名称 小豆島大観音
所在地 香川県小豆郡土庄町
高さ 全高68m?
竣工 竣工1994(平成6)年 公開1995(平成7)年
概要 小豆島と聞いてイメージされるものといえば、オリーブ、寒霞渓の紅葉、二十四の瞳などさまざまな観光要素が思い浮かぶ。また、弘法大師ゆかりと伝わる八十八ヶ所霊場巡りは「島四国」とも呼ばれ、霊験を求めて遍路にやってくる人も多いことから「信仰の島」というキーワードを挙げてもいいだろう。そんな小豆島に平成7年、巨大な観音像が現れた。建立したのは八十八ヶ所霊場の第80番・子安観音寺が母体となって開かれた大本山小豆島大観音佛歯寺で、その名はスリランカを代表する寺院である佛歯寺(ダラダ・マリガワ)から釈迦の遺歯を分与されたことにちなんでいる。
TF式分類 亜種
登頂日 2004年5月2日
 2004年5月2日の登頂記録
高松からフェリーで土庄港に到着したものの、小豆島大観音の前を通る路線バスは本数が少なくて接続しておらず、タクシーで15分ほどの道のりを走ってきました。県道脇の入口前で降車して、短いアプローチの坂道を歩いた先にゲートがあります。
港のタクシー乗り場には島内の主な観光地までの料金表が掲げてありましたが、その中に大観音も記されていたということは、それなりに来訪者の需要があるということでしょう。
ゲートからさらにスロープやら階段やらを登りつめ、すっかり息が切れたところでようやく小豆島大観音の足元にたどり着きました。金色の装飾を身にまとった、なかなか上品な姿をしていますね。首飾りに3つの黒い点が見えるのがわかるでしょうか? そこが最上階の展望窓です。

ところでこの観音像、高さはどれくらいあるのでしょうか? 実は佛歯寺では具体的な数値を公表していないのです。だいたいどこの大観音像でもその高さをアピールしたがる傾向があるものなんですが、こちらではパンフレットに館内の断面図が載ってはいるものの、高さに関する記述がないのです。
複数の文献やWEBサイトを参照するとおおむね68mとする説と108mとする説に分かれるようですが、そのどちらかが正しいとするならば、実見した限り68m説のほうが信頼性が高いように思います。

観音像の右脇にあるこの売店・レストラン棟が胎内への入口を兼ねており、売店のレジで500円の参拝券を購入します。観音像へ続く渡り廊下の手前で靴を脱がねばならないのですがスリッパは用意されていないので、以降は絨毯敷きの胎内をぺたぺた歩くことになります。
エレベーターで一気に最上階へ昇ると6畳間くらいの狭い釈迦殿があって、釈迦像が鎮座しています。
その対面には仏歯の間の扉があります。釈迦の遺歯が納められた宝塔を祭祀してあるのですが、公開されるのは毎月第3日曜日のご縁日だけです。3000円ほど払って特別参拝コースを選べばいつでも見せてくれるそうですが、でも見ることができるのは宝塔であって、たぶん歯そのものは見られないんじゃないかなぁ。

仏教寺院にとって仏歯や仏舎利の分与を受けるというのはたいへんな名誉だと思うんですが、そうやって何ヶ所にも分与しているということは仏歯ももはやカケラというより耳掻き1杯分にも満たない粉末なのではないかと想像します。

釈迦殿には胸側と背中側にそれぞれ展望窓が設けられています。航空機並みの小さな窓であるばかりか、立ち位置より奥まっているので非常に観覧しづらい。ここはあくまでも釈迦殿なので展望目的で長居することを牽制する意図でもあるのでしょうか?
わざと観音さんの右手の指をフレームインさせつつ胸側(南東)の風景を。
小豆島は3つの町を擁するほどの広い島で、山あり谷ありの起伏に富んだ地形をしています。観音像が建っているのも標高にして150mほどの丘陵上で、意外にもこんな山がちな風景が眺められるというわけです。
背中側(北西)からはちゃんと瀬戸内海も見えます。
さて、下りはエレベーターに乗らず、あえて階段を使うことにします。薄暗い中に約1万体の胎内仏が延々と配置されていて独特の雰囲気が漂っています。工業製品のごとく量産された仏像ですからありがたみは薄いですし、見てても面白くはありません。
下段には賽銭箱もずらっと並んでいますが、これらひとつひとつの鍵を開けて賽銭を回収する作業は相当な苦行だろうなー、などとつい余計なことを考えてしまいます。
1階に下りたところでそのまま出口を目指せばよかったのですが、「こっちには何があるのかな?」と奥へ進んだところで作務衣姿の坊さん(?)に見つかって、「さぁさぁさぁ、ようこそようこそ、どうぞどうぞ」と有無を言わせぬ勢いで伝道の間に押し込められてしまいました。やむなく先客の高校生らしき少年4人組とともに、10分ほど説法を受けるハメに……。

まあそれはいいとして、入室するとき手のひらにカレー粉みたいなものをひとつまみ盛られたのは困った。これは塗香(ずこう)といい、手にすり込んでお浄めとするんだそうですが、でも溶けるわけじゃないので両手が粉まみれになるわ、なんだかターメリックみたいなにおいがするわでえらいことになっちまいました。

解放されてさらに奥へ進むと、胎内の階段だけじゃ収めきれないおびただしい数の仏像(と賽銭箱)が安置された部屋がいくつかあります。ここはそのひとつである般若の間。
看板に二条とか三条とか書いてあるのは、自分の納めた仏像がどこにあるのかを知るための番地に相当するものだと思います。たぶん登録書みたいなものがあって「あなたの仏像の所在地は般若の間二条1段目左4番」なんていうふうに記されているのではないかと想像されます。
それにしても蓮華の間に踏み込んだときは納骨堂かと思って一瞬ギョッとしましたよ。看板をよく見ると仏壇を納めた場所だとわかるわけですが。
館内を歩いているとドドドンドドドンとリズミカルな太鼓の音とともに線香の煙が漂ってくるのが気になってたんですが、護摩殿で祈祷が行われている最中だったのでした。右に見えるのがここのご本尊であるしあわせ観音です。

とてつもなくデカい観音像を立てるなんてのは一種の成金趣味みたいなものだと思ってたのですが、ここへ至って「あー、ここは真面目に宗教をやってる場所なんだなー」と認識させられました。冷やかし半分の物見遊山で来るところとはちょっと違ったようです。

拝観を終えて売店棟に戻り、勧められるままにあったかい甘茶をいただきつつひと休み。売っているものは小豆島の物産がほとんどで、オリジナルグッズとしてはこのテレホンカードがあるだけでした。

帰りもバス便がないので電話でタクシーを呼んだのですが、ゴールデンウィークとあって島中のタクシーがフル稼働しており、20分ほど待つことになりました。そんな状況なのに偶然にも来るときと同じ運転手さんの車がお迎えに。
港に着くなり観音さんを目指したと思ったら観光もしないでまた港に戻ってフェリーに飛び乗った私のことは、はたして熱心な信者と見られたか単なる物好きと思われたか……。

それはそうと塗香のにおいは手を洗っても洗ってもしつこく残り続けました。この日は高松市内で1泊したのですが、晩メシにはもちろんカレーを食べましたとも(笑)

小豆島 しあわせめぐり(注・音声が出ます)

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