建物名称 パノラマタワー
所在地 新潟県新潟市西蒲区
高さ 全高100m
竣工 1970(昭和45)年
概要 標高634mの弥彦山は新潟県中部の日本海沿岸に位置する。低山ながら付近の角田山や国上山などと連なる南北約15kmの山脈を構成し、越後平野と日本海とを隔てている。山麓には弥彦山を御神体とする彌彦神社が鎮座し、越後一の宮として古くから信仰を集めてきた。
パノラマタワーは弥彦観光索道株式会社が所有・運営する回転昇降式展望塔である。1958(昭和33)年にロープウェイを開通させた同社は1970(昭和45)年に県営の観光用有料道路・弥彦山スカイライン(現在は無料化されて一般県道)が開通するのに合わせて総工費約2億5000万円を投じロープウェイ山頂駅周辺を弥彦山上公園・パノラマランドとして整備。タワーおよびクライミングカー(斜行エレベーター)を設置して一連の周遊ルートを完成させた。タワーは日本ケーブル製で、現存する回転昇降式展望塔としては国内最古である。高さ100m・直径2.5mの支柱に沿って定員52人・2階建てのキャビンが1行程約8分で上下する。例年12月から3月は冬期休業。
なお、旅行ガイドブックや観光案内のWEBサイト等では当タワーの所在地をしばしば新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦2898と記しているが、これはあくまでも問い合わせ先としてロープウェイ山麓駅に同居する索道会社事務所の所在地を示したものであり、タワーが立っている場所を正確に記すならば新潟市西蒲区(竣工当時は西蒲原郡岩室村)間瀬耕戸山5902-3である。
TF式分類 第2種 I類
登頂日 2012年4月15日
 2012年4月15日の登頂記録

パノラマタワーが立地しているのは尾根から日本海側にちょっと下った弥彦山パノラマライン沿い。例年なら冬期休業明けはそのパノラマラインと同じ4月1日のところ、この冬は積雪量が特に多く道路開通が2週間遅れの15日に変更されました。ところがそれでもなお大量の残雪があり20日に再変更されるという事態に。すでに確保してある15日の宿泊予約を変更しなくちゃならないかと焦りつつ索道会社に電話してみるとタワーは先行して15日から営業再開ということが確認できたので予定どおりやってきました。
ロープウェイを利用してタワーへアプローチするには山頂駅付近から写真左に見えるクライミングカーを利用するしかないのですが、特別措置で19日まで無料開放が行われました。通常は往復350円とちょっとお高めの運賃なのでありがたい。

道路が未開通なのにタワーは営業再開初日の朝からほぼ15分ごとに運転しており意外な盛況ぶりに驚かされましたが、どうやら中国か台湾からの団体客が訪れていたようです。おかげでキャビンが上昇している場面の撮影はシャッターチャンスに困りませんでした。
運転の合間にはキャビンをホームからちょこっとだけ上昇させた位置で止めて点検作業を行っているようすも撮れました。
クライミングカーを降りればすぐ目の前がタワーのりば。でっかい電照看板がいい味出してます。

チケット窓口はおみやげ売り場の一角に設けられています。タワー下部のこの建物は2階建てで、ロープウェイ山頂駅に展示されていた開業間もない頃の写真を見るに、当時はタワーとクライミングカーののりばだけだったところ、あとから売店およびその上階の喫茶店部分を増築したようです。

窓口のおねえさんにタワー関連のグッズはないかと全然期待せずに訊いてみましたがやっぱりないって。

キャビンは2階建てですが、通常は2階席にしか客を乗せていないようで、1階のりばは閉鎖状態になっています。
そしてこちらが2階のりば。なんだかエレベーターっぽい佇まいですね。回転昇降式タワーでのりば側にもドアがあるのは今は亡き神戸舞子タワーくらいしか他の例を知りません。一般的に採用されているのは開閉式のフェンスやチェーンなどの簡便な方法なので珍しい部類です。

エレベーターや駅のホームドアと違うのは手動であること。係員のおじさんが運転の都度開閉します。

のりばのすぐ脇に操作盤があり、このボタンを押せばあとは自動運転するのだろうと思っていたのですが、おじさんに訊いてみたところ運転は奥のコントロール室で行っているんだそうで、確かにこの写真でも右側のトグルスイッチが「切」になっていて電源が入っていないように見える。でも使ってないだけで運転操作の機能自体は備わっているはずです。
これはかなり珍しい、行灯式の運転状況表示板。運転中は上昇・塔頂・下降を順に点灯します。ドアを閉めてしまうとのりばからはキャビンのようすが全く見えないための設備ですが、見えないことによって何か不都合があるわけでもなく、せいぜい次の運転を待っている人をイライラさせないようにってところでしょうか。
団体客が早々に引き上げてからは、お客さんはパラパラと現れる程度になりましたが、それでも15分おきの高頻度運転なのは大したものです。席が埋まる前にキャビン内を手早く撮影してしまいましょう。
塔頂からの風景。まずは南側の弥彦山頂です。
タワーは標高520m付近に立っているので、キャビンが塔頂部へ達すると標高634mの弥彦山頂とだいたい同じ高さということになります。山頂には彌彦神社の奥宮が鎮座するほか、越後平野一帯をカバーする放送用電波塔が林立しています。ロープウェイ山頂駅からは歩いて15分くらい。
西側は日本海越しに佐渡島を遠望。ざっと40kmくらい離れているので今日みたいな好天でないとその姿を見るのは難しいかも。
眼下に見える集落は間瀬地区の田ノ浦温泉。海水浴場もあります。
北側に聳える多宝山も標高は634m(国土地理院の地形図では633.8m)。弥彦山は二つの頂がある双耳峰で、一等三角点は多宝山のほうに設置されています。
東側は視界いっぱいに広がる越後平野。海もいいけど私は断然こっちの風景のほうが好きですねー。高度感、広がり、奥行きと三拍子揃ったダイナミックな眺めです。越後平野といえば国内屈指の米どころですから、今はまだ冬枯れの水田地帯も夏になれば鮮やかな緑に、収穫期には黄金色に染まる風景が見られるのでしょうか。
下部建物を含めた全景がわかるようにスカイライン側からの写真も載せておきましょう。道路開通前で駐車場に車がいないためスッキリした画が撮れたのはラッキーでした。
弥彦山ロープウェイ

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