施設名称 串本海中公園 海中展望塔
所在地 和歌山県東牟婁郡串本町
高さ 塔本体高14.0m 設置水深6.3m
竣工 1971(昭和46)年
概要 「海中公園」とは自然公園法の規定に基づき、国立公園および国定公園エリア内における優れた自然景観や資源等を保護・維持することを目的として指定された海域のことで、正しくは「海中公園地区」と称する(法改正に伴い2009年に「海域公園地区」と改称)。串本海中公園は1970(昭和45)年に全国10ヶ所が同時指定された最初の海中公園地区のひとつである。錆浦(さびうら)と呼ばれる周辺海域は透明度が高く、黒潮の影響で冬でも水温が15度を下回ることのない温暖さから熱帯魚も数多く棲息し、テーブルサンゴの群生地としては世界最北に位置するなどの特性から2005(平成17)年にはラムサール条約の登録地にもなっている。
もっとも、串本海中公園といえば水族館や海中展望塔から成る観光施設のことというのが一般的な認識だろう。運営しているのは株式会社串本海中公園センターで、1969(昭和44)年に設立された。1970年にまずレストランとグラスボートの運営を開始し、さらに翌71年1月には国内3番目となる海中展望塔をオープン。水族館は同年10月に営業を開始した。また、設立と同時に串本海中公園研究所が発足しており、海洋生物の生態や生息地保全のための調査研究とともに一般への啓蒙活動を行っている。同社は名古屋鉄道が98%以上を出資する連結子会社であったが2005年に同社グループから切り離され、スキー場やリゾートホテルなどを運営する株式会社鈴木総本社(現・鈴木商会)の傘下へ移っている。
TF式分類 亜種
訪問日 2012年8月3日
 2012年8月3日の訪問記録
串本海中公園へはJR串本駅から無料送迎バスで約10分。おおむね1時間おきの運転で列車との接続も良く、アクセスは便利です。
とはいえ今日はこのあと潮岬観光タワーと潮岬灯台へも行く予定なので、滞在時間は次のバスまでの約1時間。少々慌ただしい見学となります。

当水族館の特色は串本の沿海に棲息する生物だけに限定した約500種を展示していること。全国的に有名な水族館に比べればはるかに小規模ですし、集客の目玉になるような珍しい生物がいるわけでもありません。串本に所在する施設として串本の海をありのままに紹介することに重きを置いています。

水族館も大好きな私としてはじっくり観覧したいところですが、滞在時間が限られているので海中展望塔を優先しなければならず、各水槽をざっと眺めるだけにとどめます。

海中展望塔は水族館を通り抜けた先の沖合140mに佇んでいます。堤防と橋の赤い手すりが海の青に映えて鮮やかなコントラストを描き出しています。
この施設も串本の海を紹介するという基本方針に基づいて、よりリアルな海中のようすを観察してもらおうと設置されたもの。同様の趣旨で半潜水型海中観光船「ステラマリス」も運航されているのですが、今日はこんなに素晴らしい晴天なのに強風と高波で臨時休航とのこと。堤防を歩いているときも身体が吹き飛ばされそうになるやら波をかぶりそうになるやらでちょっと怖いくらいでした。

今までその存在を知りつつも、これはタワーじゃないよなぁ、と登頂対象にしてこなかった海中展望塔ですが、ふとしたきっかけで調査を始めてみると、これはこれでなかなか面白い。そこで当サイトでも番外編として扱うことにして、いよいよ海中展望塔初体験です。
ここの塔体は国内の海中展望塔としては最も小規模で、ランタンみたいな海上部分の姿はあまり塔らしくありません。

それはそうと、海中展望塔では「登頂」という言い方がそぐわないので何かいい表現がないものかと考えたのですが、これはという語が思いつかなかったので「訪問」としておくのが適当でしょうか。

入口には塔のスペックを表示したプレートが掲出されています。所在地が和歌山県西牟婁郡串本町になっており当ページ冒頭の記載と異なりますが、これは私が間違っているのではなく、2005(平成17)年に旧・串本町と東牟婁郡古座町が合併して新・串本町が誕生した際、所属が東牟婁郡に変わったのです。
塔のいちばんくびれた部分の直径は4.7mなので階段は窮屈さを感じます。
展望室部分の外径は7.8mで定員は40人。周囲にめぐらされているのは直径30cmの40枚の円窓。室内にはほとんど照明が設置されていませんが、水深が浅いので海中は明るく、自然光だけで充分です。
階段の裏側にあたる部分に掲示されているデータは左から水温、透視度、魚の種数。条件が良ければ透視度は最大20mくらいに達するそうですが、今日はわずか4mしか見通しが利かない“ハズレ”の日です。海中公園の公式サイトに載っている月別平均データによると、透視度が高いのは冬、魚の種類が多いのは秋とのこと。
ところで魚の種類ってどうやって調べてるんでしょうね。担当者がチェックリスト片手に毎朝集計しているのかしら?
窓からの眺めはこんな感じ。私が見たいのは海中よりも建物の内部なのでまあいいんですけど……。
塔の海上部分にはささやかな展望デッキがあります。屋根はなく、必要に応じて青いテントを下ろすようになっているようです。
展望デッキから望む潮岬。潮岬は陸繋島で最大標高は70mほどですが、こうして見るとやけに平べったい地形です。
串本海中公園では多数のオリジナルグッズを制作・販売していますが、海中展望塔をあしらったものはほとんどありません。売店内をくまなく探し回ってようやく見つけたこのストラップが唯一のものだと思います。当水族館の人気展示「ウミガメパーク」にちなんだウミガメのチャームは色違いの2種類があります。
串本海中公園

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