建物名称 京都タワー
所在地 京都府京都市下京区
高さ 避雷針高131m 展望室(5階)床面高100m
竣工 1964(昭和39)年
概要 国鉄京都駅の正面に庁舎を構えていた京都中央郵便局が現在地に移転したのは1961(昭和36)年のことであるが、その構想が持ち上がった1952〜53年頃には早くも跡地の払い下げを希望して複数の民間企業が名乗りをあげた。しかし駅前の超一等地であることからその選定には慎重な検討が必要とされ、京都商工会議所主催による懇談会が設けられた。その結果、京都財界を結集した新会社を設立し、観光都市の表玄関にふさわしい文化・観光の一大センターを運営するのが最適であるとの結論に至る。これを受けて株式会社京都産業観光センターが発足、いよいよビル建設に着手することとなった。
設計者は日本武道館をはじめ数多くの公共建築を手がけた山田守。当時のビルディングは高さ31mという建築制限があり、センタービルも制限いっぱいの9階建て・31mで設計された。当初は屋上に展望台か電波塔のようなものを設置する構想はあったものの、タワーのような巨大な構造物を建てる予定はなかったのである。しかし時の専務が横浜のマリンタワーに触発され、急遽タワー建造の可能性を探ることとなる。検証の依頼を受けた構造設計の権威、京都大学教授・棚橋諒によって、ビル屋上にタワーを載せることは技術的に可能との見解が出ると、屋上工作物という名目で高さ100m・重量800tのタワーの設置が決定した。塔体は厚さ12〜22mmの特殊鋼の円筒を溶接でつなぎ合わせてできており、骨組みが存在しない。専門的には応力外被構造(ストレスト・スキン)と呼ばれる構造を採用しているのが特徴である。
建設の過程においては喧々囂々の景観論争を巻き起こすなど波乱もあったが、東海道新幹線開通とほぼタイミングを同じくして1964(昭和39)年12月にオープン。1975(昭和50)年には会社名も京都タワー株式会社と改め、現在は京阪電鉄のグループ企業となっている。
TF式分類 第1種 I類
登頂日 1回目 2003年5月1日
2回目 2005年4月30日→この日の登頂記録へスキップ
3回目 2007年4月13日→この日の登頂記録へスキップ
 2003年5月1日の登頂記録
京都タワーの外観はろうそくを模したものだという説が一般的ですが、設計者のイメージは灯台だったようです。京都タワーの社史には設計初期段階のデザイン画が掲載されているのですが、その姿は和歌山県の潮岬灯台をモデルにしたということです。

タワーの高さである131mという数字は、設計当時の京都市の人口・131万人にちなむというのもあちこちのサイトや文献で見かけるエピソードです。統計資料を調べてみると、建設計画の大要が決まったとされる昭和37年12月ごろの人口はたしかに131万人台ですが、社史にはそういう記述がありませんでした。土台のビルが31mだから、単にキリのよい100mのタワーを建てただけなんじゃないかなぁ、という気がしなくもないですが。

タワービルのエレベーターで11階に上がると、そこがタワーの1階です。展望室へはこの改札を通って、奥のエレベーターに乗り換えます。

ビルの地下3階には、その名もタワー大浴場があって、チケットにはその割引券もついています。公式サイトを見ると、どうってことない古びた公衆浴場なのですが、タワー大浴場って聞いたら、フツーは展望台に風呂があるものだと思うんじゃないか? それなら俺も積極的に入りたいぞ。

あと、パンフレットといっしょに手相占いの割引券をくれました。通常500円のところを300円にしてくれるそうなんですが、入場者全員に配るくらいならはじめから300円に設定しておけばいいのではないかと……。

展望室は2層になっていて、エレベーターは上階である5階に到着します。

ご丁寧にも各窓に1台ずつ望遠鏡が設置してある。こんなに望遠鏡密度の高いタワーは初めてだな。

こちらは遠く比叡山を望む北東の方角。京都もこうしてみるとすっかり都市景観が支配している印象ですね。
中央に見える緑は東本願寺の別邸である渉成園。別名を枳殻邸(きこくてい)といいます。
タワーのすぐ北で巨大な伽藍を構えているのは東本願寺。京都では昔から親しみをこめて「お東さん」と呼んでいます。真宗大谷派の本山で、正式名称は真宗本廟。中央の御影堂は世界最大の木造建築なんだとか。

その右手、奥へと伸びる太い道路は烏丸通。地図を見るように碁盤目状の町並みを認識するにはタワーをどれくらいの高さにしたらいいんだろう?

西側にはこれといって目立つ建物がありませんが、中ほど右寄りの三角屋根が少し目を引くかと思います。これは現在「平成の大修復」が行われている西本願寺御影堂を覆う「素屋根」と呼ばれるものです。
そしてタワーの真っ正面には京都駅。1997(平成9)年に完成したこの巨大な駅ビルの設計者は、空中庭園展望台のある梅田スカイビルを手がけた原廣司氏。

駅ビルの高さは60mで、コンペに出品された7つの案の中では一番低いものだったそうですが、それでも京都でこれだけデカい建物を造ろうとすれば、必ず景観論争が勃発するわけです。他の案の中には高さ120mのタワービルを建てるものもあったそうですが、なんだかそれに決まらなかったのは残念なような、ホッとするような……。

展望室には何軒かのお土産店が並んでいるのですが、どうしたわけかタワーグッズを置いていないんですね。これは感心しない。

もうひとつ感心しないのは、どう考えても権利関係がクリアになっていないと思われる、マンガやCMのキャラクターあるいは芸能人のグッズが堂々と売られている点。これはタワーに限らず、新京極とか嵐山など市内各所でよく見かけるわけですが、京都のお土産業界はそういうのを恥と心得た方がいいと思うよ。

私が大好きな直下展望ポイントは京都タワーに1箇所だけあります。展望室は2層になっていると書きましたが、5階から4階へ降りる階段付近で、柵からちょっと身を乗り出すとこんな風景が見られます。もちろんガラス越しですから安全です。
4階展望室は上階に比べて直径が小さいためやや狭さを感じます。そのためこちらには望遠鏡が設置されていません。
頭上には何枚かの古い写真パネルが掲示してあります。タワーがオープンして間もない昭和40年の風景と今とを見比べてみましょう、という趣旨ですね。こういうところはさすが老舗タワーだと感心。
なにやら年季の入ったこの機械は、京都市衛生公害研究所が設置している大気汚染測定装置です。大気中のオキシダント濃度を測定するほか、風向・風速・気温なども観測しており、京都市内にはこうした測定局が18箇所に設置されているんだそうです。
エレベーターでタワー2階に降り、階段でひとつ上がると、タワーホテル直営の展望食堂があります。奥の方に「スカイレストラン」という看板がかかっていますが、パンフレットには「スカイルーム」と記されています。まぁどっちでもいいや。
誰もいないのは11時30分の営業開始前に撮ったからで、決して寂れてるわけじゃありません(たぶん)。どうやら実体はセルフサービスで軽食を扱っている程度らしい。
タワー2階から1階にかけての2フロアは「展望いべんと館」と呼ばれ、帰りの順路に組み込まれています。なかば強制的に観覧させられるわけですが、ある意味ここからが京都タワー観光の醍醐味。なぜかって? いいから先へ進むべし。
つまり、京都の年中行事をジオラマとか動く人形とかで見せるという趣向なんです。題して「てんぼう回り舞台 京の街 まわりゃんせ」。

2月は吉田神社の節分が紹介されてまして、この赤鬼、人が通るとセンサーが反応して棍棒をガーッと振り上げる動きをするんです。驚くより先に笑ろてまうがな。

4月の「都をどり」のコーナーでは、お察しのとおりこの人形が舞うわけですよ。わはは。今回ばかりは動画を撮れる機材を持ってないことを悔やんだぞ。
後半は歴史上の人物とか物語の主役たちなんかが展示されていて、こんなふうにちょっと肥えたかぐや姫がいたりする。
社史をひもとくと、展望いべんと館では何年かおきにアトラクションを入れ換えているようなんですが、掲載の年表によると1984(昭和59)年に「サイボット館」というのがオープンしていて、展示品の一部はどうやらそれ以来のものらしいです。サイボットっていうのは、たぶんサイエンスとロボットの造語なんだろうね。
老舗かつ全国的知名度の高いタワーにもかかわらず、オリジナルグッズが極端に少ないのは残念至極。展望室の土産店では見つけることができず、タワービル1階の「名店街」を隅々まで歩き回ってやっとキーホルダーを見つけたくらいです。
いちばん欲しいタワーのミニチュアは、たぶん存在すらしていないと思われるので購入は諦めましたが、このお守りにはレリーフのように半立体になったタワーがくっついていたので次善の策(?)として、つい買ってしまいました。
しかしこれ、いかにもお守りふうの見かけで「金運と幸運を招く」なんて書いてあり、裏面には「交通安全」とも大書してあるんですが、中を開けてみてもどこかのお寺や神社で祈願したという記載があるわけでもなく、つまり御利益なんかどこにもありゃしないただの印刷物なんです。
まあ、お守りと称して売ってるわけじゃないので問題はないんでしょうが、例の権利関係が怪しいグッズともども、京都タワーはいちど館内で売られているお土産について真剣に考えた方がいいんじゃないのかな。
 2005年4月30日の登頂記録
京都タワーにもついにオリジナルキャラクターが登場しました。その名もたわわちゃん!
うわー。かわいいんだかかわいくないんだか微妙なデザインだ……。

タワービル1階の名店街にあるお店ならだいたいどこでも販売してます。本当はピンバッジだけ買うつもりだったんですが、だめだ、どうしてもぬいぐるみに手が伸びる衝動を抑えきれなかった!(笑)

さらに 2007年4月13日の登頂記録
またまたやって来ました京都タワー。内外装をリニューアルしたことに加え、当サイトをご覧の方からグッズに関する耳寄りな情報をお寄せいただいたため、それを目当てに再訪を企てていたところ、実に絶妙なタイミングでなんと京都タワー株式会社様より「リニューアルしたので中をご案内します」とのメールをいただいてしまいました。タワーファンとしてはたいへん光栄なお話なので喜び勇んで出向くことにしたのでした。

当日は曇りがちの天気だったので写真映りがよくありませんが、15年ぶりに塗り直されたというタワーの外装は、目にした瞬間「あ、白くなってる」とわかるくらい鮮やかになってました。展望台外枠のオレンジ、窓まわりのブルーもくっきりと浮かび上がっています。

しかし劇的に変わったのはタワーの内部です。
まずはタワー5階。濃紺を基調とした落ち着いた内装デザインは洗練された印象を与えますが、実は目に見えない部分に大きなポイントがあります。それは館内に環境音楽が導入されたこと。京都精華大学准教授で工学博士の小松正史氏のプロデュースにより、風景をさらに「きれいに」「楽しく」感じることができるような効果を狙って「音環境デザイン」という概念が取り入れられています。
床が塩ビ系床材からカーペット敷きになったのもその一環で、騒音や雑音を吸収する素材が選ばれているとのこと。でもまぁ傍らで修学旅行の中高生がはしゃいでいたんでは台無しだ……。
ちなみにこのカーペットの格子模様は、京都の碁盤目状の街路をイメージしたものだそうです。
室内がかなりすっきりした印象になったのは、色彩と音響もさることながら、むしろゲーム機と売店を撤去したことが大きな要因でしょう。写真のこの場所にはかつてお土産品の売店があったのですが、このとおり痕跡すら留めていません。一部の店舗と手相占いのコーナーはタワー1階に移されて存続しています。

あー、そういえば今回もパンフレットに手相占いの割引券が挟まってた(笑)

窓の外の風景には目立った変化はないようです。西本願寺の御影堂は修復を終えました。
入れ替わりに(?)今度は東本願寺の御影堂が修復工事に入りました。
タワー4階もゲーム機が撤去されてすっきりした空間になり、簡易なベンチが設置されています。

このあと下りエレベーターを特別にタワー3階に停めていただいて、以前スカイレストランだった部分の改装工事の様子をちょっとだけ見せてもらいました。まだ公式発表を行っていない段階なので写真を撮ることはできませんでしたが、装いも新たに京都タワーホテル直営のスカイラウンジ“空(KUU)”がオープンしています。

日曜・祝日の午後にはたわわちゃんの着ぐるみがお出まししてグリーティングを行っているそうなのですが、時間帯の合わなかった人や平日に来た人はこちらのたわわちゃんと記念撮影をどうぞ。

着ぐるみたわわちゃんの活動範囲はタワーを飛び出して、京都近辺の色んなイベントにも出没しています。もはやタワーどころか京都を代表するキャラクターとなりそうな勢いです。

かつて展望台の改札脇に立っていた舞妓はん人形(とくに名前はないそうです)は改札口の向かい側に場所を移し、着物は黄色から淡い青へと装いを新たにしました。
ここで京都タワーマニアの皆さんには悲しいお知らせです。なんとリニューアルに先立つ2005年、展望いべんと館は完全撤去され、ご覧のようなギャラリーになってしまったのです!

案内して下さった方のお話によると、展望いべんと館がなくなったと知って残念そうに帰っていくお客さんが時々いるそうです。ネットで検索すると展望いべんと館の潜入記は数多くヒットし、まぁほとんど例外なく無遠慮なツッコミの嵐に晒されまくっているわけですが(笑)、実はそれもみんなに愛されていたことの証しだったのではないかと思われ、なんとも惜しまれます。

たわわちゃんグッズはアイテム数がグッと増え、公式サイトによると現在13種類。左のでっかいぬいぐるみは体長40cmで、その右の小さいのは12cmほど。
ストラップも何種類かありますが、ここでご紹介するのは織物仕様というおしゃれな一品。
その下のピンクのケースに入っているのは京都らしく(?)油取り紙。たわわちゃんの百面相が描かれたタオルハンカチもあります。前回紹介したピンバッジももちろん継続して販売されていますよ。

なお、たわわちゃんグッズの取り扱いは名店街の中の1店舗だけに集約されました。

冒頭に書いた「グッズに関する耳寄りな情報」というのはこれ、タワーのミニチュアです。どうやら昔は販売されていたらしいという噂は聞こえていたのですが、現在は常時販売されているとのことで嬉しい限り。(それとも前回は私の探し方が甘かったのかなぁ?)
【その1】2016(平成28)年10月に京都タワー株式会社は京阪グループ内でホテル事業を展開する2社と合併し、称号を京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社に改めた。
【その2】2017(平成29)年4月に下部ビルの地下1階〜地上2階が全面リニューアルし、京都の食・土産・体験をコンセプトとする「KYOTO TOWER SANDO」がオープン。55店舗が新たに営業を開始した。
京都タワー

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