建物名称 倉敷ダム展望タワー
所在地 沖縄県うるま市
高さ 全高41.5m 展望台床面高36.65m
竣工 1996(平成8)年
概要 沖縄県の年間降水量は全国平均値を上回っており、国内でも指折りの雨の多い地域なのだが、それにもかかわらず昔から水不足に悩まされてきた。要因としては、降水量は梅雨の5〜6月と台風シーズンの8〜9月に偏って多いなど季節変動が大きいこと、陸地面積が狭いので流量の小さい短い河川しか存在せず、水源の確保が難しいこと、人口密度が高いため人口1人あたりの降水量では本土を大きく下回っていることなどが挙げられる。沖縄本島では近代的水道設備が整ってからでさえも1993(平成5)年まではたびたび長期にわたる給水制限を余儀なくされてきたのである。
このため沖縄本島には北部山間地を中心に15か所のダムが設けられ、利水と治水の両面から県民生活を支えており、沖縄市とうるま市に跨る倉敷ダムもそのひとつである。もとは1961(昭和36)年に完成した利水専用の瑞慶山(ずけやま)ダムを14年がかりで拡張リニューアルして多目的ダム化したもので、1996(平成8)年の完工時にかつて当地の集落名であった「倉敷」にちなんで改称した。ダムサイト周辺には公園が整備され、その北端にダム湖の監視を目的としたタワーが建てられている。なお、このタワーは単にダムの付属施設であるにすぎないということからか、固有の名称はつけられていない。
TF式分類 第1種 I類
登頂日 2005年4月24日
 2005年4月24日の登頂記録
倉敷ダムへはバス路線が乗り入れていないので、コザ市街地でタクシーをつかまえてやってきました。家族連れがピクニック気分で遊びにくる場所として地元では人気が高く、この日も曇りがちな天気ながら多くの来訪者がありました。とはいえ、旅行ガイドブックの類には全く載っていないので、本土からの観光客が来ることは稀だと思います。
石碑に刻まれた「倉敷ダム」の文字は、当時の大田知事の筆によるものです。
展望タワーはダム湖に突き出す半島の先端部、クムイナガミドゥクルと名付けられた芝生広場に立っています。クムイとは琉球言葉で池とか沼の意ですが、ここでは湖ですね。ナガミドゥクルは「眺めどころ」の転訛。すなわち「湖を眺めるところ」という意味です。

タワー本体はコンクリート造りの白塗りの四角柱で、なんだかちっとも化粧っ気のない外観をしています。真上から見ると、国土地理院の地形図で用いられている「塔」の記号そのままの形をしているはずです。

タワー入口の自動ドア。入場は無料なので窓口などはありません。そもそも常駐している係員がいません。
中へ入ると小さな記帳台が置かれていて、住所と名前を記入するようにとの貼り紙があるんですが、個人情報の取り扱いに世間が神経質になってるこのご時世、どうやらあまり律儀に従ってる人はいないようで、私も記帳しませんでした。
自動運転のエレベーターに乗り込むと、中間階はないはずなのに2と3のボタンが……。
ためしに2のボタンを押してみたら「ご利用できません」との音声案内が聞こえて焦った(笑)。ご丁寧に4を省いているけど、意味があるとは思えねぇ。
淡いピンク色を基調とした内装の展望室。望遠鏡もベンチもない、がらんとした空間です。
眼下にダム湖を眺める西側の風景。右手奥には米軍嘉手納基地が広がっており、飛行機の離発着シーンを間近に見ることができるのですが、今回の滞在中には1度も飛来してきませんでした。

天気がいい日は西に東シナ海、東に太平洋を見ることができ、それがこのタワーのセールスポイントになっています。

南側には緑地が広がっています。ダムサイトのほとんどは沖縄市に属しているのですが、タワーの立っているクムイナガミドゥクルの部分だけがうるま市(旧・石川市域)にはみ出しています。境界線はちょうど画面の中央付近を横切っていて、赤い屋根のダム管理事務所の建物は両市に跨っているのですが、出入口はうるま市側にあるので、事務所の所在地はうるま市ということになっています。
管理事務所棟の一部はダム資料館になっていて、水を使った実験装置やなんかが数台置かれています。天井から龍神様が現れる仕掛けの施された映像シアターまであるのですが、展示スペースは非常に小さく、ほんの数分もあれば見終わってしまいます。

さて、帰りのタクシーを呼ぼうと思ったら敷地内に唯一存在する公衆電話が故障したまま放置されているじゃありませんか!
困ったことになりましたが、コザから倉敷ダムへ来る途中には観光地として知られる東南植物楽園があるので、そこまで2kmばかり歩いてやっとタクシーをつかまえることができました。「携帯電話を使えば問題ないじゃん」ですって? 私は極端な電話嫌いなので所持していないのですよ。おかげでタワーからの帰りにタクシーを呼ぶのにはけっこう苦労してます。

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