建物名称 ラ・レインボータワー
所在地 岡山県倉敷市
高さ 全高150m 展望キャビン最大高138m
竣工 1988(昭和63)年?
営業中止 1997(平成9)年?
現状 塔体現存
TF式分類 第2種 II類
概要 瀬戸大橋を望む倉敷市下津井に建てられた5階建ての大規模ドライブイン「ラ・レインボー」の付帯施設としてオープンした。回転昇降式展望塔としては世界一の高さを誇り、展望キャビンの直径23m、定員150人という数値も最大級である。ドライブインはのちに全館改装されて「ホテル・ラ・レインボー」へと業態を変更している。
運営していたのは岡山市内に2つのゴルフ場(そのうちの1つにもラ・レインボーの名が付いている)を持つ日本ゴルフ開発の子会社であるラ・レインボー株式会社。同社は他にも400席規模のシーフードレストランを営業し、クルーズ船を2隻所有して遊覧やチャーターに供していたほか、橋の東側に位置する小与島全体をベネチア風リゾートアイランドとして開発すべく大規模な土地買収を行いリゾートホテルをオープンさせるなど、瀬戸大橋ブームを過信して急激に事業を拡大した。しかしブームは長くは続かず、バブル崩壊も追い討ちとなってタワーはホテルごと閉鎖。相前後してレストランも小与島のホテルも廃業を余儀なくされる結果となってしまった。
 2004年5月2日撮影
寝台特急「サンライズ瀬戸」で児島駅下車。それから下津井行きのバスに乗って鷲羽山ハイランド前に着いたのは朝の7時半でした。目指すラ・レインボータワーの廃墟はハイランド駐車場脇の坂道を下りていったところにあります。その脇道へ入るところに道案内の看板が残っていました。
坂道を下りていくと、すぐにタワーとホテルの全景が見えてきました。タワーには展望キャビンを昇降させるためのワイヤーが張られているのですが、そのワイヤーが弦となり、海風に煽られてヒュンヒュンと音を立てています。

道路も歩道に雑草が生えていたりして放置に近い状態にありますが、左へ折れるとハイランドや隣接するホテルの駐車場があるので意外と車の通行は多いのです。

ホテルの入口です。ガラスが破られて荒れ放題の状況になっているのは廃墟の常ですが、これ幸いと潜入を試みます。特にロープが張ってあるわけでも「立入禁止」の貼り紙があるわけでもないのですが、どうも廃墟へ足を踏み入れるときは多少の後ろめたさを感じてしまいます。
館内に踏み込むと、そこはカビ臭い空気に支配された沈黙の空間でした。

まず見つけたのがタワーのチケット販売機です。大人800円、小人500円を徴収していたようです。裏側は事務室になっていて、床一面には書類が散乱していました。その中からチケットとステッカー、カラー刷りのパンフレットの回収に成功。ホコリまみれなのもかまわず持参のファイルケースに押し込みます。

タワーの搭乗口は2階にありました。オープン当初はここに順番待ちの行列ができていたことでしょう。
傍らには時刻表。表示が剥がれてしまって運行状況がよくわかりませんが、察するところ当初は15分おきの運行だったのが、やがて利用客が減って1時間おきになったのではないかと思われます。

チケットは2階フロントで買えという表示がありますが、先ほどの券売機は1階に設置されていたものなので辻褄が合いません。都合2ヶ所で販売していたのか、はたまた券売機の電気代節約のためにフロントでの手売りに切り替えたのか……。

搭乗口を抜けて、この階段で3階へ上がったところにキャビンが停止しています。これには驚きました。というのは……

最近は廃墟探訪系のwebサイトが増えており、このホテルの潜入記もいくつかあるようです(もっとも廃墟系サイトの暗黙のルールとして物件の名称とか所在地は明記しないことになっているらしく、検索でひっかけるにはちょっとコツがいります)。私は当地へ来るまでに2つほどサイトを見つけていたのですが、いずれもタワー棟まで来ていながらキャビンに関する記述や写真が全くなかったので、てっきりキャビンは撤去されたものだと思っていたのです。

わくわくしながら3階へ来てみると……。あっ、なんとキャビンの入口が開けっぱなしじゃないですか! ないと思っていたキャビンがあったばかりか、さらに中に入ることができるとは!!
もう興奮は最高潮です。
このタワーは高さだけではなくキャビンの直径も世界最大級だったのですが、そのわりには内部が非常に狭い。定員は150人だそうですが、満席になったら窮屈なだけじゃなくて乗り降りにも手間取りそうです。
キャビン内側のドアを開けると、中心部分へつながっていました。あそこまで行くと駆動装置かなにかが見られるのかもしれませんが、安全を第一に考えて渡らないでおきました。
ホテル部分も観察したいのはやまやまだったのですが、目の前の道路を通る車や通行人が少しずつ増えてきたので、どうも人目が気になります。ホテル棟は窓が大きいので、館内で人影が動いているとおそらく外からでもよくわかるはずです。廃墟潜入というのはあまり誉められた行為ではないので、ヘタに通報されたりすると厄介ですから、とにかくタワーを見るという所期の目的は達したので退去することにしました。

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