久留米出身で明治浪漫主義を代表する画家、青木繁(1882〜1911)をしのぶ「けしけし祭」が、毎年、久留米市山本町の兜山(通称けしけし山、317m)山頂で行なわれている。
 昭和29(1954)年3月25日(青木繁の命日)に始まり、最近では命日の直近の日曜日に開かれている。 「けしけし祭」では、地元山本町の子供たちが青木繁のうた『母います国』を合唱する。 「我が国は 筑紫の国や白日別 母います国 櫨多き国」の歌声が山頂にこだまする。久留米で歌い継がれてきたうたとしては最も古いもののひとつである。
 
 作曲者の福田蘭童(1905〜1976)は青木の実子で、母親は福田たね。 蘭童は作曲家あるいは尺八の名手として活躍。特に戦後のNHKラジオの連続放送劇『笛吹童子』の音楽の作曲者として知られた。ちなみにジャズピアニストの石橋エータローは蘭童の子息、つまり青木繁の孫にあたる。

  「けしけし祭」で山本校区の子供たちによって『母います国』が合唱されるようになったのは、翌30年の第2回目からのことである。60年近く子供たちによって歌い継がれている。今年は青木繁生誕130年。

 青木繁のうた『母います国』にひかれ自作の合唱組曲『筑後風土記』に取り入れた團伊玖磨は、蘭童と長年にわたり親交をもった。これらの姿を楽譜、写真、新聞などパネル資料により紹介する。

  團伊玖磨さんの音楽を楽しむ会は、團伊玖磨(1924〜2001)の作品の演奏会開催や同氏に関する資料収集を行ない、音楽の持つ楽しみを共に味わう活動をしているプロデュース団体である。
團伊玖磨が生前その思いを寄せていた筑後川流域の合唱団と、全国の『筑後川』愛唱者が一緒にハーモニーを創るコンサートは、團伊玖磨記念『筑後川』として急逝後の2002年から、流域4県を辿る公演が行なわれている。 2011年には「10年記念筑後川」を柳川の舞台で700名が歌った。この前年には現田茂夫指揮・九州交響楽団、佐藤しのぶ(ソプラノ)と共にアクロス福岡でのライブ収録CD『筑後川』(fontec製作)を全国向けリリースした。
 次回は2013年3月31日福岡市での開催。また十三回忌の祥月命日、同年5月17日には、オーケストラと200名合唱団が『筑後川』を歌う。

                                                    去る3月10日から4月10日まで「團伊玖磨さんの音楽を楽しむ会」は自宅近くの「そば処・櫨山」ギャラリーで上記写真、パネル展を行いました。
 会期始めはまだ春浅く、寒い日が続きましたが、4月になると庭内の桜も陽光桜、ソメイヨシノと徐々に開花し、会期の最後には満開になりました。大勢の方に来ていただき有難うございました。
桜満開のそば処・櫨山(青木繁のうた『母います国』展会場)

写真・パネル展の内容をご案内いたしましょう。