建物名称 ミッドランドスクエア
展望台名称 スカイプロムナード
所在地 愛知県名古屋市中村区
高さ 全高247m 展望台(44階)床面高220m
竣工 竣工2006(平成18)年 展望台営業開始2007(平成19)年
概要 現在中部地方で最も高いビルディングである。かつてこの場所には1954(昭和29)年竣工で10階建ての毎日名古屋会館と1955年竣工で11階建ての豊田ビルディングが隣接して建っていたが、耐震性が現行法の水準に達していないことやオフィスのIT化に対応する改修が困難であることなどから、それぞれのビルの所有者である毎日新聞社、トヨタ自動車ならびにトヨタ系の東和不動産の3社が共同で新しいビルに建て替えることとなった。バブル経済絶頂期の1989(平成2)年にスタートした事業計画はその後の景気悪化で中断した時期もあったが、名古屋駅前周辺が都市再生特別措置法に基づく特区に指定されたことによる容積率の緩和や税制上の優遇措置にも後押しされて2006(平成18)年9月末に竣工。オフィス棟を先行して供用開始したのち翌年3月に商業棟と展望台を加えてグランドオープンを果たした。
建物は地上47階建てのオフィス棟と6階建ての商業棟から成る(地下は6階)。商業棟はファッションブランドを中心とした店舗と飲食店・シネコンが入居し、近年ショッピングエリアとしての勢いを盛り返している名駅地区にあって人気の高いスポットとなっている。オフィス棟は17階から40階までをトヨタ自動車が占有し、毎日新聞社と東和不動産も1フロアずつ使用しているほか、多数の有名企業が入居している。
展望台「スカイプロムナード」は最上部の44〜46階に位置し、高層ビルに設置された展望施設としてはオープンエアであることに加え、窓際に沿ってスロープを架設する回廊型のレイアウトを採用した点が画期的である。
TF式分類 第3種 I類
登頂日 2011年11月26日
 2011年11月26日の登頂記録

建物密集地の超高層ビルは撮影が非常に難しく、それはミッドランドスクエアにおいても例外ではありません。この写真はナナちゃん人形で有名な名鉄百貨店メンズ館のあたりから撮ったものですが、かなり見上げたアングルなのがイマイチ気に入らない。しかしこれ以上後退すると南側にある三井ビル北館が被ってしまうので仕方ないのです。私としては順光側から狙いたかったことと、西側の壁がてっぺんでL字型に折れ曲がる特徴的な形状を描写したかったのでまあ妥協できる範囲かな。

オフィス棟は1辺53mの正四角柱の西面にエレベーターシャフトを貼り付けたような形状です。ガラスと花崗岩で覆われ、全体的にシャープで落ち着いた外観デザインは道路を挟んで相対するJRセントラルタワーズと好対照を成しています。

オフィス棟のエントランスです。ミッドランドスクエアの欧文ロゴの下に書かれている文字は「豊田・毎日ビルディング」。私はてっきりこれが正式名称だと思っていたのですが、業界誌などで東和不動産の担当者が述べているところによるとオフィス棟に与えられたサブ名称とのことです。

ちなみに「ミッドランド」とは「中部地方」の意。

1階エレベーターホール。西面のエレベーターは4基ありますが、展望台とレストラン街へは左側の2基を利用します。
そのエレベーターを外側から見てみましょう。
最近の超高層ビルではダブルデッキ型の導入例が増えつつありますが、シースルーなのはここが世界初なのだとか。この写真はオープンカットの地下1階で撮ったもので、即ちダブルデッキの下段は地下1階、上段は地上1階で乗り降りします。

キャビン内にはエレベーターがダブルデッキである旨の掲示があります。
中間階には停止しないのになぜ24階だけ階床表示があるのかは謎。どうやら24階にはトヨタ自動車の受付があるらしい。

42階に着きました。地下1階から乗った人は41階に到着するので、展望台へ行くにはエスカレーターで1階分上がる必要があります。この写真だと動線がよくわかると思います。
両階は“天空のプレミアムダイニング”をコンセプトとする「スカイレストラン」で、7店が出店しています。
展望台の入場口。左脇のインフォメーションボードには現在の屋外状況が赤地に白抜き文字で「視界良好です」と表示されています。
奥へ進むと現れるのがチケットロビーのチューブ状の通路。ビル内外が全体的に直線的な造形とシックな色調で統一されている中で、ここだけ異彩を放っている気がします。
チューブ内の照明は数秒おきに赤・青・紫・緑などに色が変わる演出がなされています。
チケットロビーの突き当たりには券売機が2台。そのすぐ右側で係のおねえさんにチケットのチェックを受けると……
長〜いエスカレーターがあるのでこれを乗り継いで46階へと上がります。
入場口からここまでアプローチが長くてずいぶんもったいつけてくれましたが、この自動ドアをくぐればいよいよ展望台です。
緩い下りスロープの空中回廊をめぐらせた斬新なスタイルの展望台は「スカイプロムナード」と名付けられています。夜間には回廊の下部からミストを噴出し、照明効果をともなって雲海を歩いているような幻想的なシーンを演出するアトラクションが行われます。
構造や順路がどうなっているのかは、随所に掲示されている透視図を見るとわかりやすい。
まず南側の風景。手前に見えるのは円柱をねじったような奇抜な外観をしたモード学園スパイラルタワーズ。中身は専門学校なので部外者は登れません。
奥へ伸びる線路は新幹線と東海道本線で右へ分かれるのは関西本線と近鉄名古屋線。2003(平成15)年にJRセントラルタワーズの展望台から撮った写真では完全な空地だった「ささしまライブ」には2004年にあおなみ線の駅が開業し、商業施設や大学が進出しています。
東側は栄・錦・丸の内といったオフィスや商業施設が集積するエリアを間近に眺めます。名古屋テレビ塔はそれほど遠くない場所にあるのですが、シルバーの塔体が背景のビル街に紛れてしまって非常に判別しづらい。東山スカイタワーは比較的見つけやすいのですが、やや遠いので写真だとやっぱり判別しづらくなってしまいます。
北側ははるか遠くに冠雪を頂いた白山が姿を見せています。中央手前のやや目立つ建物は名古屋プライムセントラルタワー(オフィスビル)とブリリアタワー名古屋グランスイート(マンション)です。
西側は回廊が渡されていないのと眼前にJRセントラルタワーズが立ちはだかっているのとで展望はあまり楽しめません。
そのJRセントラルタワーズが来場者数不振で2005(平成17)年に展望台を閉鎖してしまったのに、その後にオープンしたミッドランドスクエアがあえて展望台を設置したのには驚かされたものです。単に景色を見せるだけではダメだとわかっているからこそ展望台の構造や演出に工夫を凝らしたのでしょうが、競合相手がいないとはいえどこまで頑張れるか。こちらは仮に展望台を閉鎖しても他の用途には転用しにくいでしょうから、これからも色んな仕掛けを繰り出してくるはずです。
このように画期的で意欲的な展望台ではあるのですが、ウィークポイントをひとつ挙げるとすれば回廊と窓が離れ過ぎていることでしょう。ガラスの反射を避けて風景写真を撮るにはレンズをできるだけ窓にくっつければいいのですが、回廊から腕をめいっぱいに伸ばしても窓には到底届きません。それでも写真ならば狭い間隔で林立する柱を避けることができるだけマシで、ふつうに回廊に立って景色を眺めるとご覧のとおり柱が視界を遮りまくりなのです。これは底面にあたる44階でも同様で、むしろ回廊よりも遠い位置に柵が設けられていて(あまつさえ窓との間は掘り込みになっている)窓に接近することができません。
44階からの視点で展望台内を見るとこんな感じ。オープンエアといっても北面と東面にだけ屋根がかぶさっていないに過ぎず、開放感には乏しいのが実状です。
右側の壁面はコアウォールと称し、夜間にはさまざまなパターンで照明を点灯する演出が行われます。ミストにしてもコアウォールにしても夜間の演出にはかなり力が入っている反面、昼間は何も行われておらず落差を感じます。
回廊の真上は屋根じゃなくて金網です。したがって雨天時にはそれなりの備えをもって観覧する必要があります。
もうひとつ気になったのは商売っ気のなさですね。展望台にはつきもののおみやげショップがなく、せいぜい休憩コーナーに飲料販売機が置いてあるだけ。ロゴ入りグッズのひとつも存在しないのは寂しい限りです。
・ミッドランドスクエア
・スカイプロムナード

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