建物名称 門司港レトロハイマート
展望台名称 門司港レトロ展望室
所在地 福岡県北九州市門司区
高さ 全高127m 展望室床面高103m
竣工 1999(平成11)年
概要 九州の北の端、寒村にすぎなかった門司の地に港が開設されたのは1889(明治22)年のこと。以来門司港は中国大陸とを往復する貨物船がひっきりなしに出入りする大貿易港へと発展した。また、外洋航路が就航し、鉄道の起点が置かれ連絡船を介して本州と結ばれるなど、門司は九州の玄関口としての確固たる地位を築き上げてきた。こうしたことから門司港周辺には船会社や貿易会社などの有力企業、あるいは官公庁が集まるようになり、明治後期から昭和初期にかけてモダンな西洋建築が数多く建てられた。時が過ぎ、いまや周辺地域の行政・商業・交通の中心地はすっかり小倉へ移ってしまったが、1995(平成7)年に「門司港レトロ倶楽部」が誕生。地元、民間企業、行政が連携して観光振興と地域活性化を推進するプロジェクトを展開している。
歴史的建造物群が形成する古い街並みに、新たな都市機能と観光要素を融合させるという試みで整備された門司港レトロ地区は、観光地としての人気と知名度を着実に高めつつある。その中で象徴的な建物は世界的建築家の黒川紀章氏が設計した「門司港レトロハイマート」であろう。ここは一般市民が居住する高層分譲マンションなのだが、最上階を市が買い取って観光用に開放するという、きわめて画期的な手法による「門司港レトロ展望室」が設けられている。展望室への入場は専用の入口とエレベーターを利用するため、観客動線は住居部分から完全に分離している。地区全体を一望できることに加え、地域の歴史や文化を知るための映像展示、観光情報の提供なども行われており、門司港レトロのビジターセンター的役割を果たしている。
TF式分類 第3種 I類
登頂日 2003年3月19日
 2003年3月19日の登頂記録
門司港レトロハイマートは分譲マンションなのですが、どちらかというとオフィスビルみたいな外観で、そうと知らなければ一般市民が住んでいるとは思えないでしょう。写真は建物の南西側立面を撮ったものですが、マンションらしくないのはおそらくベランダがないからだと推理します。

これから登る門司港レトロ展望室は最上階の31階です。さらにその上、円柱を半分に切ったような形状の部分が目を引きますが、あの中は消防用水槽置場で、上面は緊急用ヘリポートになっています。

観覧者専用の入口がこちら。入って右手に進むと案内のおねえさんが座るカウンターがあります。チケットを買おうと財布を取り出しかけたら、そのままエレベータへ誘導されてしまいました。あらら?

ちなみにエレベーターホールではレトロコラージュと呼ばれる3分ほどの映像展示が行われていて、今昔の風景や市内の観光地などを映しだしています。エレベーター待ちの間も退屈しないようにとの配慮なんだそうですが、入るやいなや追い立てられるようにエレベーターに乗せられちゃったので、立ち止まって見ていられるような状況じゃなかったのが残念です。

エレベーターの中ではサウンドスケープと呼ばれる音響効果が行われていて、まずは汽車が門司港駅に着く場面の音が聞こえてきます。それから船の汽笛や波の音に変わっていき、上昇するにしたがってカモメの鳴き声もだんだん大きくなっていくという演出。
もっとも、それは帰ってきてから門司港レトロ倶楽部の公式サイトで解説されているのを読んで知ったこと。たかがエレベーターにそこまで凝ってたとはね。悪いけど乗っているときにはBGMなんて気にも留めてなかったよ。
約45秒で31階に到着。そこが展望室です。エレベーターを降りたところにも案内カウンターが設置されていて、チケットはそこで買うようになっています。展望階に着いてからチケットを買わせるタワーというのは珍しい。
だいたい南西の方角を見下ろすと、眼前には1998(平成10)年オープンの門司港ホテル。その少し向こうにJR門司港駅が見えます。
この界隈、重要文化財に指定されているような本当にレトロな建物と、平成になってから建てられたデザインだけレトロな建物とがごちゃ混ぜになってて、調和よりも混沌を生み出しているような気がします。
関門海峡を挟んで下関市街地を望む西側の風景。さっき登ってきた海峡ゆめタワーが見えます。
北方には関門橋が見えます。
関門海底トンネルは車道と人道が上下2層になっていることはよく知られていますが、今回私は初めてその人道トンネルを歩いてみました。もっとも、門司側出口はバスの本数が非常に少ないので、結局下関側入口からこのタワーまで延々3kmを歩き通すハメになってしまったのは計算外でした。
かなり汗をかいて疲れたので展望室内の喫茶コーナーでひと休み。窓際のカウンター席で橋を眺めながらアイスコーヒーを飲むのもいいもんです。夜はカクテルもオーダーできます。
最近はモニタ画面付きの望遠鏡を設置しているタワーがありますが(福岡タワー参照)、ここのデジタル望遠鏡はちょっと違う趣向で、屋上に設置されたカメラを遠隔操作して景色を見るという仕組みになっています。
展望室にはアイステアなる見慣れない装置が2基設置されています。NECが博物館施設などでの利用を想定して開発した製品で、別名は情報潜望鏡。バーハンドルを握って左右に動かすと、その方向にある観光地や史跡などに関する情報が映し出されるというもの。
でもこれ有料なのです。100円で5分間利用できるのですが、脇に掲示してある操作説明書を読むだけでめんどくさいし、はっきり言ってあまり面白そうでもない。私が滞在していた30分ほどの間、アイステアのブースには近寄る人さえいませんでした。

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