建物名称 名古屋テレビ塔
所在地 愛知県名古屋市中区
高さ 全高180m 展望台(屋外)床面高100m 展望台(屋内)床面高90m
竣工 1954(昭和29)年
概要 日本国内でテレビの本放送がスタートしたのは1953(昭和28)年、NHKの東京放送局からである。翌54年には同じくNHKが大阪と名古屋で相次いでテレビ放送をスタートさせた。当時、放送用の電波塔は各放送局がそれぞれ自前で建てていたのだが、名古屋ではテレビ放送開始にあたって1本の電波塔を各局で共同利用する方式を採用することになり、NHKと中部日本放送(放送開始は1956(昭和31)年)の合弁で名古屋テレビ塔株式会社を設立、都心一等地の栄に日本最初の集約電波鉄塔が誕生したのであった。現在NHK2チャンネルと、5局ある在名民放のうち中部日本放送、名古屋テレビ、東海テレビの3局がここからVHFの送信を行っており、愛知・岐阜・三重の3県をカバーしている。
ところで2011年までに移行完了が予定されている地上波デジタル放送への対応であるが、新たな送信設備を設けるにはスペースと強度が足りないことを理由に名古屋テレビ塔の使用は見送られ、2003(平成15)年に完成した瀬戸デジタルタワー(愛知県瀬戸市)が使用されることになっている。これによりテレビ塔はアンテナ使用料という最大の収入源を失ってしまうわけで、デジタル化以後のタワー存続に向けてどのような策が講じられるのか非常に気になるところである。
TF式分類 第1種 I類
登頂日 1回目 2003年5月2日
2回目 2011年11月26日→この日の登頂記録へスキップ
注意事項 名古屋テレビ塔は2006(平成18)年および2012(平成24)年に全面的なリニューアルが行われました。特に2012年のリニューアルでは塔頂部のアンテナ撤去と塔体の再塗装を行った結果、外観に大きな変化を生じています。
 2003年5月2日の登頂記録
名古屋テレビ塔が立っているのは、100メートル道路として名高い久屋大通の中央分離帯です。この分離帯は名古屋市の木であるクスノキ並木が続く公園になっているのですが、おかげで公園内からタワーを写そうとするとどうしても生い茂るクスノキの枝葉に視界を遮られてしまうので、いいアングルで撮影するのがなかなか難しいのです。
そこで今回撮影ポイントに選んだのが、栄バスターミナルとショッピングモールから成る公共空間「オアシス21」です。2002(平成14)年に完成したこの建物の最大の特徴は、上面に水を湛えたガラス張りの大屋根なのですが、外周部が空中回廊になっていて自由に歩くことができます。並木から頭ひとつ抜け出す14mという高さもお手頃で、ここからタワーを狙うとご覧のような構図が得られるというわけ。どうです、わるくないでしょ?
エントランスがある1階部分の建物は地上ホールと呼ばれています。

「NAGOYA TV TOWER」の表示が全然目立たないかわりに2003という年号表示の方をでっかく表示しているのはどういう意図なんだろう?

入館してすぐ右手にチケット売場があります。チケットを買ったらパンフレットをくれるのは半ば当然のこととして、占いコーナーの割引券も一緒についてきました。昨日登った京都タワーでも占い割引券をもらったけど、思い返してみると展望タワーって占いとかおまじないとか縁起物の類を妙によく見かけるような……。

それはさておき、まずは地上30mの塔3階へ上がり、そこから展望台行きのエレベーターに乗り換えます。

展望台に着きました。天井が低い上に鉄骨が斜めに突き抜けていたりするので、やや窮屈さを感じずにはいられません。

ひとまわりして占いコーナーの前にさしかかったら「手相占いはいかがですか?」と声をかけられてしまいました。いらん。

実は展望台にはまだ上があるのです。それが展望バルコンと呼ばれる屋外展望台。この階段を登ってさっそく行ってみましょう。
こちらが展望バルコン。あっ、今「バルコンって何?」と思いましたね? 答えはフランス語でバルコニーのこと。手元の岩波国語辞典には見出し語で載ってたけど、そんな言葉ここ以外に使うことあるんかいな。

周りも頭上も金網だらけですが、屋内展望台に比べるといくぶん開放感があります。

見上げればアンテナ、アンテナ、アンテナ……
まず西の方を見てみましょう。正面に聳えるのはつい先ほど登ってきたJRセントラルタワーズです。テレビ塔からはだいたい2kmくらい離れているのですが、やはりよく目立ちますね。タワーズのランドマークとしての存在感は大きいな、と改めて思います。
南側は栄の商業地。俗に4Mと呼ばれる名古屋の四大百貨店のうち、三越と松坂屋が久屋大通の右に見えています。(ちなみにあとの2つは丸栄と名鉄)
久屋大通に錦通と広小路通が交わるこの地点は、まさに名古屋のド真ん中と言っていいでしょう。
北側で圧倒的に目立つのは右に見えるNTTドコモ名古屋ビルです。アンテナ部分を含む全高は165mとのこと。
都市高速道路が横切るあたりが久屋大通の北端で、その向こうは愛知県庁と名古屋市役所を中心とした官庁街になっています。
屋内展望台に戻り、さてそろそろ下りようかと思ったら、なんと階段の入口ドアには「開放中」の文字が!
つまり、いつでも誰でも屋外階段を利用して昇降することができるようになっているのです。これまでにも比較的小規模なタワーで階段を使って下りてきたことはありますが、100m超級タワーでしかも屋外に設置されている階段を常時開放しているのはおそらくここだけでしょう。
エレベーターシャフトに巻き付くように設けられた、狭くて急な屋外階段。テレビ塔では「展望階段」と呼んでいます。途中には50段ごとに段数表示があったりスタンプが設置されていたりします。
地上から展望バルコンまでは通算435段。小学生が遠足でやってきて階段登りにチャレンジすることもあるようです。
塔3階に下りてきました。お土産店、レストラン、ゲームコーナーがあります。
地上ホールの一角にはギャラリーが設けられていて、テレビ塔の役割やしくみについての展示が行われいます。

ここに写っているのはテレビ送信用のスーパーターンスタイルアンテナで、名古屋テレビ塔では最上部に6段取り付けられてNHK総合の電波を送信しています。
もっとも、展示されているのは福岡のRKB毎日放送が使用していたもののお古なんですけどね。

お土産に買ってきたのは高さ11cmのミニチュア。神戸ポートタワーや通天閣で買ったミニチュアはプラスチック製でしたが、これはアンチモニー製なのでほどよい重量感があります。タワーファンには嬉しい一品。
こちらは買わずに撮影だけしてきた(ホントはよくないんだけど)キャラクターの絵が入った湯呑みとマグカップ。キャラクターは名前をビビッテレくんといって、公式サイトやパンフレットにもちゃんと登場しているのですが、商品展開は今のところこの2品だけ。今後ラインナップを増やすのなら、消しゴムとかストラップとか、小さくて軽いものを作ってほしいです。
 2011年11月26日の登頂記録
テレビの地上波デジタル放送への移行が予定どおり完了し、電波塔としての役目を終えた名古屋テレビ塔の存廃問題は地元メディアで大いに注目されるようになりました。そんな折、名古屋の街に根ざした社会教育活動を行っているNPO「大ナゴヤ大学」が名古屋テレビ塔の今後を考える“授業”(参加者を交えたディスカッション)を行うことになったので、それに参加するというのが今回の再訪理由。参加者を対象にした塔内見学ツアーではこれまでテレビ塔の社員ですら自由に出入りできなかったという放送機器室の特別公開が予定されており、実はそれが一番の目当てです。

そんなわけで8年ぶりの名古屋テレビ塔。その間の2006(平成18)年には塔内の全面的なリニューアルが行われており、前回とはずいぶん趣が変わりました。“授業”に参加する前に、自由に撮影したいのでひととおり見てまわることにします。

かつて1階にあったチケット売り場は3階へ移動したので、来場者は1階を入ったらすぐエレベーターに乗ることになります。脇には案内係の男性がいて入るや否や私を誘導してくれるのですが、私としてはまずは観察がてら撮影したいわけです。ところが1階内部にしてもエレベーターにしても特に何があるわけでもなく、普通の人は被写体になんてしないので、ここで撮影する意図が理解されにくいのは確か。結果、誘導をちょっと制してカメラを構えることになるんですが、やりにくいったらない(苦笑)。

しかし1階には被写体になりそうなものが全くないわけではなく、エレベーターに向かって左側の柱には2005(平成17)年にテレビ塔が国の有形文化財に登録されたことを示すプレートが嵌め込まれています。
もっとも入場した時点では案内係が気になって1階の様子をじっくり見ている余裕がなく、プレートの存在に気が付きませんでした。写真は結局このあとの見学ツアーで撮ったという次第。

チケット売り場がある3階は「スカイターミナル」と名付けられ、1階からのエレベーターと展望台へのエレベーターが向かい合う狭いホールだけの空間になりました。観光客が常に滞留しているのでカメラを向けるのははばかられ、かといってそんな場所で人の流れが途切れるのを待ってずーっと立っているのは怪しい人すぎるので、撮影は断念せざるを得ませんでした。

ということでこの写真は展望台側のエレベーター乗り場。

展望台はこれまで特に名称はありませんでしたが、リニューアル時に「スカイデッキ」と命名されました。
内装は全館で白・黒・シルバーを基調とする色彩に統一されています。建物の古さといい具合に調和がとれていて好ましい配色のように思います。
各方向に設置された風景案内板には昭和30年代の俯瞰写真が掲出され、昔を懐かしんだり現在の風景と見比べたりすることができます。
もうひとつ各方向に設置されているのがこれ、「ハグスポット」のパネル。日本ハグ協会が認定する「日本ハグスポット100選」の第1号がここテレビ塔なんだそうです。が、同協会の公式サイトを見ても第2号以降が認定される気配が全くない……。
最近あちこちのタワーで目にする「恋人の聖地」プロジェクトの亜流ですかね。男女の抱擁なんて人前で堂々とやるようなことじゃないと思っている私としては、こういう試みはあまり愉快ではない。
まあそれでもカップルをターゲットにした集客作戦はかなり有効とみえ、リニューアル後のスカイデッキでは結婚式を挙げることが可能になったのですが、すでにこれだけのカップルがメモリアルプレートに名前を残しています。
屋上への階段は塗装変更のみならず手すりの全面交換も行われたようです。
とはいえ狭いのだけは構造上いかんともしがたい。
屋上側出入口の佇まいはこんな感じ。
かつての展望バルコンは「スカイバルコニー」に名を改めました。
ああ、やっぱりここにも「恋人の聖地」のプレートがあるのか……。
スカイデッキから3階へ下りる展望階段は「スカイウォーク」と名付けられました。常時公開は行われなくなり、毎月第3土・日曜とイベント開催時に限っての開放となってしまいました。
3階スカイターミナルに戻り、階段でワンフロア上へ。壁面には建設からオープン当時のテレビ塔の写真が展示されています。
4階の「タワーレストラン」はディナータイムに備えて準備中。柱と天井の鉄骨がむきだしですが、それがまたいい雰囲気を醸し出しています。
この写真は見学ツアー時に撮ったもの。高級路線のフレンチレストランなんてこんな機会でもなければ入店することはありませんわ。
1階にあった展示室は4階に移動し、展示内容も更新されて「タワーステージ」の名が付きました。
タワーステージの奥のインフォメーションシアターでは誰も見ていないのに名古屋の歴史や観光スポットを紹介する映像が垂れ流されています。
展示の内容が年表や写真ばっかりで、興味をそそるものがもうひとつ足りないんだよなぁ。

同じ4階にある「パークギャラリー」は地元で活躍するアーティストによるオリジナルデザインのファッションや雑貨の展示スペース。同時にミュージアムショップでもあるので気に入った作品は購入でき、テレビ塔グッズも制作されてここで扱っています。
その特性上ギャラリー内の撮影は禁じられているので外から一枚。

撮影禁止といえば、見学ツアーで訪れた放送機器室は自由な撮影が許されたもののネット等で公開することはNGとされてしまいました。ゆえにここではお見せできないのであしからず……。

タワーグッズはいずれも洒落たデザインのものに一新され、残念ながらビビッテレくんは引退。ミニチュアタワーの販売も終了してしまいました。

今回買ってきたのはマグネットとキーホルダー。ミニチュア的なアイテムとしてはボルトとナットを組み合わせて作ったオブジェがあったのですが、現物に忠実な造形ではないので私としては食指が動きませんでした。

ポストカードは2種類を選択。特に左のシルバーメタリックのタイプはテレビ塔の設計図面を複写したマニア好みの1枚。これを見るとタワー直下のかなり浅いところを地下鉄名城線が通っていることがわかって興味深いです。
【その1】その後、2012(平成24)年に再び大幅なリニューアルが行われた。不要になった送信アンテナを取り外したため塔上部の外観はすっきりした印象に変わっている。なお、同年4月からスマートホン向け放送局「NOTTV」の電波送信を開始したので現在もテレビ塔であるとの解釈は一応成り立つ。観光塔として存続するには巨費を投じて耐震補強工事を行う必要があり、その資金をどう確保するかが最大のネックであったが、主要株主でもある愛知県と名古屋市の支援を得て2015年度にも着工する見込みである。
【その2】2012年のリニューアルによって、タワーレストランはウェディングやパーティなどに特化した「パークバンケット」へ転換した。パークギャラリーは閉鎖してタワーグッズも廃盤となったが、新たに1階にオープンしたショップで一部の商品は継続販売されている。1階には他に2店の飲食店がオープンした。
【その3】スカイウォークはスカイウォーキングに名を変え、開催日が日曜日のみとなった。イベント関係は開催日や参加条件が変わりやすいので最新の状況は必ず公式発表を参照されたい。
名古屋テレビ塔

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