新しい出発の旅 〜 盛りだくさんの九州旅行 〜 |
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旅行中の写真の一部をこちらでも公開しています。
よろしければどうぞ。
5日目:種子島宇宙センター |
屋久島・宮之浦港|10:00→(トッピー)→10:50|種子島・西之表港,レンタカーで観光(鉄砲館,門倉岬,種子島宇宙センター) | |
小 生 の 記 憶 |
2日間の屋久島観光の後,せっかくだからと種子島に立ち寄ることに。都合の良いことに,2日前に指宿→屋久島の移動に利用した便(トッピー)は,そのまま種子島に向かうのであった。(すなわち,「鹿児島→指宿→屋久島→種子島」の周遊便である。) ホテルをチェックアウトし,歩いて宮之浦港に向かう。9:45頃に船が着岸,下船する人々と入れ替わりに船に乗り込み,出港時刻となる。船は180°向きを変え,港を後にする。進行右側に屋久島を眺めるが,改めて山に圧倒される。まるで要塞のような島だ。 種子島まではおよそ45分。この日も波は穏やかで,あっという間に種子島・西之表港に到着。ここで,またまたレンタカーを借りる。3日連続のヴィッツだ。 種子島といえば鉄砲とロケットだ。まずは種子島開発総合センター,通称「鉄砲館」に向かい,種子島と鉄砲伝来についてお勉強。ジオラマ&操り人形による鉄砲伝来物語などを見物する。ちょっと時代(昭和?)を感じさせる建物,展示コーナーであった。 港に戻って昼食を取り,ヴィッツを南に走らせる。国道58号線は西之表港(西之表市)から20kmほど海岸線を走り,その後少し内陸部に入り,中種子町,南種子町の中心部を通る。屋久島とは大きく異なり,ほとんど平坦な道が続く。但し,南北に長いせいか,だいぶ時間がかかるように感じた。 せっかくだから温泉にでもつかろうかと河内温泉センターに立ち寄る。平日の昼間,ひたすらけだるい。 ここからさらに10数分で種子島最南端の門倉岬に着く。鉄砲伝来の碑や神社などがあるが,ほとんど観光客はいない。唯一,札幌ナンバーのバイクが止まっていたが。そして,警戒心ゼロの猫が寄ってきた。海の向こうには要塞のような屋久島が見える。やっぱりけだるい。 今度は,種子島宇宙センターに向かう。この日は15:30からの施設案内ツアーを予約しており,これが種子島のメインだ。宇宙科学技術館に集合し,ここからバスに乗り宇宙センター内を巡る。参加者はおじさんグループ(アルプス登山隊とか?)と女性二人組と我々のみ。バスは宇宙センターのセキュリティエリア内へと入り,まずは大崎第一事務所にあるH−Uロケットの7号機(未打ち上げの実機)を見学する。 そしていよいよロケット発射場へ。ここには現在使用中の第1射点,新設された第2射点とロケット組立棟がある。組立棟は家庭用の物置をスケールアップしたようなたたずまいだが,あのドアを動かすには相当なパワーが要りそうだ。2機のロケットを同時に収納することができるとのこと。 ロケット射点には残念ながら近寄れないが,ギリギリのところで記念撮影。 最後に総合指令棟を見学して約75分の見学が終了。展望台からロケット発射場や逆サイドの門倉岬を眺めていると,程なく日の入りの時間となった。近くにあるバブルの雰囲気が漂うホテルにチェックインし,これにて種子島の観光はおしまい。嫁さんにとっての旅行もこれにて終了。 |
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嫁 さ ん の 記 憶 |
屋久島から種子島へ移動。種子島といえば鉄砲でしょ,ということで種子島鉄砲館を冷やかし,「鉄砲伝来の地」門倉岬へ向かう。 車を停め歩き出すと向こうの方から三毛猫が身を寄せてきた。なんて人懐こい猫なんだ!と浮かれて写真を撮っていると,もう一匹,どこからともなく出てきた黒い猫がまとわりついてきて,まもなく二匹とも目の前で寝そべり始めた。いやあなんだかこんなになつかれちゃって,と一人照れていると,先を行っていた旦那が振り返り一言「日陰にされてるぞ」だいぶ日差しの強い日だったこともあり,写真を撮ろうとかがみこんでいる私の影で涼をとっているご様子。 夕方からは種子島宇宙センターを見学。見学後,ここから屋久島が見える,というので展望台のようなところに行ってみると,ちょうど夕日が沈む頃合いで,海の向こうに要塞のようにそびえる屋久島の影と海面に反射する太陽の光とでなにか神々しいような景色に臨むことができた。 |
種子島最南端,門倉岬にて うっすらと屋久島が見える 要塞のような雰囲気だ |
種子島宇宙センター |
そして,エンジン |
現在使用中の第1射点 |
右側には,新しい発射台(第2射点) |
ロケット組立棟 |
司令室 |
記念撮影用?のロケット模型 |
宇宙センターから見た門倉岬 その背後にうっすらと屋久島 |
6日目:移動日(たびほんばん) |
種子島・西之表港|10:00→(ロケット)→11:35|鹿児島港,鹿児島中央|13:14→(はやとの風4)→14:47|吉松|14:49→(しんぺい4)→16:03|人吉|16:09→(九州横断特急8)→17:35|熊本|17:54→(リレーつばめ18)→19:06|博多 | |
小 生 の 記 憶 |
3日間にわたる離島での観光を終え,後は帰るのみ。季節柄台風等の心配もあることから,種子島〜山形に2日をかける余裕のあるプランとした(さらに,職場復帰まで1日余裕がある)。とりあえず,この日は博多までの移動日である。 西之表港でレンタカーを返却し,ジェットフォイル「ロケット」で鹿児島へと向かう。「トッピー」と「ロケット」は共に鹿児島〜屋久島・種子島航路を運行するライバル関係である。この日は波が少々高かったものの,さほど揺れは感じず無事鹿児島に到着。ここまで来れば,とりあえずひと安心だ。港から鹿児島中央駅までバスで移動。少し歩いてでも市電にしておけば良かったかな・・・。 鹿児島中央駅で駅弁を買い込み,特急「はやとの風」で肥薩線・吉松駅に向かう。なんとキハ47型改造の特急列車だが,車内はJR九州らしく板張りの豪華な感じ。元が一般型のディーゼルカーだけあってか,とにかく豪快に揺れる。極黒豚めしと錦江湾・桜島の景色を楽しみながら日豊本線を進み,隼人からいよいよ肥薩線に入る。肥薩線はその昔は熊本〜鹿児島を結ぶメインルートであり,明治時代からの歴史がある路線。開業当時からの駅舎も残り,嘉例川,大隅横川の両駅ではそれぞれ5分ずつの観光停車。無人の「停留所」である嘉例川駅では,列車到着とともに鳴動を始めた駅前方の踏切警報を手動操作で解除する「サービス」も。確かに通常では5分間も停車する必要はないからなあ・・・。 吉松駅では,「はやとの風」の乗客の多くが,ホーム向かい側で待つ普通列車「しんぺい」にあわただしく乗り換える。そこで嫁さんが「あっ」と声を上げる。車内のパンフレットにあった「日本三大車窓」の文字を見て,この博多行きルートが主流から外れた「おもしろ(おかしな)ルート」だということに気がついたらしいのだ。ってか,鹿児島出発の時点でバレているとばかり思っていたので,今更気がついたことにむしろこちらが驚いたではないか(・・・だいたいにして,普通の特急が山奥の無人駅で5分も停まらないだろうに・・・)。 さてハナシを戻そう。「しんぺい」は普通列車ではあるが,指定席が主体の観光列車であり,矢岳越えの景色やイベント(?)を楽しむのが目的である。指定席部分はボックスシートであり,テーブルや椅子の造作を見るに,まるでそば屋のようだ。ピクニックにはもってこいといったところか。運転上はワンマンであるが,客室乗務員のおねいさんが観光案内や車内販売をしてくれる(これは「はやとの風」や,この後乗車する「九州横断特急」も同様)。 吉松駅(鹿児島県)を出た列車は,次の真幸駅で一駅だけ宮崎県に足を踏み入れる。真幸駅は通過不能型のスイッチバック駅であり,出発時に一度後退してから,方向転換の後,再び前進して矢岳越えに挑む。ワンマン列車のため,方向転換の際に運転士さんは進行方向側の運転席へ移動しなくてはならない。(客室乗務員は車掌ではないので,運転に関わる取り扱いはしない。) そしていよいよ日本三大車窓の一つ,「矢岳越え」である。眺望ポイントでは,「お約束どおり」列車は一時停車し,客室乗務員のおねいさんが風景の案内してくれる。あいにくの曇り空ではあったが,うっすらと桜島も見ることができた。 矢岳駅(ここから熊本県)では7分停車し,駅周辺を散策。出発時には,おねいさんの「みなさま,おそろいでしょ〜か?」のアナウンスが。観光バスに乗っている気分なのである。 そしていよいよ日本唯一のループ線&スイッチバックでおなじみの大畑(おこば)駅へ。この駅名をさらりと読んでしまう輩は,ほぼ「テツ」とみて間違いないだろう。山を下るループ線の途中でまたまた一旦停車して,大畑駅について案内を受ける。我々観光客にはうれしいサービスだが,先を急ぐ人からは不満も出そう,たぶん居ないだろうけど。大畑駅でも5分停車。散策やら写真撮影に,一様にあわただしい。そうこうしているうちに,列車は人吉駅に着いた。普通列車で1時間強,通常であれば程々の乗車時間であるが,「しんぺい」に限っては足りないぐらいだ(各駅10分停車でも良かったぐらい・・・)。 人吉からは「九州横断特急」で熊本へ向かう。何とも壮大なネーミングだが,人吉〜熊本〜大分〜別府を結ぶのだから看板に偽り無しである。本来であれば,阿蘇方面に行ってみたいところであったが,日程の都合上断念した。 車両はキハ185系で,今度は生まれながらの特急車(但し,JR四国のお下がり)で,運良く一番前の席が空いていた。 列車は球磨川の流れに沿うように八代へと向かっていく。八代からは鹿児島本線に入り,熊本までの道のりを颯爽と駆けていった。 熊本で若干のインターバルの後,リレーつばめで博多へ。駅近くでとんこつラーメンを食べ,一日が終わり。移動日こそ「旅の本番」。いやあ,中身の濃い一日であった。 |
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嫁 さ ん の 記 憶 |
基本的に移動日。「旅も終わりか…」と若干寂しさのようなものを覚えながら高速船に乗りこむ。あとは鉄道を乗り継いで博多を目指す。 観光列車ということで,車内は濃い茶色で統一され,こじゃれたそば処のような雰囲気。 ところがこの列車,凝った内装にとどまらず妙に親切。駅に着いたといっては5分ほど停まったり(出発するといっては「皆様お揃いでしょうか」と優しいアナウンスがあり,団体様ご用達の観光バスのよう),やけにきれいなパンフレットが置いてあったり。…と,旦那がうれしそうに握りしめているパンフレットに並ぶ文字列に何やら見覚えがあることに気づく。 「ループ」「スイッチバック」「日本三大車窓」…「鉄子の旅(※)」で「テツには日本一有名な路線」って紹介されていた電車だ! それに気づいた途端,いろいろなことがストンと腑に落ちる。 旅行先について,遠くにのんびり…であれば沖縄は?なんてちらりと言ったところ,「いや沖縄とかは行こうと思えばいつでも行けるから今回は九州にしよう。九州でどこか行きたいところない?」と(やや早口に)限定されたこととか。 飛行機使わないの?と何げなく聞いたときの反論の切実な感じとか。 この旅行は「まず電車ありき」だったのだ!九州に行くからこれに乗る,ではなくむしろ,これに乗りたいからこそ行き先は九州,なのだった。移動日だなんて失礼しました。旦那にとっては毎日メインイベントだったのだ。十分理解していたつもりだったが甘かった。私にとって鉄道は単に交通手段だが,旦那にとってそれは手段であり目的だ。改めて実感した。脱力していると旦那が心底きょとんとした顔で「今頃気づいたの?」とか言っており,脱力に拍車をかける。 とはいえ,観光列車ということで乗り心地も雰囲気も良いし,何より景色が非常に良い。ということで,それなりに快適にのんびり博多まで移動したのでした。 ※「鉄子の旅」菊池直恵・横見浩彦(小学館IKKIコミックス) 鉄道に興味のない女性漫画家がテツの案内人に引き回され過酷な鉄道旅をする実録漫画。鉄道の何がそんなにおもしろいの?と思う方におすすめ。 鉄道の面白さにはまるか,何でそこまで…と 鉄道趣味に巻き込まれる非テツの境遇に共感して購入したものの,旦那は「初心者向けの格好の予習教材」と見ているフシがあり,旅先で「鉄子のおかげで理解が早くなった」と心ならずもほめられたり,「この路線は鉄子にも載っていたでしょ!」と予習不足をたしなめられたりする羽目に。 ちなみに全6巻(+α)で,肥薩線は第4巻に登場。 |
特急「はやとの風」で吉松に向かう 「ワンマン」の特急 |
明治時代からの歴史を持つ嘉例川駅 列車はここで観光停車 |
駅舎内もきれいに整備されている |
霧島温泉駅で普通列車と交換 |
本線時代を思わせる長いホーム |
今度は大隅横川駅で観光停車 |
ここも明治時代からの建物である |
静かなホーム |
機銃掃射の跡が生々しい |
観光普通列車「しんぺい」で人吉へ まずはスイッチバック駅真幸に到着 |
この先は行き止まり 後退するしかない |
幸せの鐘に人々が群がる |
日本三大車窓「矢岳越え」で一旦停止 |
カメラもスタンバイ中 |
「いさぶろう・しんぺい」の内装 そば屋の雰囲気? |
ループ線の中にあるスイッチバック駅 大畑(おこば)に到着 |
ホームに出てひと休み |
人吉からは九州横断特急に乗る こちらも「ワンマン」の特急 |
7日目:移動日(たびほんばん) その2 |
博多|7:00→(のぞみ6)→12:13|東京|14:08→(つばさ119)→16:58|山形 | |
小 生 の 記 憶 |
一週間にわたる旅も今日が最終日。本来朝が苦手の私が早朝ホテルをチェックアウトし,なんと7:00発の列車に乗る。それもこれも「500系のぞみ」というこの旅最大のイベントが待ち受けているからだ。運用が1日2往復まで減ってしまった今,次の500系のぞみ(50号,18:00発)では東京でさらに1泊必要になってしまうのだ(この日は臨時便もなかった,ハズ)。おそらく最後の乗車チャンスに違いない(※)。 さらに,今回は新婚旅行らしくグリーン車を奮発。小市民にできる精一杯の贅沢である,悲しいけど。しかし,重厚なシート,柔らかい枕(可動式)やフットレストなど,長時間の乗車もこれなら快適だ。そんな旅の本番,2日目である。 ※この時点で私は「500系のぞみ」の引退は2009年3月だと思っていた。実際にはもう1年残っていたのだ。 博多駅11番ホームに500系W8編成が入線。発車までのひととき,ホームでバタバタ撮影して回る。そもそも,この辺がグリーン車を乗りこなす人種ではない(イメージ)。7:00博多駅を出発,詳しい停車駅案内は小倉を出てからであった。グリーン車の乗客向けサービスとして,おしぼりが配られた。この後,新大阪発車後にも再び配られたが,小市民として持ち帰ったのは言うまでもない。 500系の特徴は,その独特のデザインとともに,日本初の300km/h運転にある。300km/h到達時には,電光掲示板に「ただいまの速度は300km/hです。We are now travelling at 300km/h.」の表示がでる。そんなわけで,窓の外を見ながらも電光掲示板も気になり,なんとなく落ち着かない。我ながら困ったモンだ。500系のグリーン車にはセミ・アクティブ・サスペンションが搭載されている効果もあってか,高速走行でも安定した走りであった。 姫路を過ぎると300km/h運転は終わり。これで集中力が落ちたせいか,うとうとしているうちにいつのまにか東海道新幹線区間へと入り,気がつくと京都に着いていた。これではいけないと気を取り直して景色を楽しむこととする。今度は電光掲示板を気にすることもないのだ・・・。この日はよい天気で,浜名湖も富士山も眺めがよい。ここにきて,はじめて正しくグリーン車を満喫したのかもしれない(貧乏人らしく,コーヒーは持ち込みであったが・・・)。 500系の特徴ともいえる「16号車の前寄りと,1号車の後ろ寄りには,降り口ははありません。」のアナウンスを聞きながら東京に到着。やはり500系は明らかに注目度が違う。車内が狭いなどの弱点があるとはいえ,引退にはまだ早いよなあ。 山形まではオーソドックスに「つばさ」で移動。旅の終わりに待っていたのは,修学旅行色に復元されたキハ58系であった。 |
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嫁 さ ん の 記 憶 |
いよいよ旅行最終日,本日は博多から新幹線乗り継ぎで山形へ。旦那は席に荷物を置くや写真を撮りに駈け出して行ったので,KIOSKで購入した「モーニング」を読みふける。決してふてくされているわけではない。 旦那は「毎日がとても楽しかった」とご満悦。そんな表情を見るにつけ根本的な疑問が浮かぶ。まさかとは思うけれど,こんなことはないだろうか。 「500系と寝台特急はやぶさの引退迫る!!」 →「今のうちに是非乗っておきたい」「九州に行くなら肥薩線も押さえておきたいところ」 →「そんな時間とお金のかかる旅行なかなか行けないなあ」 →「!新婚旅行なら大っぴらに行けるんじゃないか?」「これを機に結婚しちゃおうか?」 とすると,去りゆく電車たちに感謝するべきか。いや,それおかしいだろう(※)。 とはいえ,旦那がまわりの人に嬉々としてこの旅の話をするたびに「そんな旅に文句も言わず付き合うなんて」と褒められる=「嫁の株が上がる」機会が増えたので,よしとすることにする。 ※後日,「はやぶさ」廃止決定のニュースに無念そうな顔をしつつ,「でもなくなる前に乗れてよかった」とつぶやく姿を見てその疑いは濃厚に。真相やいかに。 |
朝7:00前,博多駅に500系入線 |
狭いコクピット |
「500」を強調する |
ここから東京までひとっ走り |
大奮発して乗ったグリーン車 |
500系の特徴である先頭車のドア配置 |
東京駅到着 |
傍らでN700系が発車 世代交代にはまだ早いのに・・・ |
300系もいずれ貴重な存在に・・・ |
折り返し博多へと旅立っていった |
旅のラストは山形駅 修学旅行色に復元されたキハ58系 |
傾向と対策というか単純に感想 | |
毎日が楽しかった! |