否定の声を揃って上げた二名は、鏡のように同じ動作の向こう側―― 彼女は彼を、彼は彼女を、しばし言葉もなく見つめていた。 無言で(心の中はかなり雄弁)ガン垂れ合っていた時は顔しか確認できなかったが、揃って仁王立ちのこの状況ならば互いの姿がよく見える。 目の前の青年をまじまじと眺め、は思う。 ―― なんだろう、この場違いなまでの男前は 恐ろしく、立派な若者だった。 確かに最初から顔立ちだけは目に入っていたので美形であることは察していたが、立ち上がったその姿からはそれまで気付かなかった静かな迫力が滲み出ており、それが一層男の壮麗さに凄味を持たせている。 いでたちから判断するに、武人であることはまず間違いない。それも相当高位の、である。 とりあえず、コソ泥まがいのケチなチンピラではないことは確かだ。 見上げるのも一苦労する長躯の張コウや典韋ほどではないにしろ、世の平均とされる身の丈を遥か超えるような長身。 鎧を纏った体つきはがっしりと逞しくありながら、不思議と無骨な印象はない。屈強さの中に漂う妙な気品のせいか。 鍛え上げられた右腕の先には見事な長槍が握られている。かなりの重量に見えるが、彼は空気でも掴むように軽々と手にしていた。 その腕力で得物を振るう姿はさぞかし絵になることだろう。 美しいものに目がない張コウあたりが目撃したならば恐らく大騒ぎである。 男性を見る目が極端に厳しい甄姫でも(自分の旦那ですら70点)(ひどい)彼ならば合格点を頂けるのではないだろうか。 かくいうも例外ではなく、つい惚れ惚れと溜息を吐いてしまう。 同じ美形は美形でも常日頃見慣れているのは、バタフライだったり髭だったり嫌味だったりと、なにかしら必ず微妙なオプションが付きまとう個性派が主である。 毎日変化球ばかり受けている身としては、こんな直球、いわゆる正統派がかえって新鮮だったりするものだ。 一方、立ちすくんだままの少女を穴が開くほど見つめ、趙雲も思う。 ―― なんだろうか、この胸の高鳴りは とてもおかしな心持ちだった。 彼女はそこに立っているだけで別段気にかかるような振る舞いをしているわけでもないのに、不思議と目が離せない。 自分同様、じいっと見つめてくる娘の瞳は子供のように幼く、それでいて全てを見抜くかのような深さも潜んでいる。 とても物盗りを生業としているような卑しい者の眼ではない。かといって、ただの逃げおくれた村娘とも思えない。 くすんだ色彩で覆われたこの戦場にはいささか不似合いなほど、彼女の身なりは小ぎれいだった。 決して華美ではないのだが、素人目にも判るような上質な品。センスもいい。 装いだけで判断すれば、どこぞの姫君か令嬢かと考えるのが妥当なのだろうが、そう断言するにはどうも抵抗がある。 いや決して、気品が足りないだとか、姫たる風格に欠けるというわけではない。 身分の高さや家柄の良さを糧にして育ってきた者特有の気位の高さ―― いわゆる高慢さがこの娘からは感じられないのである。 まだ何一つ言葉を交わしていない状況でそう言いきってしまうのは少しばかり乱暴かも知れないが、第一印象というものは大変重要である。 人を見下すことに慣れている慢心や頭を垂れることを知らぬ愚かさは、隠そうとしても隠しきれるものではない。必ず濁りとして現れる。 伊達に趙雲も寝返りや謀略が頻発する世界で生きてはいない。相手がどのような性質の人間か見極める術は充分身についている。 その長年の訓練で培われた厳しい観察眼は、とりあえず彼女を心良きものとして判断を下したようだった。 しかしそれを認定した本人、趙雲の心は何故かざわめいたままである。 ざわめくといっても、不安や恐れという負の感情に追い立てられているわけではなく、もっと別の、ふわふわと、くふくふとした形容しがたいものに揺られているような、そんな具合である。 「ええと…あの…何してるんですか?」 先に口を開いたのはの方であった。 湧き上がる疑問符を放っておけなかったのもあるが、黙りこくったまま見詰め合うという気まずさに耐えかねたというのが最大の理由である。 いかにもおそるおそるというような声で尋ねられ、半ば放心していた趙雲は眠りから覚めたように大きな瞬きを一つした。 そして背負っている五虎大将の名が泣くのではないかと思われるほど狼狽しきって「はい」とか「ええ」とか返事とも呼べぬ声を漏らし、ようやく「探し物です」という面白くもなんともない台詞をやっとの思いで吐いた。 「えっ、そうなんですか?私もですよ」 趙雲の返答に驚きつつも境遇を同じくする者の存在が素直に嬉しく、は思わず笑顔を浮かべた。 抱いていた疑問が綺麗に解消されたことで心にほんのわずか残しておいた警戒も一緒にとけてしまい、何一つ邪気のない笑みである。 何の前置きもなくいきなり無防備に開放されたその微笑みに、趙雲の心は一層騒がしくなった。 騒がしいどころか、家の柱が倒れたような大爆音である。 おかげで彼はひっくり返りそうになる心臓と同じくひっくり返りそうになる声を静めるのにずいぶんと大忙しだった。 「そっ…それは奇遇ですね」 「本当ですねぇ」 「いつからお探しなんですか?」 「それがもう、さっきからずっと。全然見つからなくて困ってたところなんです」 ここは果たして戦場なのか、軒下の縁側なのではないか、と錯覚するほど実に呑気な会話である。 警戒する必要がなくなると、こうまで緊張の糸が切れるものなのだろうか。 「一体何をお探しで?」 その質問には一瞬言葉に詰まった。 なにしろモノがモノである。しかし今更嘘をつくわけにもいかず恥を忍んで彼女は正直に答えた。 「…へその緒です」 「(へその緒?!)」 「あっ、主のです!主の!私のじゃなく!」 声には出さなかったものの、明らかに驚きを隠せない趙雲の様子には慌てて付け加えた。 自分のだと思われてはたまらない。 「そうですか…へその緒…」 「え、ええ。そうなんですよ…へその緒を」 あまり何度も口にしたくないのだが。 「あの、ところであなたは何を…?」 「ああ…私は赤ん坊を」 「(赤ん坊ォォ?!)」 「あっ、主のです、主の。私の御子ではありません」 「(いやそういう問題じゃ…!)」 もはや落し物のレベルが違う―― とは痛感した。 というか、物じゃない。生き物である。人間である。どこをどうすれば自分の子供を忘れてゆくのか。 は彼の主人が一体どういった人なのか不思議で仕方がなかった。 「わっ・・私も探します、手伝いますっ」 「や、しかし、貴方も主人から言い付かってるのでは…」 「そんなものいいんです!後回しです!」 主君である曹操には申し訳ないが、は一時中断させていただくことにした。 へその緒と人命。どう考えても人命を優先すべきである。 「で、その赤ちゃんはどういう状態で…」 「それが…箱の中らしいのですが」 これまたどういう扱いなんだと言いたくなるような手がかりであるが、は大慌てで箱という箱を手当たり次第に探し始めた。 元の世界でコインロッカーに置き去りにするという惨い話をよく耳にしたが、まさかこんな時代でまで箱詰めという悲惨な待遇を受ける乳飲み子の存在を目の当たりにするとは。 無事見つかった際には、いつかそのろくでもない親に痛恨の一撃を食らわせるくらいのバイタリティーで強く育って頂きたいものである。 ―― なんという、思いやりの深い方か まるで自分の子供であるかように必死で探し回るの姿に、趙雲は畏敬の念を抱かずにいられなかった。 よほど義に厚い娘なのだろうと思う。主から命が下ったからといって、生半可な気持ちでこのような場所に来れるものではない。 だというのに、その命懸けの覚悟で受けた仕事を放り出してまで、初対面の自分の為にこれほど一生懸命に探してくれるとは(別に彼の為ではない) 彼の胸を中を、じんわりと熱いものが緩やかに滑り落ちてゆく。 夏の嵐に訪れる雷雨のような鼓動が、いつもでもおさまらない。こんなことは初めてだった。 不思議だ、とても不思議な娘だ。 それとも不思議なのは自分の方なのだろうか―― 趙雲は半分口を開けながら、広場を駆け回っているやけに身軽な彼女の後姿をぼんやりと眺めていた(お前も探せ) 「…いたっっ!!ここ、ほら!!良かった、生きてる!!!」 広場中に置かれた箱という箱を壊し、ただでさえ荒れ果てた地が更にその荒廃感を増した頃、ようやく置き去りにされていた乳児は一つの四角い暗闇の中から現れた。 結構な長い時間ぞんざいに放置されていたその小さな命は特に弱った様子もなく、久し振りに浴びた光に大きな黒い目を瞬かせた後、空気を切り裂かんばかりの勢いで泣き始めた。 どうも今まで眠っていたらしい。のんきというか大らかというか。 耳をつんざくようなその泣き声は静寂に慣れた鼓膜を貫くのに充分な威力であったが、元気が有り余ってる証であると逆に2人は喜んだ。 「阿斗様、よくぞご無事で…おや?」 「…あらら?」 相変わらず泣きつづける赤子を抱き上げた趙雲は、箱のもたれかかるように立てかけられた何かを見つけた。 小さな箱のようである。 同じく気付いたが慌てて拾い上げると、予想通りそれは彼女が探しに探していた―― というか探すハメになった、あの例の主の落し物だった。 実は半ばもう諦めていた。 とてもじゃないが日が落ちる前に見つけられそうもない、と見切りをつけようとしていたのである。 しかし、このまま手ぶらで帰れば、落胆した主からどんな恨み言を聞かされるか。考えるだけで憂鬱だ。 なるべくならば望みどおりに手元に戻して、無難に事をおさめたいというのがの本音である。 そしてまた、我侭ながらも憎めないあの中年を喜ばせてやりたいというのも、また本音であった。 「あった…」 安堵感と共に脱力感が襲い、思わず体の力が抜けてゆく。 は思わず、へなへなとその場にへたり込んでしまった。 「大丈夫ですか」 躊躇い気味に差し出された趙雲の手を、は「ありがとうございます」と情けないような緩んだような笑顔で受け取った。 (…ッギャァ!) (…っうわっ!) 触れた瞬間、2人は心の中で絶叫に近い悲鳴をそれぞれあげた。 特に深く考えずに手を取り合った彼と彼女に衝撃を与えたのは、その互いの感触である。 は、大きくゴツゴツとしたその力強さに驚いて手にしていた桐の箱を放り出しそうになり、趙雲は趙雲で、すっぽりとおさまる小ささと壊れそうな柔らかさに吃驚して、抱えていた阿斗を落っことしそうなってしまった。 初めて異性の手を握ったわけでもないというのに、何故かその時はどちらも滑稽なほど慌てふためいていた。 間近にいる相手が、紛れもなく男であり、女であるということを今更になって思い知らされたのかもしれない。 2人は見ている側の方が赤面しそうなほどドギマギし阿斗をあやしたり(もうとっくに泣き止んでたりする)意味のない笑顔を浮かべたりと苦しいながらもとりあえず場を取り繕っていたが、やがて趙雲が思い出したように「これはいかん」と呟いて、向き直り深々と頭を下げた。 「す、すっかりお礼を申し上げるのが遅れまして大変失礼致しました。この度阿斗様を無事保護できましたのも貴方のおかげです。真にありがたく存じます」 「あっ、いえいえそんな!その子…えっと、阿斗様とおっしゃるのですね。阿斗様のおかげで私の探し物も見つかりましたし、お礼を言うのはこちらの方でございます」 相手の丁寧な物腰に中途半端な感じでつられてしまったは負けずに深く頭を垂れ、ついでのように「申し遅れましたが、と申します」とずいぶんと遅い自己紹介を行った。 それを受けた彼の方もまだ名を名乗っていないことに気付いたらしく、慌てて襟をただす。 「こちらこそ申し遅れました、私は主・劉備殿にお仕えしている趙雲子竜と申します」 「ああ、そうでしたか、劉備軍の趙雲様で…………りゅっ」 少々、理解するのに時間を要した。 自分で繰り返したその言葉がどえらい意味を含んでいることに何となく気付いてはいたが、上手く吸い込むことが出来ない。 一文字一文字を整理し組み立て、ヒイヒイ言いながらやっとの思いで流れの遅い回路に乗せる。 そしてようやく情報が伝達され充分に脳まで行き渡ると、の笑顔は瞬間冷凍のように固まった。 何と言うか、今まさに自分達が追っている劉備軍である。敵である。 今までにこやかに言葉を交わし、協力して、喜びを分かち合っていたのは、討ち取ろうとしていた敵軍の武将だった。 しかも必死で助け出したのは自分の主が「やっつけてやるー」と騒いでいた、総大将・劉備玄徳の息子である。 だがよくよく考えれば、この場にいる武将など曹操軍か劉備軍のどちらかでしかない。 曹操軍の武将を務める者なら誰よりもが知り得ているはずであろうし、向こうが朱雀であるのことを知らないわけもない。 そうでないということは、曹操軍ではない勢力―― 劉備側の武将であることは日を見るよりも明らかである。 そんなことにも気付くかぬほどに、切羽詰っていたのだろうか。 は自分の愚かさをつくづく嘆いた。 「どうなさいました」 「あっ…いや・・なんでもございませんですっっ…」 油断すると汗が噴出しそうである。 は気合という気合を総動員し、神経が引きちぎれそうな思いで笑顔をつくった。 もう今更、趙雲が敵と判明したからといって、どうこうする気にもならない。なれない。 こうまで気を許した相手に、どうして刃をむけられようか。 ましてや、すやすやと彼の胸で眠る赤子ごと討ち取るなど、まさに鬼の所業である。 「…その、そろそろ私、戻らなければ…」 このまま正体がバレる前にドロンしてしまおうとは身を翻したが、趙雲は回り込むように彼女の前に立ちはだかった。 「こんな中をお1人で帰られるのは危険です」 「…いや、あのっ」 「貴方の主の元まで私がお送りいたします」 「けけっ結構です!ダイジョブです!(勘弁しろ!)」 そんなことになったら、趙雲が曹操軍本陣でボコボコにされてしまうではないか。 いやむしろ、その首貰ったとばかりに彼の槍が曹操を貫きかねない(結構強そうだし)←は彼が五虎大将などと呼ばれていることを知らないのである どちらに転んでもバッドエンディングである。それはどうしても避けたい。 「ご心配は無用です。地元の者にしか知られていないような抜け道を通りますから(嘘)それに主が近くまで迎えに来てくれるでしょうし(嘘)万が一にも危険な目に遭うようなことはありません(本当)」 「しかし、」 「そんなことより趙雲様もご主人様の元へ早く戻ってあげてください。帰りが遅い、と心配しているかもしれません」 それに、とは腕で寝息を立てる赤ん坊に視線を落とした。 「きっと阿斗様もお父様に会いたいと思います」 「殿…」 染み入るような心遣いに趙雲は打ち震えていたが、まさかそのお優しい娘さんが敵軍の幹部とは思うまい。 趙雲は再び深く頭を下げ、名残惜しそうにの瞳を覗く。 黙して何も語りはしなかったが、その視線は溶けるような熱を帯びていた。 「…また、お会いできますか」 「はい…いずれ、きっと」 多分また戦場でしょうけどね!と真実を口に出せないのが、隠す側に立ってしまった者の辛い宿命である。 その後、駆け足で帰った本陣では、へその緒なんかの為にパシらせやがって、と家臣であるはずの夏侯惇や司馬懿らに吊るし上げられている曹操の姿があった。 が戻ったことに気付いた面々は猛烈な勢いで彼女に走り寄り、口々に「良かった」とか「遅かった」と説教と安堵が入り混じる言葉を吐いた。 帰りが遅れた子供とそれを案じていた父のような出迎えを受けたは、纏わりつく張コウをやや遠ざけながらも一体どうしたのかと首をかしげる。 「どうも劉備軍の趙雲とかいう武将が、豪胆にも単騎駆けしてきたらしくてな」 「それもちょうど広場あたりを目指して走ってたっていうから、もしかしたら巻き込まれたんじゃねぇかって心配したぜ」 「しかし殿のその様子では、我々の杞憂に終ったようですな」 「傷一つなく美しいままで安心いたしましたよ!」 「まったく人騒がせな奴だ!」 「…アハ、ハ…すいません」 巻き込まれるどころかバッタリ会って話までして手を取り合ったりして、もう無茶苦茶彼らの不安は的中していたのだが、とても言い出せる雰囲気ではなくはただ適当に相槌をうつしかなかった。 おそらく本日は1日中、作り笑いに専念せねばなるまい。 「殿…ハイこれ、へその緒です」 「おぉー!!間違いなくこれだ!でかした!よくやった!結局劉備にも、趙雲とやらにも逃げられたが、今日はこれでよしとしよう!、ご褒美は何がいい?」 『戦<へその緒』である主は一気に上機嫌となり、見事役目を果たしたことをしきりに誉めそやしたが「それ見つけたのその趙雲とやらですよ」とは心で呟いていた。 隠し事を持つと気苦労も倍生まれるということを、改めて実感してしまった長坂の空の下である。 一方、敵の軍勢の中から無事帰還を遂げた趙雲にも、主君をはじめ仲間から熱いの歓迎が待っていた。 槍で小突かれたり、杖で小突かれたり、扇で小突かれたり、弓で小突かれたり、連弩を放たれたりして、皆が一つとなって喜びに沸いていた(と思う) 家臣の懐から阿斗を渡された劉備は、その忠義の固さに強く胸を打たれ、目を涙を浮かべていた。 「なんと恐ろしいことだ…!私の…私の子供などの為に、素晴らしい家臣を一人失うところだった…確かに息子の命は重い。だが子はいつでも生すことができる。優秀な部下の方こそ遥かに得難いのだ…私はっ…私は!…って…趙雲聞いてる?」 一応泣かせどころだから普段より気合を入れ気味にいい話を語っていた劉備だが、その相手である趙雲がまるで上の空であることが気になった。 それなりに反応してもらわないと、ただの豪快な独り言ではないか。 「あっ…ええはい、聞いております」 「…えーと…それで、どこまで言ったっけ……とにかく、うん。だから要するに、お前はかけがえのない部下なんだ、ってことだ」 「…はい…私も今日、かけがえのないものを知りました」 主のありがたい(途中投げやりになったが)話に対して意味不明な受け答えした趙雲は、遠く空を見上げた。 その表情は満ち足りたような、幸福を閉じ込めたような、実に緩みきった半笑いである。 「…趙雲、何かいいことあった?」 「…はい、とても。これも阿斗様のお導きです」 何を思ったか趙雲は、劉備に抱えられた阿斗を仏様のように拝み始めた。 そう、この日からである。彼が鍛錬の合間を縫って寝かしつけたり率先して世話役を買ってたりでるなど、誰よりも阿斗を可愛がるようになったのは。子守将軍のはじまりはじまり、である。 そうして主の子をお守り代わりに、胸に熱を残した小さな少女がまさかかの風神の人とは知る由もない趙雲は、いつかまた会える日をただただ願うのだった。 男の子と女の子が出会ってほころぶ恋の花 荒みきった無粋な戦の地の上でも、それは分け隔てなく色鮮やかに咲き誇る 運命と宿命が入り混じり戦の嵐が渦を巻く中、生まれたばかりの花びらが流れ流れて行き着く先は―― 神のみぞ知る キリバン184184を踏んで下さった壱原マコ様にお贈りいたします。 |
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