建物名称 東尋坊タワー
所在地 福井県坂井郡三国町(現・坂井市)
高さ 全高54.7m(建物本体高?) 展望台床面高50m?
竣工 1964(昭和39)年
概要 福井県随一の景勝地として知られる東尋坊は、高さ約25mの断崖絶壁が1kmもの長さにわたって連なる海食崖である。見る者を圧倒するその景観を形成しているのは複輝石安山岩の巨大な柱状節理で、地質学的にも希少性があることから国の天然記念物に指定されている。遊歩道を散策しがてらこの断崖を上から覗き込むことができるほか、遊覧船に乗って海上から見上げることも可能である。
東尋坊タワーはまさしくその東尋坊の上に立っているのだが、海岸線からはやや奥まった位置にあるため、名前とは裏腹に東尋坊そのものを展望することはできない。開業したのが高度経済成長期のレジャーブームのただ中であったという時代背景を考えると、当地へ団体で押し寄せる観光客を受け入れるためのレストハウスとしての機能が第一に求められて誕生した施設であり、東尋坊を展望させることは最初から企図していなかったと思われる。
TF式分類 第1種 I類
登頂日 2005年6月4日
 2005年6月4日の登頂記録
朝、福井市内のホテルで目覚めて窓の外に目をやると、どんよりとした曇り空。タワーの撮影はぎりぎり可能のようにも見えるけれど、いつ降りだしてもおかしくないといった状況でした。ダメモトで電車とバスを乗り継いで東尋坊までやってきてはみたものの、やはり雲が低すぎて空が暗いので撮影は無理。今回は登らずに帰ることにしました。
しかし! 30分後に帰りのバスが来て、今まさに乗ろうとしたその瞬間、雲が切れて一気に青空が広がるという奇跡が起きたのです。

東尋坊タワーはちょっと頭でっかちな印象を与える外観。国内でも老舗に属するタワーだけに、今となっては建物デザインの古くささは免れませんね。

1階正面を入ったところにカウンターがあり、入場券はここで買い求めます。エレベーターは2器あって、ドア上の掲示によると展望台は14階とのこと。中間階床がないのに14階だとする根拠が気になるところです。
で、その展望台ですが、公式サイトでは14階じゃなくて「R2」と書かれてます。すると今度は「Rって何だ?」というのが気になってくる(笑)。

左には記念撮影用と思われる看板。東尋坊というのは乱暴の限りを尽くして庶民を困らせた揚げ句に断崖から突き落とされてしまったという坊さんの名前に由来しているので、実はこういうかわいい絵柄はあまりふさわしくないのです。

タワーの上空は晴れたものの、遠景はまだ雲が残っていて見通しはイマイチです。

眼下にはお土産店や飲食店が密集しています。東尋坊の断崖絶壁はその向こう側、つまりタワーからは完全に死角なので見ることはできません。奥に見える雄島をはじめ、海の景色や夕陽を眺めるのが正解です。

南に目を向けると、九頭竜川河口の向こうに福井港と石油備蓄基地が遠望できます。
タワーの公式webサイトのトップページには「エレベーターのドアが開いた瞬間、感動!」とコピーがありますが、エレベーターは海とは反対側にあるので、最初に目に飛び込んでくるのはこんな風景です。感動するのは海側へまわってからにして下さい。

足下に見える、扇型の看板を掲げた赤い屋根の商店の前に東尋坊バス停があります。

東尋坊は景勝地として名高い反面、残念ながら自殺の名所として知られているのもまた事実。左の観音像はこの地で命を絶った人たちの冥福を祈るため、タワー創業者によって安置されたものです。

一方、右の2体の布袋像は、片思いの人と一緒に頭を撫でると幸せになれるという縁結びの御利益があるそうです。わざわざここまで来てそんなことできる関係の2人なら、それはすでに片思いじゃないと思うぞ。

外観写真を見ておわかりのように展望台は2層になっているわけですが、下の階にはレストランがあったものの、もうずいぶん以前から閉鎖状態にあるようです。このシャッターの向こうにはおそらく下り階段があるのでしょう。下向きの矢印とともに「展望レストラン」と書かれた看板が右上に写っていますが、すっかり色褪せてしまっています。
タワー下の建物の2階にもレストランがありますが、そちらは営業中です。
展望台を辞して1階へ戻ってきました。おみやげ売り場になっていますが、タワーにちなんだグッズは見つけることができませんでした。ひと昔前なら、おそらくタワーを描いたペナントや提灯なんかがあったんじゃないかなー、と思います。
東尋坊タワー

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