名称 仙台大観音
所在地 宮城県仙台市泉区
高さ 本体高100m 12階床面高68m
竣工 1991(平成3)年
概要 仙台市青葉区と泉区にまたがる中山地区は、1964(昭和39)年の中山ニュータウン造成開始を皮切りに、市内における郊外型大規模住宅地の先駆けとして発展してきたエリアである。一帯の開発を手がけたのは双葉綜合開発という会社で、同社を核とする双葉グループを率いてきた菅原萬氏によって仙台大観音が中山の地に建立された。当初は仙臺天道白衣大觀音と称した。
像の高さは地上100m・地下21mで、この数値は仙台市制100周年を記念するとともに21世紀の繁栄を願うものと意味付けされている。現在地下部分は一般に公開されていないが、地下21mの基底部には10個のカプセルが置かれ、10年ごとに1個ずつ開封される。最初の1個が開封されたのは2001(平成13)年で、開封後は新たなメッセージを入れて再び閉じられ、次に一巡して開封するのは100年後。観音像がこの地にある限り、これを順に繰り返すことになっている。
隣接地には双葉グループが開設したホテルニューワールドとニューワールドゴルフクラブがあり、大観音と合わせてニューワールドセンターと呼んでバブル期にはアミューズメントパーク化の構想もあった。しかし双葉綜合開発と石原建設(本社・東京)が対等合併して2000(平成12)年に発足した環境建設株式会社が2004年に破産宣告(のちに会社更生手続きへ移行)を受けたことでホテルは営業を停止し、ゴルフ場と共に売却されることになる。このときすでに仙台大観音は宗教法人大観密寺として同社から切り離された存在だったため閉鎖や売却を免れており、今日もニュータウンを見下ろして静かに佇んでいる。
TF式分類 亜種
登頂日 2005年1月1日
 2005年1月1日の登頂記録
2005(平成17)年元旦。前日からの大雪で東北新幹線が平常ダイヤで運行できるか心配なほどでしたが、幸い遅れることもなく仙台駅に到着し、路線バスで仙台大観音を目指します。バスは毎時4本程度の頻度があり、所要時間は30分ほど。その名もズバリ「仙台大観音前」で下車します。

右手に宝珠、左手に水瓶(すいびょう)を持った上品な姿で、造形的には美しい部類でしょう。しかしこれがニュータウンの家並みの中に聳え立っているとなると話は別で、観音像の存在が猛烈な違和感を伴ってシュールな光景を現出し、ややもすると不気味なものにすら映ってしまうのです。まぁ、それこそがB級観光地マニアにとっては一番の観賞ポイントになっているわけですが。

仙台市内には大崎八幡宮を筆頭に有名な寺社仏閣がたくさんあるというのに、わざわざここを選んで初詣に来る人がいるというのは意外でした。(私は初詣じゃないですよ? 冷やかしに来たのがたまたま正月だっただけです(笑))
観音像の裏手には、歴史こそ浅いものの大観密寺というれっきとした真言宗智山派のお寺があるので、真面目な参拝者もそれなりにいるのでしょう。
観音さんの足許にいる竜神の口が胎内への入口になっており、入ってすぐに受付があります。たてまえ上は拝観は無料なのですが、そのかわり500円でお札を受けるというルールになっています。でも、もらったお札は綴りから切り離すためのミシン目が入っているし、裏面には6桁の発券ナンバーがふられているので実質的にこれは拝観券ですな。
それとは別に福銭(中身は5円玉)をもらいましたが、もしかするとこっちは正月だけなのかも。
エレベーターに乗るまでの順路にはこんなおどろおどろしい賽の河原のジオラマを通らなくてはなりません。大観密寺では水子供養を行っているのですが、いろんな事情を抱えてここを訪れる人もいるだろうに、ことさら恐怖感や罪悪感を煽るような演出はあまりいただけませんねぇ。
エレベーター乗り場のある2階の一角に、立身出世を祈願する登龍門があり、ここをくぐると竜神の頭の上に出ることができます。
ということで出てみました。観音さんを足許から見上げるの図。
本来であれば観音さんの足もバッチリ観察できる場所なのですが、完全に雪に埋もれてました。
エレベーターで最上階の12階に着くと、そこには御心体が祀られています。本尊ではありません。本尊はお寺の本堂に安置されており、こちらはいわば観音さんの心臓にあたると考えればいいでしょう。
御心体は純金球で、「我が国で初めて金を産出した宮城・岩手県境の金鉱で採取した砂金を精製して製作」したものだとパンフレットに記載されています。
また、御心体の青い台座はラピスラズリでできています。
12階には観音像の前と後ろに2ヶ所ずつ展望窓があります。ただでさえ小さい窓なのに、積雪のためにさらに視界が狭くなっています。真ん中あたりに見えるのはジャスコ仙台中山ショッピングセンター。ご覧のとおり周囲は住宅密集地です。
展望窓とは別に、両肩付近には航空障害灯の保守用と思われる窓も開いています。
左下は前年に閉鎖したホテルニューワールド。入口の看板には破産管財人による告示書が貼ってあったりして、なにやらものものしい雰囲気でした。

そういえば、像が立つことによって一部の世帯に電波障害が発生するため、観音さんの頭上にはテレビ電波の中継アンテナが立っているのですが、ということはその保守のための秘密の階段があるんじゃないかな?

床面に描かれたうねうねした模様は、知恵を授けてくれるという「萬徳の知恵水」を表しています。御心体を祀る御心殿から発し、左手の水瓶へと流れて足許の竜神池に注ぐという設定なのですが、実際に水を流すとなると胎内の構造が複雑化する上にコストもかかってしょうがないので絵に描くことで妥協したってとこでしょうか。
これ本当に水瓶からドバドバと水を流してくれれば大迫力なのになぁ。
胎内の吹抜を見下ろしたところ。中央をエレベーターシャフトが貫き、それを囲むように3階から11階まで各階に12体ずつ合計108体の仏像を安置、さらにその外周を螺旋階段がめぐっているという構造です。
全体的に薄暗い胎内にあって、階段に施された電飾が荘厳な雰囲気を醸しだしています。
百八体仏は高さ60cm・幅25cm。中国河北省石家荘特産の「漢白玉」という大理石を材料として、中国広東省の工場で製作されたもの。全部姿かたちが違うのですが、中にはヘンなポーズをとってるのもいたりして、ゆっくり見ていくと案外楽しい。
観音像の脇には、縁起物とされる白蛇の展示館があるものの、残念ながらただいま冬眠中……。
観音像と向かい合わせに、2階建ての仙台大観音プラザハウスがあります。団体客対応が可能な大型レストランやお土産コーナーのほか、ガーデニングやペット用品のお店などがあります。2階に上がると寂れきったゲームコーナーもあるぞ。
プラザハウス内の見どころは、やはり観音像に関する展示コーナーです。およそ2年を要したという建設過程の写真パネルや、胎内構造がわかる50分の1模型が興味を引きます。
お土産コーナーでは観音オリジナルグッズは取り扱っておらず、ごく普通の仙台みやげが販売されています。奥の方に中国工芸品のお店があるのは胎内仏が中国産なのと関係があるのでしょうか。
とはいえ、観音グッズはちゃんとあって、胎内の受付で販売しています。販売品目はほとんどがお守りとか線香ですが、その中から交通安全祈願のステッカータイプのお守りと、観音像をかたどったストラップを買ってきました。
3枚組のポストカードは印刷所で刷ったものじゃなくて、フジカラーのお店で注文すると作ってくれるアレです。なんでわかるかというと、ハガキのオモテ面にFUJICOLORって書いてあるんだもの。
大観密寺・仙台大観音

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