旅の記憶 その10

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ふたたび,四国まで



0.アカメに会いたい  

 ダメ人間S氏が,今度は「アカメに会いたい」などと言ってきた。なんだそれと尋ねると,目の赤い魚のことで,四万十川にいるらしいので四国・中村に連れて行けとのこと。これを読んで予習しておけと「釣りマニア三平」を置いていった,もちろん読まなかったけど。 まあ,私も2年前の苦い思い出もあり, もう一度四国を「観光」したかったため,むしろ好都合ではあったが。
 ルートは,宿泊費の節約と趣味の観点から,行き帰りとも夜行列車(サンライズ)を利用することに。行きは「サンライズ瀬戸」のシングルを予約。しかし,帰りは春休みシーズンであったためか「瀬戸」に空きが無く,「サンライズ出雲」のノビノビ座席を利用することに。 四国では,S氏のご両親から勧められた小豆島に立ち寄った後,四万十川,足摺岬を観光し,宇和島・松山周りで戻ってくる西側一周ルート(?)とした。きっぷは「レール&レンタカー」を使って,若干割安に。毎度のことながら,高知駅での乗り継ぎルールなど,うるさい客ぶりを発揮。
 時は2001年の3月。修論に向けぼちぼち実験を始めていた頃。出発前,サンプルを二液性樹脂に埋め込み,帰ったらすぐ研磨できるように準備万端。メンバーはS氏と私の他,後に私の嫁さんとなる人の3人で出発。

 ※このときの旅行で使った時刻表のコピーが奇跡的に残っていた。何とか行程(時刻)が思い出せそうだ。



1.サンライズ瀬戸に乗って四国上陸 〜 小豆島へ 仙台|18:54→(やまびこ52)→21:04|東京|22:00→(サンライズ瀬戸)→7:26|高松|8:05→(高速船・小豆島高速)→8:40|小豆島・土庄港→(レンタカー)→土庄港|13:40→(高速船・小豆島高速)→14:15|高松


 3月12日夕方,仙台駅から「やまびこ」に乗る。今は無き200系のH編成(2階建てグリーン車組込みの16両編成)で,マッサージルームも営業中。カフェテリアにも立ち寄ったが,何も買わなかったような記憶がある。白・緑ツートンの車体といい,写真に残していればなあ・・・と後悔しきり。
 東京駅に到着後,サンライズの旅に向け,食料やお飲み物などを調達。ホームは9番線だったように記憶しているが,それよりも売店の店員の態度の悪さが未だに忘れられない。

 さて,「サンライズ瀬戸(高松行き)」は,「サンライズ出雲(出雲市行き)」を併結した14両編成で到着。今夜は,2階のシングルを3部屋用意した。普段は鉄道ギライのS氏も,初めて乗る寝台列車に興奮気味のご様子。3人でお飲み物などをちょっとたしなみ,明日に向けてとっとと眠ることにする。

 明けて3月13日,岡山駅での「瀬戸」「出雲」切り離し準備のアナウンスで目が覚める。切り離し作業を終え,列車は瀬戸大橋へ。研究室の生活で夜型(というか昼夜反転)の私は寝ぼけ眼であったが,それでも朝の瀬戸内海の風景を堪能できた・・・ような気がする。四国へ渡ってしまえば,あとはするすると高松駅に到着。早速,駅ホーム内で讃岐うどんを立ち食い。

 四国での観光一発目は小豆島。高速船に乗り,穏やかな海をひた走る。土庄港に到着後,レンタカー(シビックフェリオだったかな?)を借り,オリーブ園や二十四の瞳関連の施設(岬の分教場)などを見て回る。小学生の頃に二十四の瞳の映画を見たが,後半がやたらと重かった記憶があるなあ・・・。
 小豆島の観光はこんな感じでおしまい。再び高速船で高松に戻る。当時の我々にはちょっと物足りなかったかな?



2.金刀比羅宮と讃岐うどん 高松築港→(高松琴平電気鉄道・琴平線)→琴電琴平→金刀比羅宮→琴平|18:11→(南風15)→19:18|高知|19:27→(あしずり7・アンパンマン列車)→21:20|中村

 本日の日程は,とりあえず夜までに中村へ着ければ良い,という感じだたっため,高松近辺でもうしばらく時間をつぶすことにする。次なる目的地は金刀比羅宮,JRでも行けるが,ここはもちろん琴電に乗ることにする。

 金刀比羅宮への参道には讃岐うどんの店もたくさんあり,食べていかないかと声がかかる。しかし,時間的に早めに山登りを済ませたいこともあり,うどんは帰りにということで先を急ぐ。かわいい狛犬の前で写真を撮ったり,讃岐平野の眺めを楽しんだり,もちろんお参りもして下山する。さて,時間に若干余裕ができたので,本日二杯目の讃岐うどんを食すことにする。が,行きしなにあれだけ呼び込みのあった参道のうどん屋が,すべて閉まっているではないか!!
 ということで,あきらめても良かったのだが,小腹も減ったのでテキトーに街中で食べようということに。少し歩くと,「日本一」の旗がゆらめく「かわせみ」なる店に遭遇。多少怪しいが,とりあえず入ってみようということで,暖簾をくぐる。入るなり,S氏と私,顔を見合わせ→「やってもうた!!」

 で,うどんをいただき店を出た感想→「大満足」。では,その状況をご説明しましょう(記憶の範囲ですけど)。店主は迫力のあるおじさん,客は他に一人。雑然とした店内,窓にはなにやら漬け物の瓶詰め?みたいなものが置いてあったり。テレビでは大相撲の生中継。いらっしゃいと,やかんに入ったお茶と湯飲みが渡された。メニューは全品200円。確か釜揚げうどんを頼んだような。店主は奥で調理にかかる。うどんを練っているのか切っているのか,キコキコと音がしてきた。テレビでは,琴乃若が土俵に上がり,相変わらず長い相撲を取っている。なんと,水入りだ。なかなかうどんが出てこないな〜,と思っていたら,ハイよと釜揚げうどんが登場。で,普通にウマい。雰囲気+味を総合すると,大満足なのであった。

 さて,JR琴平駅へ向かい,いよいよ高知・中村へ。岡山からやってきた特急「南風」は,2000系ディーゼルカー2両編成だった。土讃線の急な山道を,クネクネ車体を傾けながらひた走り,高知へ。うどんを食べたとはいえ腹一杯には足りないので,車内で調達と思っていたが車内販売は乗車せず。まあ,2両編成だから,とそのときは納得(→まちがい)。
 高知駅からは特急「あしずり」に乗り換え。今度は4両編成だし夕飯時だから・・・と思ったが,こちらにも車内販売は乗らないらしい。急いで改札の外にある売店で弁当を購入。疲れた。(この頃から車内販売が縮小されていたのかも。ちなみに,JR四国では2003年〜2009年の間,車内販売はなかった。)
 さて,この「あしずり」にはアンパンマン列車が充当された。我々はグリーン・普通合造車である2000形の普通室に乗車したが,壁にはアンパンマンの絵本が備え付けられていた。中村までの2時間,弁当を食べたり絵本を読んだりうとうとしたり,気ままに過ごす。S氏がふと「今日,高松あたりでプロ野球のオープン戦(巨人戦)があったんだってな。小豆島より,オープン戦でも見た方がよかったかもしらん」などとのたまう。わざわざ四国まで来て野球観戦か,という気がしないでもないが,まあ,それもありかな。しかし,そんな彼の認識,というか旅の計画が根本的に誤っていることがわかるのは,翌日になってからのことだった。

 ※今更ながら,「かわせみ」をググってみると,それなりに情報があったり。少なくともメジャー系のお店ではなかったらしい。ちなみに,他の方々も感想は同じのようだ。



サンライズ瀬戸で高松到着

小豆島,岬の分教場

金刀比羅宮

件のうどん屋さん

旗は日本一,壁の張り紙はこんぴら一

四万十川河口ではしゃぐS氏



3.いざアカメ 「無念の水族館」と「戦う水族館」 中村→(レンタカー)→中村


 今回の旅の宿は「サンリバー四万十」,国民年金の保養施設である。元々低価格な上,国民年金に加入している学生なら割引もあるということで,大変ありがたい施設であった。と,過去形になっているのは閉鎖されてしまったから。経営状況がどうだったのかはわからないが,サービスも良くもったいないな〜と思う。

 さて, 先述の通りこの旅行は「レール&レンタカー」を使用しているということもあって,中村駅で「駅レンタカー」を借りる。ちなみに,営業所は「ニッポンレンタカー」に委託しているようであった。ミラージュを借りていざ出発。

 まずどこに行こうかとS氏に尋ねると,「桂浜の水族館へ連れて行け」などとのたまう・・・。「は?桂浜は高知市で,ここ(中村市,現:四万十市)ではないぞ」というと,彼の顔が一瞬にして曇った。「だって,コミックには中村で桂浜を訪ねたと描いてあったぞ」とS氏は主張するも,現物は私のアパートに置いてきたので確認できず。いずれにせよ,簡単に桂浜へ戻れる場所ではない。あきらめてくれ。

 ということで,完全に意気消沈のS氏であったが,せっかくだからと四万十川の河口を目指すことにする。途中立ち寄ったドライブイン(おみやげ屋さん?)で,水槽に入ったアカメと涙のご対面。そして河口に到着。川へ向かってウキウキと走っていくS氏。まあ,気を取り直したようで,良しとするか。

 さて,四万十川河口では特にすることもないので,次に足摺岬へと向かった。灯台を眺め,昼食を取った後,海岸を宿毛方向に走り竜串海中公園へ。足摺海底館で海の中をのぞきつつ,足摺海洋館を冷やかす。大水槽を悠々と泳ぐウミガメに見とれたが,別の小さな水槽ではウツボとウミヘビが壮絶な「戦い」を繰り広げており,肝を冷やす。ウツボがウミヘビのしっぽに噛みつき,そのままぐるぐる回っている状態・・・。わざわざ一緒の水槽で飼わなくても良かろうに・・・。

 その後,宿毛駅で翌日乗る予定のバス停を確認し,中村の宿に戻った。

 ※旅行から帰ってきて,「釣りマニア三平」を確認。そこには,「桂浜で水族館を見学した後,特急で約2時間移動し中村へ到着。」と,きちんと描かれていた。んで,ちゃんと読めよ・・・とS氏に説教。迅速に高知に向かうプランにするべきで,小豆島に浮気しなければよかったのだ。いわんや,オープン戦をや。



4.松山で途中下車 中村|8:06→(土佐くろしお鉄道・宿毛線)→8:38|宿毛|8:57→(バス・宇和島自動車)→10:46|宇和島|10:53→(宇和海10)→12:11|松山→(伊予鉄道・市内電車)→松山


 この日は基本的に帰り道であるが,やはり2年前にスルーしてしまった松山を訪れるべく,四国の西海岸を鉄道・バスで移動する行程である。

 朝,眠い目をこすりながら,土佐くろしお鉄道の普通列車に乗る。宿毛線は比較的新しい路線であり,ローカル仕様のディーゼルカーも勢いよく飛ばしていく。 宿毛からバスに乗り換えて宇和島へ。↑の行程表の通り,宇和島駅でのバス→JR乗り継ぎ時間が定刻でも7分しかない。バスが遅れたら宇和島で1時間待ちか・・・。そんな我々の気持ちを知ってか知らずか,宿毛を「やや遅れて」バスは出発。
 バスはいかにものどかな感じで海岸線を走り,ほぼ定刻通りに宇和島到着。無事予定通りの特急「宇和海」に乗ることができ,一路松山へ。

 松山で途中下車し,街を観光する。腹ごしらえの後,とりあえず松山城へ。足は当然路面電車だ。なぜかS氏は路面電車に及び腰であったが,そんなことはお構いなく「ギッギと」乗せることにする。高頻度運転で非常に便利,しかも車内はレトロ(←レトロ「調」ではない)で,大変良い感じだ。博物館などを巡った後,道後温泉へ。入浴後の茶菓などによりいくつかのランクがあったようだが,どれを選んだかは忘れた。ただ,浴衣姿でお茶と簡単なお菓子はごちそうになった写真は残っているようだ。



松山城は梅の季節

定番の路面電車

道後温泉でひとっ風呂浴びる



5.帰り道 松山|18:47→(しおかぜ28)→19:23|今治|19:27→(バス・しまなみライナー)→21:05|福山|21:45→(こだま664)→22:11|岡山|22:28→(サンライズ出雲)→7:08|東京→(やまびこ5?)→仙台


 さて,いよいよ帰り道だが,よせばよいのにわざわざ「しまなみ海道」経由のバスに乗ってみることにする。特急「しおかぜ」で今治に向かい,わずかな乗り換え時間でバスに乗り込む。しかし,考えてみれば3月の夜7時,景色が見えるわけがない。単なる実績づくりのルートになってしまったわけで,今にして思えば普通に岡山に向かうのだったな。

 さらに悪いことに,福山でバスから降りる際,私は車内にカバンを忘れてしまったのだ・・・。これにはさすがに意気消沈。すぐにバス会社の車庫へ受け取りに行くことができたものの,しょんぼりしながら岡山へ向かう。

 岡山からは「サンライズ出雲」に乗車。本当は四国から「瀬戸」に乗りたかったのだが,予約が取れなかったのだ。ミニロビーでお酒を少々嗜んだ後,カーペット敷きの雑魚寝車両「ノビノビ座席」に転がる。比べるまでもないが,ベッドの方が良いなあ・・・。

 まだ眠いうちに東京に着き,山形へ向かうS氏と別れ,私は仙台に向かった。



 アパートに着き,仮眠の後,研究室に向かう私を待ち受けたのは,全く固まっていないドロドロの埋め込み試料であった。硬化剤が足りなかったかな・・・。



結論


 学問の基本は読み書きそろばん。特に読解力が重要だ!





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