名称 北海道大観音
所在地 北海道芦別市
高さ 本体高88m
竣工 1989(平成元)年
概要 北海道・空知地方といえば戦後復興期から高度経済成長期にかけて石炭産業で大いに栄えた地域で、芦別市も空知の炭鉱都市のひとつである。しかしエネルギーの主役が石炭から石油へと急速に移行していく中で、芦別の人々はいずれ炭鉱の閉山を免れないことを悟る。そこで炭鉱の町から観光の町への脱却を目指し、すでに成功を納めていた福島県の常磐ハワイアンセンターをお手本として「芦別レジャーセンター」を1970(昭和45)年に開業、大浴場やボウリング場などのアトラクションを設置して大いに繁盛した。1977(昭和52)年には宿泊需要をあてこんでホテル五重の塔をオープンさせている。
北海道大観音の建設計画は1975(昭和50)年に持ち上がっており、78年に現在地に建立することを決定、胎内に納める仏像の制作を開始する。着工は1984(昭和59)年であるから準備期間がずいぶん長かったことになるが、1989(平成元)年にようやく完成して開眼法要が盛大に行われた。かねてから園内の十二支苑の人気が高かったことと、高齢者層が比較的お金を落としていくことから仏教テーマパーク化をもくろみ、大観音の公開を機に芦別レジャーセンターを現在の「北の京(みやこ)芦別」に名称変更。レジャーセンターと大観音を直結するモノレールやホテル三十三間堂など施設の増強を積極的に行い、テレビCMも放映されて道内での知名度を高めていった。しかし世間が不景気に転じてからは一部の施設が閉鎖や縮小を余儀なくされており、現在は大観音も積雪期の公開を中止してしまっている。案の定というべきか現状は苦戦気味であることが察せられるのである。
TF式分類 亜種
登頂日 2003年9月4日
注意事項 北の京芦別は運営者が転々と変わったのち2013年8月限りで営業を終了しました。北海道大観音は宗教法人天徳育成会が譲り受け、北海道天徳大観音と改称しています。詳細は当ページ最後の「memo」欄を参照してください。
 2003年9月4日の登頂記録
北の京芦別の本館から200mほど離れたところに北海道大観音の入場門があります。かつてはここで拝観券を売っていたのでしょうけど、現在は無人で事務所の中もからっぽです。
説明板にいわくインドのタージマハール庭園を模したというインド風庭園。手前の池には噴水が設置されてるんですが、そういうコストのかかるものはとっくに止められてます。朝10時のオープン直後とあってまだ誰も客はおらず、庭園内はカラスが占拠している状態。ビビリながら階段を登って観音さんを目指します。
その途中に転がってるのは観音像を造る際に実際に使われた左手の型。近くで見てその大きさを実感してくださいという趣向です。完成当初は世界一大きい観音像ということをアピールしていましたが、その後さらに大きい観音像が国内にいくつか建立されてしまったので、北の京としては歯がゆい思いをしていることでしょう。
観音像へたどりつき、1階ロビーで一人で番をしているおばちゃんから500円の拝観券を買います。エスカレーターで2階に上って、そこからエレベーターで最上階へどうぞ、と案内されます。
一気に20階へ到達すると金ピカのご本尊がおわしまして、このフロアは「祈りの広場」と名付けられています。

一般観光客はここ20階が最高到達地点で、パンフレット等にもこれより上の階の存在は記されていませんが、実は26階まであって、祭壇やお札の奉納所が設けられています。法要を依頼したり高額のお札を納めれば登らせてくれるのかなぁ……。

その20階には天望台と名付けられた屋外展望台があります。位置としては観音さんの胸のあたり。
展望台からは芦別の市街地を一望できます。右下から伸びるモノレールは1999(平成11)年までは運行していたらしいのですが、現在は廃止されてしまっています。
中央付近が北の京芦別の本館をはじめとする建物群。一番目立つホテル五重の塔の最上階にも展望台があるのですが、ここは客の少ない日には営業しないようです。私が前夜泊まったのはその左脇に見えるホテル三十三間堂の方でしたが、外観がキッチュなわりには室内はごくフツーの和室でした。
展望台から観音さんのご尊顔を仰ぐの図。
それではこれから胎内めぐりへと参りましょう。ご本尊を一番札所として、各偶数階に7体の観音像が安置されており、螺旋階段でぐるぐると降りながら参拝するという趣向です。
螺旋階段の壁面には1万円で奉納できる額が飾られています。その中には映画「GTO」のロケで芦別にやってきた反町隆史が納めた額もあります。わざわざこんなところに立ち寄った上に額まで納めちゃう反町はシャレのわかるヤツとみた。
18階の二番札所「白衣観音」です。こんな感じで薄暗い中に原色も鮮やかな観音像が佇んでいます。私には信仰心なんてカケラもないので賽銭も拝礼もしませんが、別に意味もなく各階で鉦をチリ〜ンと鳴らしておきます。
順路と観音像の間は吹き抜けになっているので下を覗きこんでみます。ひゃー、さすがに高度感がありますね。
屋外展望台は都合3ヶ所あるのですが、観音像の台座の位置にある第1、第2展望台はもう長いこと閉鎖されたままのようです。看板には「足の大きさをご覧ください」と書いてあるんですが、そういえば下からでは蓮華座に隠れて足が見えない。つまりここから見るしかないわけなんですね。そうとわかったらなんだか急に足を見たくなってきたぞ。
4階は、世界の仏像を一堂に集めたという仏教資料館。資料館とはいってもやっぱり薄暗い中に仏像が安置されてるだけの空間です。

2階に下りるとそこが満願奉納札所となっていて、これにて胎内めぐりはおしまいです。

ロビーにささやかなお土産コーナーがあるのですが、北の京芦別あるいは観音さんのオリジナルグッズはほとんど作られておらず、キーホルダーがせいぜいでした。観音さんのミニチュアとか、北の京芦別のおどろおどろしいロゴを染め抜いた手ぬぐいとか、そういうもんを作ってほしいんだがなー。
運営会社である「株式会社北の京芦別」は経営不振のため2007(平成19)年6月に会社解散を決議、2008年4月に特別清算を開始した。一連の施設の営業権は2007年1月に有限会社ランド(本社・芦別市)へ売却され「北の京芦別」の名称もそのままに営業を継続していたが、その後運営会社がアイカム(本社・芦別市)に移ったあと2011年10月限りで運営から撤退。所有権は福島県二本松市の豊島硝子に移り、同社から委託を受けた経営コンサルタントのもとで事業規模を大幅に縮小しつつ営業を継続していた。所有権はさらに2012年8月にアコンプ(本社・大和郡山市)へ移り「ライフステージホテル天都」と改称、北海道観音も引き継がれたが、翌2013年1月ごろに北海道観音のみ金沢市の仏教系新興宗教法人天徳育成会へ譲渡されて「北海道天徳大観音」とその名を改めた。ホテル天都は同年8月限りで営業をやめることを発表しており、今後の動向が注目される。
宗教法人天徳育成会 天徳院

TOPページへ