かな、と思ったわけです。
でも結局下階もほぼ満席になったので運転中の撮影は諦め、この写真はキャビンが下に着いてお客さんが全員降りたあとに手早く撮ったもの。そんなこともあろうかと、自分が最後に降りられるように乗り口から一番遠い席に陣取っていたのです。ふふふ、それくらいの計算はちゃんとしてあるんですよ。
北は御荘(みしょう)湾の眺め。左に見える海上ロープウェイは対岸の南レク御荘公園が起点です。市街地の背後は標高190mの松軒山で、ここも南レクが運営する公園になっています。
反対の南側には宇和海のリアス式海岸。海上にはハマチの養殖場が広がっています。
西は眼下に馬瀬山公園。ちょうど桜が見ごろを迎えようとしています。
遊歩道の左にある四角い建物は紫電改展示館。太平洋戦争中に米軍機と交戦して墜落し、1979(昭和54)年に至近の久良湾から引き揚げられた旧日本軍の戦闘機・紫電改が痛々しい姿で保存展示されています。
このほか公園の東側にはこども動物園があります。
ロープウェイ乗り場と紫電改展示館に売店があるものの、タワー関連グッズは扱っていません。
代わりにご紹介するのは観光地ではおなじみのミニ提灯。宇和島駅前で土産店の前を通りかかったらタワーが描かれているのを発見したので買ってきました。ロープウェイ廃止後は絵柄が変更されてしまうのでしょうか。
南レク

TOPページへ