施設名称 水戸芸術館
所在地 茨城県水戸市
高さ 全高100m 展望室床面高86.4m
竣工 1990(平成2)年
概要 近代的地方自治の基礎法制となった「市制・町村制」に基づき、全国で最初となる39の「市」が誕生したのは1889(明治22)年のことである。これらの市は1989(平成元)年に揃って100周年を迎えたことから、各地で公共建築や博覧会などの記念事業が華々しく実施され、福岡タワーや名古屋市の東山スカイタワーなどもその一環で建設された。
ここ水戸市では記念事業として芸術館を1990(平成2)年にオープンした。全体の設計は磯崎新氏によるもので、音楽・演劇・美術の3分野それぞれの専門施設としてホールやギャラリーを備えるが、外観上最も目を引くのはやはりタワーの存在であろう。高さは100周年にちなみ100m。チタン製の正三角形のパネル57枚を組み合わせた螺旋状の塔体も奇抜だが、上部へ登っても円形の小窓がところどころに空いているだけで到底広々とした景色が望めない点もタワーの"常識"を打ち破るものである。素直に景色を見せようとしない意図は明らかにされていないが、芸術館の運営基本理念のひとつである「楽しみながら考える」ことを観覧者に促す狙いがあるのだろう。
タワーに固有の名称はなく、パンフレットや公式サイトでは単に「塔」とだけ記されている。
TF式分類 第1種 II類
登頂日 2006年11月18日
 2006年11月18日の登頂記録

水戸芸術館の周囲は建物密集地なので100mの塔の全景を写すには引きの取れる足場がなくて苦労します。おそらく敷地西端の交差点付近が唯一のポイントでしょう。

外装に使用されているチタンパネルは厚さ1.5mm、1辺の長さは9.6m。独特の塔体デザインは「過去から未来へ」「伝統から創造へ」を象徴しています。

タワーと芸術館本体は別個の建物ですが回廊でつながっています。
タワーの入口付近に「ART TOWER MITO」というロゴが掲示されていますが、これはタワーの名称ではなくて「水戸芸術館」の英語での呼称です。
ガラス戸を押してタワー棟へ入ります。左の自動販売機で入場券を買い、係のおねえさんに渡すと引き換えにポストカードがもらえます。
ホール内の展示品としては四季折々のタワーの写真パネルと模型が置いてあるくらいです。
傍らではタワーの建設を記録した15分ほどの映像をエンドレスで流しています。
エレベーターは出入口側だけ弧を描いた変則的な形状。タワーの内部構造を見せるためにシースルーとなっており、速度もゆっくりに設定されています。
ドア上の階床表示パネルは数字じゃなくて三角形を点灯させています。こんなの初めて見た。
実用性を考えず装飾性だけを狙った設備ですね。
展望台に着きました。一応3階ということになっています。
内部はなんだか宇宙船を思わせる不思議な空間で、およそ展望台らしくありません。
その最たる要因はやはり窓でしょう。展望台は本来、広々とした景色を見せるための場所なのに、ここでは高さも大きさもまちまちの円い小窓がところどころに空いているだけなのです。

したがって景色はこのように断片的にしか見えないわけですが、だからこそ見えてくる「何か」があるような気もしてなかなか新鮮な体験です。
こうやって「いつもと違った見方」をしてみることが芸術に接するときには必要なのだよ、ということを暗に示しているのかも知れません。

窓ガラスにくっつくくらい顔を突っ込めばそれなりに視界は広がりますが、やっぱり窮屈さは否めない。

南側の窓から見えるのは千波湖、右遠方にそびえているのは茨城県庁です。

西側の窓から見下ろすと足元には芸術館。右の円形の部分は最大636人を収容するACM(Acting Company Mito)劇場、その左は会議場棟です。

会議場の向こうのちょっとした広場には、芸術館が1985(昭和60)年に移転した市立五軒小学校の跡地に立っていることを記す碑が設けられています。

景色が見えないんだったらタワーの建物自体を観賞すればいいじゃない! という考え方もここでは多分「正解」。

見上げると4階に相当する部分へ螺旋階段が通じていますが、エレベーターの機械室なので一般客は立ち入ることができません。塔の先端がどうなってるのか見たいなぁ。

芸術館のエントランス脇にあるミュージアムショップ「コントルポアン」。店名は音楽理論の用語で「対位法」を意味するフランス語に由来しています。芸術関連の書籍が特に充実しているほか、装飾品などの小物が揃っています。

タワーグッズもいろいろありますが、なんといってもクリアファイル(左)が一番のおすすめ。切り抜いて組み立てるとタワーのミニチュアになります。

ちなみにショップで何か買えば同じ展開図を印刷したペーパークラフト(右)が無料でもらえます。クリアファイルを切り抜くのがちょっともったいないと思う人はこちらで工作するといいでしょう。

塔の先端部の写真をあしらったマウスパッドも買いました。
ポストカードも何種類かあったので、洒落た感じのイラスト版2枚と写真版1枚を選んでみました。上はタワーの姿を図案化したピンバッジです。
現在はタワーに常駐の係員はおらず、通常は閉鎖状態となっている。ただし公開を中止したわけではなく、おそらく経費節減のための措置だと思われる。芸術館の受付に申し出ればいつでも観覧は可能である。
水戸芸術館

TOPページへ