雨の山陰路 |
0,出発前夜 | |
中・高の同窓生Y氏と私の2人での旅行。本来はもう1人参加予定であったが,諸事情で今回は断念。 日程調整が難しかった今回の旅行。私の仕事と,Y氏の野球の試合と,その間でキツキツ・カチカチの突貫日程を作成する。今回の目的は, 1,三徳山三沸寺 投入堂 2,和鋼博物館 3,石見銀山 であり,これに鳥取砂丘,二十世紀梨記念館,出雲大社,特急「やくも」号の洗礼,をプラスすることにした。 交通手段ではいつものように鉄道を選択。「周遊きっぷ〜山陰ゾーン」のお世話になる。これに駅レンタカー(レール&レンタカー)を組み込んだ。「山陰ゾーン」は今回の旅行の全範囲をカバーし,しかも一畑電気鉄道やバスも利用できるなど,なかなか利用価値が高い(←個人の感想です)。これをフル活用することともに,往路では寝台特急「日本海」のお世話になり,時間を目一杯使う日程とした。 一番の心配は台風により交通機関がストップする事であったが, どうやらその心配はなさそう。天気予報も,出発当日の昼に確認した範囲では,3日とも「晴れ時々曇り」ぐらいで極めて安定。良い旅行になりそうだ。 ※旅行の写真は,Y氏にも提供して頂きました。ありがとさんです。 |
1,米沢・鶴岡を出発〜鳥取砂丘まで | 鶴岡駅/米沢駅→(日本海2/べにばな3・各駅停車)→新津駅→(日本海2)→京都駅→(スーパーはくと1)→鳥取駅→(バス:鳥取砂丘麒麟獅子)→鳥取砂丘 |
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特急「スーパーはくと」鳥取側先頭車 独特の流線型 |
最前列から見た風景 |
鳥取砂丘 海へ向かって歩いていく人々 |
鳥取砂丘 |
2,雨の三徳山三沸寺 投入堂 | 鳥取砂丘→(バス:麒麟獅子)→鳥取駅→(スーパーはくと3)→倉吉駅→(バス)→三朝温泉→(タクシー)→三徳山三沸寺 |
キツキツの日程のため,砂丘滞在時間は約40分。次の目的地へ向け,バスで鳥取駅に戻り,列車を待つ間に立ち食い「砂丘そば」を食べる。特急「スーパーはくと3」号に乗り,倉吉へ。この時点で雨が降り始めていたため,駅前のコンビニでカッパをご購入。 倉吉駅からはバスに乗り三徳山へ直行!!といきたかったが,三徳山行きのバスが少なく,とりあえず三朝温泉までバスで向かい,その後はタクシーのお世話になる。ちなみに,倉吉駅から三朝温泉までのバスも周遊きっぷで利用可能。山に近づくに連れ,雨足が強くなっていく。 何はともあれ,待望の三徳山に到着。ここにある「投入堂(なげいれどう)」は,下の写真の通り岩場に立つお堂で,誰が,何の目的で,どうやって建てたものなのか,今もって分からないらしい。「投入堂」の名は,行者が麓で造ったお堂を,気の力で岩場に「投げ入れた」という伝説が由来であるとのこと。 そもそも,投入堂までの道のりは「観光地」といった雰囲気ではなく,むしろ「登山」である。小生達もスニーカーにコンビニカッパという少々ゆるい格好で登っていったが,ロープやチェーン,木の根っこを掴みながら登らなければならないこの道を見て,投入堂の建立が人間業じゃない・・・と実感した。 途中休憩などを挟みながら,登ることおよそ40分。ついに投入堂へ到着。しばらくの間「すげぇ・・・」とお堂を見上げていた。 投入堂もすごいが,途中にある文殊堂や鐘楼堂(しょうろうどう)もなかなかのものだった。数トンはありそうなあの鐘は,どうやって持ってきたのだろう?現場で鋳込んだのか?? 帰り際,つえをついたじいさん・ばあさん3人組に「何分ぐらいで登れるかねえ?」と聞かれたため,「無理はしない方が・・・」とアドバイス(?)しておく。 |
三徳山 投入堂 岩場にそびえ立つ |
途中にある文殊堂から望む |
馬の背 岩の上をバランスを取りながら歩く |
ほとんど崖状態 |
3,雨に濡れ皆生温泉へ | 三徳山三沸寺→(バス)→三朝温泉→(バス)→倉吉パークスクエア→(バス)→倉吉駅→(スーパーまつかぜ7)→米子駅→(バス)→皆生温泉 |
投入堂を見て大変満足したが,雨のためだいぶ濡れてしまった。特に,靴が悲惨な状態になっていたが,とりあえず泥だけ拭き取って,倉吉駅行きのバスに乗り込む(帰りはちょうど良いバスがあった)。次なる目的地は「鳥取二十世紀梨記念館」。しかし,バスはこの記念館から離れたところを経由するため,三朝温泉で別のバスに乗り換える(丁寧に教えてくださった運転手さんに感謝)。倉吉パークスクエアにある記念館に到着。展示物もなかなか興味深かったが,やっぱり「試食コーナー」ははずせないところ。おいしい梨と,梨紅茶をご馳走になる。 小腹がすいてきたので,やはりパークスクエア内にある「てけてけ」というカレー屋さんでビーフカレーを食べる。なんと500円。うまい。腹ごしらえをしたところで倉吉駅に戻り,特急「スーパーまつかぜ7」号で米子に向かい,バスに乗り換え皆生温泉へ(米子駅〜皆生温泉間も周遊きっぷでOK)。今日のお泊まりは「ホールサムインかいけ」。温泉街から少しはずれたところにあるため,バス停から10分ほど歩く。途中,廃墟と化した大きな旅館が・・・。夜は勘弁して欲しい光景であった。 さて,「ホールサムインかいけ」は非常に感じの良い旅館であり,雨に濡れた服を乾かし,温泉に入り,ゆっくりくつろいだ。夕食では,ペース配分を無視したために,ご飯が来る頃にはおかずが無くなっていた我々を哀れに思い(?),漬け物を差し入れてくださった。明日の天気を祈り,床に就いた。 |
4,待望の和鋼博物館,雨の松江城・日御碕 | 皆生温泉→(バス)→米子駅→(アクアライナー)→安来駅→(徒歩)→和鋼博物館→(徒歩)→安来駅→(各駅停車)→松江駅→(バス)→松江城→(徒歩)→松江しんじ湖温泉駅→(一畑電車)→出雲大社→(バス)→日御碕→(バス)→出雲市駅 |
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和鋼博物館 たたら製鉄やヤスキハガネの歴史を紹介 |
一畑電気鉄道,松江しんじ湖温泉駅 |
出発を待つ3000系電車 (元南海21000系,ズームカー) |
日御碕灯台にて |
5,石見銀山,リターンマッチ | 出雲市駅→(駅レンタカー)→石見銀山→(駅レンタカー)→出雲市駅 |
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龍源寺間歩の入り口 人が立って歩けるぐらいの高さ |
間歩の枝部分を見る |
6,帰るぞぉぉぉ!! | 出雲市駅→(やくも20)→岡山駅→(のぞみ24)→東京駅→(つばさ129)→米沢駅→(車)→長井 |
山陰を離れ,いよいよ帰路に。手始めに特急「やくも20」号に乗り込む。この「やくも」号に使用される381系電車は,国鉄時代に開発された振り子式電車。カーブを高速で曲がれる性能を有する点は「スーパーはくと」と同様だが,カーブ前後での補助機能(→ココロの準備?)が無いために,良く揺れるとの評判。小生は初の体験ということで,期待半分不安半分。そもそも,出雲市から長井まで約10時間。揺れ対策&体力温存のため,グリーン車を奮発することにした。但し,ケチ根性には勝てず,グリーン車利用は松江駅〜岡山駅間のみ。 13:53,出雲市駅を出発,とりあえず自由席に乗る。窓際のエアコンダクト,それに伴う独特の座席配置など,興味をそそられるところも多い。そして,期待通り揺れる。比較的カーブの少ない山陰線区間のはずなのに。そんなこんなで松江駅に到着。グリーン車に移動する。 「やくも」のグリーン車は横3列シートで広々。リクライニングを倒し,しばしうとうと。そうこうしているうちに,伯備線に入り,揺れがさらにダイナミックになる。途中,トイレに行ったところ「それ用の袋」が備え付けてあった。乗客にとっても,なかなか過酷な道中なのだろう。16:56,岡山駅に到着。弁当を買い,新幹線ホームへ。それにしても,この駅の連絡通路は狭い・・・。 17:05,「のぞみ24」号は岡山駅を出発。前後の博多発「のぞみ」は500系だが,今回は700系。これも最終「つばさ」に乗り継ぐためだ。仕方ない。久しぶりの山陽・東海道新幹線だが,改めてカーブやアップダウンの多さを感じる。東北・上越新幹線乗車時にはあまり感じることのない縦横のGに少々酔い気味。疲れてんのかな?そんなこんなで,うだうだ過ごしつつ,500系オレンジカードを購入してみたり。20:30,東京駅に到着。 ラストランナーは山形方面最終の「つばさ129」号。20:36の発車まで,乗換時間は6分。遅れるとピンチ。少なくとも,「えきから時刻表」の乗換案内では推奨しないらしい(標準は8分?)。もっとも乗換には問題なく,乗り込むは400系の元試作車。客室入り口の形状などにお里が知れる?今回は指定席を利用したが,宇都宮・郡山までの「つばさ」指定席利用者の多いこと・・・。Maxはお嫌いなのでせうか?22:48,米沢駅に到着。あとは,Y氏の車に揺られ,実家(長井市)に向かうのみ。それにしても,雨は降り続いている。翌朝の天気はどうなんだ?実家に到着。 野球の試合でのY氏の活躍を期待しながら,睡眠。 |
揺れに揺れた381系,特急「やくも」号 国鉄時代に開発された振り子式電車 |
新潟色に塗られたキハ52(手前) |
7,オチ | 長井駅→(山形鉄道)→今泉駅→(各駅停車)→坂町駅→(各駅停車)→村上駅→(各駅停車)→鶴岡駅 |
翌朝。雨音が聞こえる。Y氏からメールが入る,「野球の試合は中止」。結局,新幹線を使って大急ぎで帰ってくる必要は・・・無かったのだ。すんすんすん。 さて, 三川町在住の小生は,自宅に戻らなくてはならない。しかも,車はない。ということで,久しぶりに米坂線のお世話になる。この日は羽越本線の村上駅→酒田駅間で「SL出羽街道号」が運転される日であった。これを見るには今泉駅10:54発の列車に乗ればよいのだが,これと噂のフラワー長井線の接続が最悪。仕方ない。SLは翌日にして,今泉駅12:47発の列車で勘弁しよう。飯山線からのお下がりであるキハ52系(上の写真)に揺られ,坂町駅へ。羽越本線に乗り換えて,村上駅到着。ここまではスムーズな行程。 が,村上駅では1時間強の待ち時間が発生。小腹がすいたのでラーメンでも食べようと思ったが,時間が中途半端で近場に開いている店はなし。結局,ジャスコの軽食コーナーで味噌ラーメンを食べる。すんごく,さみしい。 村上駅16:03発の普通列車で鶴岡駅へ。久しぶりにゆっくり日本海を眺められたので,良しとしよう。三瀬駅で後続の特急「いなほ7」号に追い抜かれ,17:52,鶴岡駅に到着。さて,いよいよ最後,バスに乗ろう。駅前18:19発があったよなぁ。がーーーん,土曜日は運休。19:09のバスに乗った。長井を出発してから7時間。昨日の移動距離を考えると・・・・,やっぱり新幹線はすごい。 |
傾向と対策 | |
今回は,旅の前後共に日程の制約があったため(結局,後ろの野球は中止になったのだが・・・),修学旅行並に日程を調整して臨んだ。その割りに,松江市内の移動以外はそれほど焦ることもなかったし,まあまあゆとりもあった。良しとしよう。 それにしても,野球が無くなったのはいろいろなイミで残念。特に,Y氏は相当悔しかっただろう。もし,野球の試合がない場合,境港でうまい魚でも食って,米子駅20:01発の「サンライズ出雲」で東京へ向かい,少しぶらぶらしてゆっくり戻る予定であった。「サンライズ」は振り子式電車ではないから,少々遅くとも妙な揺れはない,快適なぐだぐだ道中。 そうそう,本来は行きも「サンライズ出雲」の予定であった。この方が時間は有効に使えたのだが,これは小生の仕事の都合で断念。17:50に新庄駅まで行くのは無理だものなあ,特にあの日は。 以上,モノローグ。 |