建物名称 さっぽろテレビ塔
所在地 北海道札幌市中央区
高さ 全高147.2m 展望台床面高90.38m
竣工 1957(昭和32)年
概要 NHKが札幌にテレビ局の開設を計画したのは1955(昭和30)年10月のことであった。NHKは前年完成した名古屋テレビ塔の例に倣って送信鉄塔には展望台を併設するのがよいとする意見を出し、それを受けて札幌市と商工会議所は教育・文化・観光にも利用できる新名所をつくる計画へ動き出した。北海道電波監理局は当初、視聴範囲を広げるには送信所を市西部の手稲山頂に設けるべきだとしてNHKの申請を保留したが地元の熱意によって現在地への設置を認め、1956(昭和31)年6月に着工のはこびとなった。総工費1億7000万円の分担は市が2000万円、NHKが5000万円、地元財界有志によって同年発足した北海道観光事業株式会社が1億円という内訳で、塔は三者が分割所有することとした。設計者は名古屋テレビ塔を手がけ、のちに東京タワーを設計することになる内藤多仲博士である。
塔体の組立が10月に完了したため12月からNHKがテレビ電波を送信開始、展望台など観光施設が調って正式にオープンしたのは翌1957年8月である。事業会社は営業開始に先立つ5月に付属施設を含む塔全体の一般的呼称を「観光センター」と決定したが全く定着することなくいつしか「さっぽろテレビ塔」が正式名称となって今日に至る。もっとも、テレビ電波を発していたのはわずか8年あまりで、1962(昭和37)年にはNHKが手稲山頂の新送信所へ移転、1959年に送信を開始した民放のSTVも1965年に同じく手稲山へ移り、現在はNHKとFM2局が中継施設として使用するに留まっている。
TF式分類 第1種 I類
登頂日 2006年4月1日
注意事項 さっぽろテレビ塔はその後数度のリニューアルを行っており、現在の状況は以下の内容とは大幅に変わっています。詳細は当ページ最後の「memo」欄を参照してください。
 2006年4月1日の登頂記録

実は当サイトのタワーめぐりルポ第1号となるはずだったのがここ、さっぽろテレビ塔でした。デジカメの撮影データを壊してしまったため1回目の登頂記録は公開を断念しましたが、その後も札幌を訪れる機会は何度もあったものの天候に恵まれず、5年ぶりにやっと目的を達しました。

大通公園の東端に立つこのタワーを撮影するには西から陽の当たる午後がチャンス。2002(平成14)年に大規模なリニューアルが行われた際に2・3階部分がそれまでの白から濃緑色に塗装変更されたときはひどいセンスだと思ったものですが、見慣れてしまえばこれもわるくはないかな。

チケットは1階窓口で買います。いまだに自動販売機を導入せず対面販売していますがチケット自体は日付などを印字して機械発券されるものです。でもイラスト入りの半券が手元に残るタイプなので紙モノコレクターとしては嬉しい。

まずはエレベーターで3階へ上がります。そこまでは入場無料。

4月の札幌はまだまだ冷えるとあって、エレベーターガールの足元には電気ヒーターが置いてありました。お客さんのためにというよりおねえさんのためなのでしょう。

3階でタワーの真ん中を貫くシースルーエレベーターに乗り換え。ここでチケットをもぎられて展望台を目指します。

パンフレットによると展望台には「ラ・シーマ」という名前がついているそうなんですが、パンフレット以外にそんな表示はどこにも見つけられませんでした。

内部は天井が低くてやや圧迫感があるのは否めません。むき出しの鉄骨が斜めに貫いているところも同じ設計者による名古屋テレビ塔とよく似ています。

北側の眺め。札幌駅のJRタワーがよく目立ちます。右下では創成川の暗渠化工事が進行中。
JRタワーのルポでも述べましたが、札幌市中心部における住所の表示は「北2条西4丁目」「南3条東1丁目」のように方角と数字の組み合わせになっていて、東西方向の基点がこの創成川です。南北方向の基点は大通公園なので、その交点付近に立っているさっぽろテレビ塔は名実ともに札幌の中心に位置しているわけです。
南側のやや西寄り。付近はオフィス街です。左遠方に札幌ドームの屋根が輝いているのが見えます。
東寄りに目を向けると北日本最大の繁華街として名高いすすきの一帯。
KIRINの看板を云々と書いてあるのは窓ガラスにシール貼りされたもの。もっとも件の看板はテレビ塔の方向からだと側面しか見えず、すすきの交差点のあの有名なニッカのネオンサインがあるビルの上に設置されていることがわかっていても肉眼で見つけるのはなかなかたいへんだと思います。
2002年のリニューアルの際に、窓の上の天井部分にそこから見える風景がペイントされました。
大通公園から見るテレビ塔の姿は札幌の代表的な風景として色々なメディアでよく目にしますが、テレビ塔の上から大通公園を見るこの風景もまた定番中の定番です。
展望台部分は裾を絞ったような形状であるため、窓にぴったり顔をつければ直下を眺めることができます。
この展望台部分の裾を絞るのは内藤多仲博士設計のタワーに共通する特徴ですが、構造学的に意味があるとも思えないのでおそらく内藤博士の好みのデザインだったのでしょう。
ただでさえ狭い展望台に文字通り所狭しと商品が並ぶスカイショップ。タワー内には3階と地下1階にもおみやげ売り場がありますが、ここだけ有料エリアにあるんだから限定モノを集中して扱うとか商品構成を工夫するといいと思うんだけどな。
3階に下りてきました。ここから先は再び無料エリアです。
こちらの「天空回廊」は2002年のリニューアル時にオープンしたレストランで大通公園に面した西側半分を占めています。展望台より下にあって「天空」とはオーバーなネーミングですな。

同じ3階の東側にはスーベニアショップがあります。

ここの屋上に相当する4階は現在立ち入りができませんが、開業直後の1957(昭和32)年12月にプラネタリウムがオープンし、かなりの人気があったそうです。しかしその5年後に盗難と破壊の被害に遭いそのまま廃止されてしまったという残念な過去があります。

テレビ塔の外観で象徴的な電光時計のサイズは横幅約10mという巨大なもの。1961(昭和36)年に設置され、地上からの高さは60m。3階エレベーター脇の壁面に制御装置があります。
1階と3階の間、109段の中央階段は常時開放されているのでもちろん(?)そちらで下りることにします。
ちなみに2階には会議や宴会などに使えるレンタルスペースがあります。
赤い鉄骨にこっそりへばりついているのは“テレビ父さん”のイルミネーション。他にも羽ばたくふくろうなどのキャラクターがいてライトアップに彩りを添えています。
そのテレビ父さんは2002年にデビューするや人気が急上昇、今ではタワー下に立派なグッズショップを構えるまでになりました。
でも、看板に「非公式キャラクター」と書いてあるように、もともとは工房アルティスタという民間企業が制作・販売している札幌みやげ商品のシリーズのひとつであって、テレビ塔が自ら制定したものではありません。

グッズは実に多種多様なので何を買うか悩ましいのですが、かさばらないポストカードとストラップを選びました。

それにしても、グッズどころかテレビ塔のチケットやパンフレット、公式WEBサイトにも堂々と起用されて誰も公式キャラだと信じて疑わないほど浸透しているテレビ父さんなのに、なぜわざわざ「非公式」なんてことわり書きがあるのかというと……

だって公式キャラクターが別にいるんだもの。
ということで、こいつがさっぽろテレビ塔の公式キャラクター「タワッキー」であります!
うん。まあ、かわいいかかわいくないかと問われればかわいくない方に属すると言わざるを得ないかな。テレビ父さんだって決してかわいくはないけどインパクトの強さで勝てなかった……。
タワッキーグッズは上のストラップとこのタオルハンカチの2種類しかないようです。でもこうやってグッズが存在するだけでもありがたいですよ。テレビ父さんショップの片隅に陳列というより隠すように置いとかれて、店員さんにわざわざ「タワッキーグッズはないか」と尋ねなければ出てこないような不遇な扱いを受けていてもな(涙)
キャラクターじゃないタワーみやげももちろんあります。タワーマニアとしてはなんとも珍しい陶製のミニチュアがイチ押しです。

【その1】電光時計は2006(平成18)年11月にLEDを採用した新しいタイプのものに改修された。その際にスポンサーのロゴも「National」から「Panasonic」へ変更されている。
【その2】3階は2009年に再びリニューアルを行い、スカイラウンジという名称がついた。レストランは天空回廊から「NEW SANKO」へバトンタッチしている。【その3】展望台と3階の一部は2010年にリニューアルを行い、モニュメントやアトラクションの増設が図られている。【その4】運営会社は2012年10月に「株式会社さっぽろテレビ塔」に商号を変更した。【その5】2013(平成25)年6月に塔体の塗装更新工事が完了し、展望台および2・3階部分の緑色の色合いが若干変更となった。

さっぽろテレビ塔

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