建物名称 クロスランドタワー
所在地 富山県小矢部市
高さ 全高118m 展望台床面高100m
竣工 1994(平成6)年
概要 小矢部市は富山県西部の内陸に位置する人口約3万2000の小都市である。歴史に名高い倶利伽羅峠を介して石川県に接し、市中心部の石動(いするぎ)地区は北陸道の宿場町として栄えてきた。市内の多くの公共施設が世界の名建築をモチーフとした特徴的なデザインで建てられており、これらは「メルヘン建築」と呼ばれて同市の名物となっている。
クロスランドタワーは「クロスランドおやべ」と称する地域交流施設の敷地内に立っている。クロスランドというネーミングは、小矢部市が国内でも数少ない高速道路が十字に交差する都市であることにちなみ、文化・芸術・経済が交差する拠点であることを表している。クロスランドおやべを管理・運営しているのは同名の財団法人だが実質的には市営施設とみていい。タワーのほかにはミュージアム、多目的ホール、音楽専用ホール、芝生広場、パターゴルフ場などが設けられ、年間を通じて多彩なイベントが開催されるなど、多くの市民に利用されている。
TF式分類 第1種 I類
登頂日 2005年6月3日
 2005年6月3日の登頂記録
富山県は呉羽山を境に呉東・呉西という二つのエリアに区分する呼び方があるのですが、その呉東と呉西とでは天気がガラリと変わることがよくある、と聞いたことがあります。事実、呉東側にある富山市庁舎展望塔では今にも雨が降り出しそうな重い曇り空でしたが、北陸本線の列車が呉西側に入るとみるみる晴れてきました。
石動駅で下車し、バスの便がないのでタクシーでクロスランドおやべを目指すことにします。

芝生広場にそびえるクロスランドタワーは、1辺12mの正三角柱の塔体に円柱状の展望台を載せた形態なのですが、その結果、角度によっては展望台が妙にバランス悪く出っ張っているように見えるのが面白いところ。このことから別名を「トリックタワー」といいます(たぶん自称しているだけです)。

展望台の入場券はミュージアム棟の窓口で購入することになっており、タワーそのものは無人施設です。
この写真はタワーのエントランス。ミュージアム棟からタワープラザという名の小さな円形広場を横切ったところに位置しています。

入場券を買い求めたら、窓口のおねえさんがわざわざ出てきてタワーのエレベーターホールまで案内してくれました。

ガラス張りタワーではほとんど決まりごとのように設置されているシースルーエレベーターに乗って展望階へ。
ご覧のとおり、ここのエレベーターは円形です。ドア上の表示は階床ではなくて地上高を表しており、つまり展望階が高さ100mにあるということです。
ちなみに展望階へ行くには「4」という階床ボタンを押すので、中間階はないはずですがここは4階という位置付けなのでしょう。
展望室の窓際にはぐるりとカウンターテーブルが配されています。

記念撮影用パネルに「塔乗記念」の文字がありますが、正しくは「搭乗」と書くべきですね。
それはともかく、展望台に登ることを「搭乗」と表現するタワーに遭遇することがしばしばあります。本来は航空機や船舶に乗ることを意味する言葉なので厳密には不正確な用法なのですが、「搭」の字が「塔」に似ていることからの連想なのでしょうか。
「じゃあ、おまえが使ってる『登頂』の用法は正しいのか」と詰め寄られると困っちゃうんですが(笑)

かつては案内係が常駐していたと思われるカウンター。
台上に置かれているファイルには、全日本タワー協議会に加盟している各タワーのパンフレットが収められているのですが、なんと今は亡き大阪タワーのものも綴じられていたので興奮気味にデジカメで複写してきました。貴重なものだけに盗難が心配ですが、よく見るとカラーコピーだったので原本は事務所に保管されているのでしょう。
石動駅がある北側の眺め。
ごく平凡な地方都市の風景で、特筆するようなものはありません。
東に目を転じてみましょう。「もっと何もないじゃないか」ですって? いやいや、クロスランドタワーではこの眺めこそ見ておくべきなのです。
なぜなら富山県独特の農村景観である「散居村」が見られるからです。一般的に家屋はある程度集合して立地することで集落を形成しているものですが、このように広い水田地帯に家屋が1軒ずつてんでに散らばっている態様を散居村と呼びます。散居村は島根県や岩手県などにも存在しますが、ここ富山県砺波平野のものが特に有名です。もっともタワーから見える散居村は規模が小さいので、お隣の砺波市にある散居村展望台からは、はるかに広大な風景が眺められることを付記しておきます。
足下に広がるクロスランドおやべのようす。円形の「交流ひろば」を中心に、右に見えるはパターゴルフ場、その左は音楽ホールです。

交流ひろばの外周路に沿って1から12までのローマ数字が書かれているのでタワーが日時計になっているのかと思いましたが、「あれは単なるデザインです」(窓口のおねえさん談)

ミュージアム棟の中に小さなおみやげコーナーがあります。将棋の駒のような形をした木札は裏面に「通行手形」と墨書された昭和レトロ漂う一品。その右は液晶の温度表示がついた合成皮革製のキーホルダーです。メルヘン建築のポストカードは1セット12枚入り。ここではタワーが写っている2枚をピックアップしてみました。
入場券売り場の窓口では2種類のテレホンカードを販売しています。この手の記念カードはプレミア価格で売られているのが当たり前なのに、ここでは50度数のカードをちゃんと500円で売っているのがエラいぞ!
クロスランドおやべ

TOPページへ