@1年某日 参加者内訳……魔女のフェルフェッタ、アズリット、マルメット。聖騎士のクララクルル。ニンジャのエクレス。 フェルフェッタ 「あ、じゃあみんな、メニュー何にする? あたしのおごりなんだから高いのは却下よ。ラリー、お酒もダメよ」 クララクルル 「……分かった」 アズリット 「あたしユキウサギのリゾット。ソースはジンジャーで」 エクレス 「私はオオドドの塩焼き」 クララクルル 「……同じものをソース抜きで頼む」 マルメット 「ヒメカワメのシチューがいいわさ」 フェルフェッタ 「了解。あ、注文お願いしまーす」 店員 「はい、承ります」 フェルフェッタ 「ユキウサギのリゾットを一つと、オオドドの塩焼き二つ。一つはソース無しで。それからヒメカワメのシチューと、ベリアスバトのナッツ揚げ。以上でお願いします」 店員 「はい、かしこまりました」 マルメット 「あー、なんかフェルのも美味しそうだわさ」 フェルフェッタ 「もう頼んじゃったわよ」 マルメット 「一口ちょうだい!」 フェルフェッタ 「しょうがないわねえ」 エクレス 「私も一口欲しいな」 フェルフェッタ 「そっちのもちょうだいね?」 エクレス 「いいわよ」 アズリット 「ラリーはソース嫌いだっけ?」 クララクルル 「いや。これはソースがない方が好きなだけだ」 マルメット 「それも一口!」 フェルフェッタ 「食べ過ぎよ、マルメット」 マルメット 「だいじょぶだわさ!」 アズリット 「太るわよ?」 マルメット 「う、運動するわさ!」 エクレス 「頑張って走りなよ」 フェルフェッタ 「エクレスはスタイルいいものねえ」 エクレス 「そんなことないわよ……!」 クララクルル 「いや、出るとこ出てて、いいと思うぞ」 エクレス 「く、クララまでそう云う……!」 マルメット 「あたしなんて、ぺったんこだもん」 アズリット 「魔女の宿命よ」 マルメット 「アズはちょっとはあるもん。あたしのなんか洗濯板……」 エクレス 「大きいことだけが全てじゃないと思うけど……」 マルメット 「でもないよりある方がいいわさ」 エクレス 「けどね、大きいと邪魔よ。重いし、揺れるし」 アズリット 「あ、それ自慢〜?」 エクレス 「ち、ちがっ」 クララクルル 「アズリットは胸はなくとも色気があるだろう?」 アズリット 「心掛けてるもの」 マルメット 「お化粧、いつもバッチリだもんね。よくあんなに時間かけられるわさ」 アズリット 「自分がきれいになるって思ったら、時間なんて関係ないのよ」 マルメット 「うううん、でもあたしは面倒だわさ」 フェルフェッタ 「あたしも口紅くらいよね、つけるの」 マルメット 「え、フェル、お化粧してるの!?」 エクレス 「気付いてなかったの?」 アズリット 「これだからお子様は」 マルメット 「あ、馬鹿にした! アズあたしと同い年なのに!」 アズリット 「あたしには大人の色気があるもの」 フェルフェッタ 「ああもうやめなさい二人とも」 エクレス 「まあ色気はともかく、化粧は遠征中は控えるのよ。野宿なんだから」 クララクルル 「そうだな。すっぴんでいろとは云わないが」 マルメット 「ほら、お化粧、濃いってさ」 アズリット 「なっ……あんた、そんなだと意中のオトコのハートなんて射抜けっこないわよ!」 フェルフェッタ 「え」 エクレス 「想い人でもいるの、マルメット?」 マルメット 「い、いないわさッ! 変なこと云わないでよアズ!!」 アズリット 「……いてもいなくてもって意味よ」 エクレス 「そ、そうなの」 フェルフェッタ 「紛らわしいこと云わないでよ」 アズリット 「というか想い人の一人や二人、いそうなもんじゃない? あんなに男がごろごろいる訳だし」 エクレス 「ごろごろって……」 アズリット 「だってエクレス、あなた惚れられてるわよ」 エクレス 「えっ」 フェルフェッタ 「えっ、て、エクレスあんた知らなかったの?」 クララクルル 「あれは……見え見えだぞ」 エクレス 「そ、そうなのかい?」 マルメット 「そうだってばさ」 エクレス 「その、それは、誰なんだい」 アズリット 「ポールラン」 エクレス 「……!!!」 クララクルル 「ああ、ガルゴスもじゃないか?」 フェルフェッタ 「へえぇ、あの坊やも」 アズリット 「でもあれ自分じゃ分かってなさそうよね」 エクレス 「うわあ……!」 マルメット 「エクレス、そのうわあ、は嬉しいの? ヤなの?」 アズリット 「この魔性のオンナ!」 フェルフェッタ 「エクレスにとってはどっちも年下よね。告白されたらどうするの? 両方にさ」 アズリット 「あたしはどっちもヤだけどね。やっぱオトコは頼りがいがなきゃ」 フェルフェッタ 「アズには訊いてないってば」 エクレス 「そ、そうね……ううん……」 一同 「……」 エクレス 「そ、そんなに見ないでよ。……ええ、その…………き、決められないよ」 マルメット 「……まあ、そんなもんよね」 アズリット 「ま、本番までのお楽しみってことにしとくわ」 エクレス 「本番って……!」 フェルフェッタ 「その辺にしといてあげなよ、二人とも」 アズリット 「だって可愛いんだもの」 エクレス 「そ、そう云うアズリットには、誰かいるの? その、いい人が、さ」 アズリット 「えー、あたしはさあ、まだ決めてない」 マルメット 「なによ、アズだってまだじゃないのさ」 アズリット 「あ・た・し・は、よぉく吟味してるだけよ。まだ入って日が浅いんだもの。ちゃあんと見極めてからじゃないとね」 クララクルル 「見極めに入ってる時点で充分に手が早いと思うがな」 マルメット 「ラリーは誰か、いるの?」 クララクルル 「え、いや、私は……」 アズリット 「ねーぇ、どぉなの?」 クララクルル 「……私は、まだ剣も未熟だし、色恋沙汰より先に」 アズリット 「あーもーそーゆー話はクルガ先輩以外のサムライ連中と話してよ。ヴィレイス先輩とかさ」 クララクルル 「それは……」 フェルフェッタ 「あ、もしかして、今の中にいる?」 クララクルル 「馬鹿を云うな! 終いには怒るぞ!」 フェルフェッタ 「はいはい、分かったって。触んないでいてあげるからさ」 マルメット 「でもさ、先輩たちとかカッコよくていいよねえ」 アズリット 「あらマリー、好きな人はいないんじゃなかったの?」 マルメット 「ソレとコレとは関係無いわさッ」 アズリット 「でも確かに職場でイイオトコに恵まれるのはいいことだわ」 エクレス 「あんたたちねえ……騎士団は出会いの場所じゃないのよ」 アズリット 「そーだけど、いるんならイイオトコの方がいいじゃない?」 エクレス 「それはそうだけどねえ」 アズリット 「ならいいじゃない」 フェルフェッタ 「先輩たちってことは、マリ−、もしかして年上がいいの?」 マルメット 「というか、年上しかいないわさ。そりゃあ上の方が頼れるけど……あたしは可愛い人がいいわさ」 クララクルル 「かわいい……」 エクレス 「男でも可愛い面はあるわよ?」 フェルフェッタ 「そおよ。クルガなんか可愛いトコだらけよ?」 エクレス 「あれはハジけてるだけじゃない?」 クララクルル 「確かにな」 マルメット 「あぁっ、あたしたちの知らないハナシしてる!」 エクレス 「クルガは知ってるでしょ」 マルメット 「知ってるけど、あんまりよく知らないわさ。ねえ?」 アズリット 「あたしはイロイロ調査済みだもの……全部ってワケじゃないけど」 マルメット 「あたしだけッ!?」 クララクルル 「ゆくゆくは知るさ。遠征にも行くしな」 アズリット 「センパイ質問ー! 遠征っていつ行くの?」 フェルフェッタ 「まだ魔物が出たって噂は聞かないから、まだしばらくは待機ね」 マルメット 「つまんないわさ」 エクレス 「みんなにとってはいいことよ。……気持ちは分からないでもないけどね」 アズリット 「じゃあまだオトコの調査ができるってもんね」 クララクルル 「こら、精進しろ」 フェルフェッタ 「そんなコトばっか考えてると、終いにゃ頭がピンクになるわよ」 アズリット 「あ、それはそれでカワイイかも」 エクレス 「脅しにならなかったね、フェルフェッタ!」 フェルフェッタ 「困った後輩よね、全く」 クララクルル 「遠征に出たらバシバシしごくことにしようか」 アズリット 「うえぇ」 マルメット 「へへッ、オトコのコトばっか考えてるからだわさ」 フェルフェッタ 「あなたもよ、マリ−?」 マルメット 「えぇっ」 クララクルル 「そうだな。遠征初心者に教えることは山ほどある」 エクレス 「覚悟しとくんだよ?」 フェルフェッタ 「ただでさえ遠征は長いしツラいし野宿だからね」 マル・アズ 「うわあ」 フェルフェッタ 「と、まあ、脅しはここいらにしておいて。可愛いといったらやっぱり若者狙いじゃないの?」 クララクルル 「そこに話が戻るのか……」 フェルフェッタ 「ほーら、新人ちゃんなんか可愛いわよ、若くって」 エクレス 「頑張ってるからね。初々しくて可愛い」 フェルフェッタ 「こう云うのもなんだけど、ガルゴスも団長も、気張っちゃっててね」 クララクルル 「そのうち擦れてくるのだろうな」 フェルフェッタ 「そうね、可愛いのは今のうちよ」 エクレス 「残念……」 店員 「お待たせ致しました。ユキウサギのリゾット、オオドドの塩焼きお二つ、お一つはソース抜きですね? それからヒメカワメのシチューと、ベリアスバトのナッツ揚げになります」 フェルフェッタ 「ありがとうございまーす」 エクレス 「じゃあ料理も来たし、食べようか」 クララクルル 「そうだな」 一同 「いただきまーす!」 @@@ 一年の二十日だか三十日だか四十日だかくらいの会話。かしましき女だらけの座談会。 そして魔女の多さがかしましさに拍車をかけます。 >文字の記録 |