死に物狂いで敵を突破し、なんとか自軍の拠点に辿り着いた(しかし壷はない)2人はとりあえず一休み。
(いつ敵が近付いてきてもすぐ逃げられるようにマップはもちろん拡大版にしておきます)
しかし休んだところで
赤い部分が見えるんだか見えないんだかくらいまですり減った体力ゲージが回復するわけもありません。

もう息も絶え絶えな曹丕様、ふと振り向いて護衛武将に目を向けてみました。


モリモリ元気でした。


わずかに体力ゲージが減っているようではありましたが、そんな微々たる量、ダメージの内に入りません。
「ダメージを受けた」とは、この生きているのが不思議なくらいの曹丕様と甄姫様のような人の事をいうのです。


くそぅこいつ・・私がこんなにヒーヒー言ってるのにピンピンしおって・・!


完全に八つ当たりなのですが、ここまで追い詰められたらそうなるのも当然かもしれません。
そもそも趙雲伝の頃から連れ歩いてるこの護衛武将は曹丕様よりずっと強い上、お手柄横取り事件からずっと態勢が防御のまま。
それほど敵からの攻撃を受けないわけです。

しばらく苦々しく青く光る護衛の体力ゲージをみつめていましたが、やがて曹丕様は思い出しました。
この護衛武将が「回復」の能力を持っているということを。


よし!お前の出番だ護衛武将!カモン回復!来いヒーリング!


曹丕様は黙って突っ立っている護衛武将のそばへ駆け寄り、じっと寄り添ってみました。
ややしばらくした後、護衛武将は体からキラキラとした光を生み出し曹丕様の体力を回復・・・



って・・うん?アレ?・・・・



こいつ自分だけ体力回復しよったァァアァァ



なにこの子、どういうこと!?
もしかしてこいつの「回復」って、自分の為の回復?
ご主人様の体力はノータッチ?!


そう、特殊能力「回復」は護衛武将が自分の体力を回復するものであって、
別にプレイヤーをどうのしてくれるわけではありません。
曹丕様、羽扇の護衛武将の回復能力と特殊能力を混同していた模様。
いま連れている剣の護衛武将では、どうあがいても回復は無理なのです。

(※しつこいようですが、曹丕様は偉いので説明書を読みません)


とんだ期待はずれお供の能力にがっくり肩を落とした(自分が勝手に間違えた)曹丕様ですが、いつまでも八つ当たりで護衛武将に体当たりし続けたところでどうにかなるものでもなく。
すでに死相が浮き出ているであろう曹丕様と甄姫様は、半ばヤケクソで敵軍に突っ込むことに致しました。
補給拠点も壷も身近に無いのであれば、倒した敵がボロリと落とす肉まんを狙うしかありません。
もう、自ら活路を開くしかないと腹をくくったのです。

こうなりゃ武勲もクソもありません。
護衛武将への方針も攻撃に変更し、皇帝と皇后は命懸けの特攻です。


波のごとく押し寄せる呉軍に対し、子供の喧嘩状態で所構わず暴れる曹丕様と甄姫様。
そこにはもう王と女王である威厳や気品などカケラもありませんでしたが、限界を超えようとする人間の逞しさが現れていました。
そんな2人の鬼気迫る戦いぶりに加え、再び前線で張り切りだした護衛武将の活躍もあり、圧倒的に不利な状態だった魏軍の士気も少しずつではありますが上昇しはじめています。
あとは敵兵が落とす数々の品の中に、回復アイテムが混じっていれば言うことは無いのですが。

嫌がらせだか何だか知りませんが、みんなこぞって
韋駄天靴を落としていきます。

まあ、足が遅いよりは速いことに越したことは無いのですが。
だからといって、解決につながるわけでもありません。

たまに白っぽいものが湯気を出していたりしてもよく見れば矢束だったりして、つい走り寄ってしまった自分が嫌になります。

しかし、人生頑張れば何とかなるもの。
四方八方敵に囲まれ大ピンチに陥った甄姫様が、ラッキーなことに玉璽を拾ったのです。
有無を言わさず巻き込んでしまう、あの真・無双乱舞が長時間炸裂した戦場には、待ちに待った肉まんが!!
しかも一気に二つ!
サイズは一番ミニの肉まん・小ですが、この際贅沢など言ってられません。


でかした甄!
えらいぞ甄!


喜び勇んで、肉まんを拾いに走る曹丕様。
正直言うと、転がっている二つ両方我が物にしてしまいたい勢いだったのですが、さすがにそれは王として、夫として、そして人間としてどうなのかということで、思いとどまりました。
そもそも人の頑張りで手に入った回復アイテムなんですから、ご相伴に預かれるだけでありがたいと思わねばならない立場だというのに、一瞬でも独り占めを企むとは本当に困った人です。


そんなこんなで、わずかではありますが体力を回復し、とりあえず死にかけ状態から脱することが出来ました。
もう四の五のぬかしてる場合じゃありません。
元気なうちに(とはいってもゲージ黄色なんですが)敵総大将を倒し、命尽きる前にさっさとクリアしてしまいたいところ。
もう二度とこんな死線を潜り抜けるのは御免です。さっきは本気で三途の川に半分浸かってたんです。


上昇した士気のおかげで我が魏軍は快進撃を続けていたらしく、気付けば城の外はずいぶん綺麗になっていました。
それだけ圧倒的だったんならこっちの窮地を救ってくれても良さそうなものですが、皆さんずいぶんと前向きな性質らしく揃いも揃って敵の本陣方面しか目に入っていないようです。

一人ずつ殴りつけてやりたい気持ちで一杯ではありますが、とにかく今は孫権を討ち取ることが先決と、本陣近くの拠点兵や諸葛瑾との小競り合いにかまけている部下たちを横目に、曹丕様は呉の本陣へと乗り込みました。
大将の周りを固める護衛兵達を一人ずつ消し去り(いっぺんに相手できるほど曹丕様は育っていません)ついに孫権を孤立させることに成功。
あとはこの孫家の次男の裏声チャージや逆上乱舞を食らわないよう細心の注意を払いながら、ジワジワ戦っていけばいいのです。
孫権様の危機に気付いて押し寄せて来る兵達の処理は甄姫に任せ、曹丕様は総大将同士の対決。

ガードガードガードガード、通常攻撃、食らえ氷玉(チャージ1)炸裂、無双乱舞 あっ外した ガードガード

というような、何ともセコい戦闘をしばらく続けていましたが、そのうちチャージ3の気絶からチャージ5の浮かせ技の連携が上手く入り出しました。
そして反撃を与えない連続攻撃をそのまま続け、気付けば孫権の後ろは壁。


あ!孫権、なんか変なとこ(柵の角みたいなとこ)に挟まった!!チャンス!子恒チャンス!


妙なコーナーにハマってしまった孫権様には気の毒ですが、この状態になると斬られている方にはもうどうにも出来ません。
邪魔が入らない限り、無限にザクザクコンボを稼げるお宝ポジションです。
その邪魔をする可能性のある呉軍の兵も、甄姫がせき止めているのでその憂いも今は有りません。
孫権様の体力ゲージもかなり残量が少なくなってまいりました。
このままエンディング迎えてやるわ!と曹丕様は斬ることに一生懸命です。
だから、忘れてたんですよね。


護衛武将の指令を攻撃にしておいたこと。




えええ!ちょっ・・お前、なに攻撃に加わってんの?!




邪魔は敵兵の妨害だけではありません、この場合味方の協力も充分致命的です。
突然現れた護衛武将の横槍に、曹丕様の攻撃のリズムは思いっきり崩れました。
このコーナーに追い詰めてボコボコ大作戦は、斬るリズムが命なんです。
タイミング外したが最後、敵は意識を取り戻します。


勿論、孫権様も例外ではありませんでした。


ほら見ろ起きちゃったじゃねーか!!うァァアァァァ!めっちゃ怒ってるめっちゃ怒ってる!!
なんか金色に輝いてる!こっち来た――!!
どうしよう!どうしよう!どうしYO!(YOの使い方が間違っています)
あっ!この野郎なんで
お前まで逃げてんだコラァー!責任とって最後まで戦ってこいやー!!


曹丕様が逃げ出したので、ご主人様を追いかけるように護衛武将まで逃げ出しました。
曹丕様と護衛武将、孫権様にとってどっちがターゲットなのかわかりませんが、とにかく執拗に追いかけてきます。
時間が経てばたつほど、頭上に
ATTACK×2などという禍々しい呪文が浮かび上がり、ますます危険な男に成長している孫権様。
あの穏やかな次男の顔はもうどこにもありません。
ああ、昔が懐かしい。


しばらく呉の船上をグルグルと走り回って、いい加減スティックがもげるんじゃないかと思いはじめた頃、曹丕様の後ろをピッタリマークしていた孫権様、突然ビクッと痙攣したのち、気絶状態に陥りました。

驚きながらも充分に距離をとった後(腰抜け)おそるおそる振り向くと、妻の甄姫とその護衛武将が勇敢にも戦いを挑んでいるではありませんか。
さっきの孫権気絶はどうも護衛武将のチャージ弓だったようです。
笛でビシビシと孫権をぶん殴る甄姫と、後ろから的確な弓攻撃を放つ護衛武将。
甄姫が逆に気絶させられた時は、すかさず孫権に強力なチャージ弓攻撃を放ち危険を回避。
なんだかものすごく正しい「主人と護衛武将の図」が目の前で繰り広げられています。
決して前には出ず、あくまで影から主人を支える護衛武将。
これこそが本当の援護です。
今まで自分たちがやってきた「俺が俺が」的戦闘とはまるで違います。
何かお互いに信頼という固い絆で結ばれているような気すらしてきます。


胸に沸く様々な想いにかられながら、曹丕様は息の合った甄姫チームが孫権を討ち取る一部始終をただ呆然と遠くから見つめていました。
自分が出世できなかった要因を、この最終局面になってようやく掴んだという脱力感に襲われていたのかもしれません。
出来ることなら、この隣の護衛武将を舟から突き落としたいと思いましたが、逆に突き落とされるかも知れないのでやめておきました。

結局大した武勲を挙げられないまま終了した最終ステージでしたが、無事総大将を(甄姫が)討ち果たしたので、とりあえず勝利ポーズだけバッチリ決めておいた曹丕様でした。



結論・護衛武将はちょっと引っ込み思案(弓・弩)に限る



その後学習し何とか昇進に成功した曹丕様ですが、未だ警戒を解くことなく、仕官してきた野心家(剣・戟)を追い返す毎日です。





この前は羽扇にも手柄やられました。

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