スラムが選ぶ「異次元ホラー劇場 アウターゾーン」傑作選
スラムが選ぶ「異次元ホラー劇場 アウターゾーン」傑作選


まず始めに、「アウターゾーン」とは…。
光原伸先生(今は「ワイルドハーフ」の浅美裕子先生の旦那様)が原作の一話完結(「マジック・ドール」シリーズなどの一部例外あり)の
オムニバス物です。「週刊少年ジャンプ」に1991〜94年まで連載されていました。「スラムダンク」「幽遊白書」「ダイの大冒険」等と
ほぼ同時期といえます。私と同年代なら知っているかもしれないです。また、ジャンプの後の方でよく連載していた
記憶があるという方もいらっしゃるのでは…?緑の長い髪に妖精のような尖った耳で、正体が謎の「ミザリィ」という
ストーリーテラー的な女性が出てくることでも有名な作品でもあります。また、彼女は物語の中で登場人物にアイテムを渡したり、
アンティークショップ等の店主としてアイテムを売ったりするという重要な役割を果たします。
また、彼女はいろんな衣装で登場する場合もあります。ビートたけしや香取慎吾に匹敵するコスプレタレントとも言えます。
彼女は「案内人」と書いて「ストーカー」と名乗っていますが、決して誰かを付きまとうわけではないのでご安心を!(どんな安心を…?)
ちなみに、その「ストーカー」の由来は、作者が好きなあるロシア映画の危険地帯の案内人の呼称から来ています。
コンビニコミックスのジャンプリミックス版のものは「異次元ホラー劇場」というサブタイトルがついています。

このコーナーの趣旨
「管理人」(と書いて「ウェブマスター」と読む)のスラムが、実際に読んだ作品(ジャンプリミックス版)の中から、
「これは面白いな!」と思ったものを紹介し、ところどころに突っ込みや余談を入れたりもするというレビューです。
この作品自体が「面白い話の宝庫」ですので、更新しがいのあるコーナーになるといいなと思います。
さらに、各話紹介の下に「ミザリィのひとこと」というオマケ的なコメントも書きます。



「あの日から…」

銃で撃たれたヤクザの青年・江藤明(27歳)が、ミザリィのタクシーに乗り、青年の少年時代に迷い込み、昔の自分に会い、
目が覚めると妻と子供がいる国際線のパイロットになった別の自分になっていたという話でした。
主人公が昔の自分に言った「いいか!これから先、お前から夢や希望を奪おうとする事がたくさんある!
両親がお前の大事なものを捨てたようにだ!でも、負けるんじゃないぞ!夢や希望ってやつは捨てるのは簡単だが、
取り戻すのはすごく難しいんだ!」という言葉を言ったシーンが一番心に残りました。これは「ドラゴンクエスト5」に出てきた
「坊や、どんなに辛いことがあっても負けちゃ駄目だよ」のシーンを思い起こさせます。あと、この作品の最後でミザリィが言った
「彼は過去を変えたのでしょうか?それとも、夢を見ていただけなのか…あるいはこの結末自体、ヤクザの彼が
死ぬ間際に見た幻影なのか…」という言葉も忘れられません。また、タクシーの運転手に扮したミザリィの姿も見られます。
この作品は、怪奇的なものを連想しがちですが、中にはこんなにも泣かせてくれる話もあります。さわやかな感動でした!
ミザリィのひとこと→「あのチンピラの人は、意外と芯が強いわね」

「わしはサンタじゃ!!」
これは「あの日から…」に匹敵するほどの涙腺がゆるみまくった話です。大事なオモチャを捨てた母親とケンカした少年・誠が
クリスマスイブの日、道でサンタと名乗る老人・三太と会い意気投合しましたが、老人が発作を起こして倒れ、
少年になくしたものをプレゼントしたら、 老人は少しだけ元気を取り戻し、老人は少年からヒントを貰い、
周りにいる医師達になくしたものをプレゼントし、老人が元気を取り戻し、主人公の母親にもなくしたものを
プレゼントした後に、トナカイのソリに乗って帰っていくという心温まる話でした。 話の流れは、ざっとこんなものですが、
ちょっと遅めのクリスマス(読んで、日記を書いたのは、2003年12月28日)に味わった良い話です。老人の飼っている猫が
トナカイになるという設定が面白かったですし、「遠い昔に失った物を得た喜び」がうまく描かれている話でした。
そういえば、「笑ってコラえて」の企画で「サンタ討論会」という企画がありますが、そのラストは
反対派の子供の家にサンタが来るという感動の結末です。ちなみに、この作品でミザリィは
サンタの恰好をして、ケーキ売りのアルバイトをしています。う〜む、謎だ…(笑)
ミザリィのひとこと→「この話の劇をどこか小学校の学芸会でやっていたわよ」

「英雄(ヒーロー)」
20年前に特撮番組でヒーローを演じていて、落ちぶれた元俳優が、ファンを名乗る他人には姿が見えない少年と出会う話です。
その少年は、主人公が悪い事をするたびに「悪い事はやめて」とか「悪者に操られているだけなんだ」と言ってきます。
しかし、主人公は少年を嫌います。一ヵ月後、主人公は悪い仲間と銀行強盗をする事になりました。
そのとき、なぜか少年が現われました。そのあと、非常ベルが鳴り、 仲間が見せしめとして銀行員に銃を向けましたが、
目覚めた主人公が仲間を撃ち、そして相撃ちになり主人公は重症を負いました。 死ぬ間際の主人公が、幻影の少年に語りかけ、
そして自分がヒーローを演じたことや落ちぶれたことを認めたくなかったことを話します。 これがこの話の感動ポイントです。
ミザリィは幻影の少年のことを「当時、応援していた人々の心の集合体かもしれない」と語っていました。
ミザリィのひとこと→「人生の最後の最後で、ひたむきだった頃の自分を取り戻せたようね」

「笑う校長」
数学教師で生活指導役、しかも、凶暴さでは悪名高い鬼瓦豪助はある日、根本という生徒を殴り、生徒が机の角に頭をぶつけ、
殺してしまいました。その晩、鬼瓦はミザリィと出会います。ミザリィは鬼瓦に「あなたに来て欲しいいう学校がある」と言い、
学校を案内し、次の日、鬼瓦は案内された場所にある学校へ向かいしました。その学校の校長が鬼瓦に「我が校は、生徒に生活指導を
徹底しています」と言い、学校の中を案内しました。その学校はなんと、生徒全員に同じ顔に整形させ、名前をなくして番号で
生徒を分類させ、廊下を歩く速度まで決めさせている恐るべき学校でした。校長の話によると、規定の目的は、どの生徒にも
個人的感情抜きで教育できるということだったです。校内を見た鬼瓦は契約書にサインしました。しかし、校長から「あなたは
(いくつかの)教員規定違反です。全部あわせた罰則は『死刑』です」と言われ、死刑台で首を吊る羽目になりました。
仮面を外した笑う校長の正体は、死んだはずの根本でした。数日後、人里離れた山で首を吊った彼の死体が発見されました。
この話に出てくる「笑う校長」は終始笑顔なので、不気味に感じます。しかも、笑いながら凶器のスパナを振っている場面は
もっと怖いです。この話は、ジャンプ本誌で読んでから10年ぐらい頭の中に残っていたインパクトのある話です。
何気に検索してみたら、この話はある大学の講義に取り上げられていました。この話だけでなく、この作品の話が
いくつか取り上げられていました。やはり、何かを考えさせてくれる話に違いありません。余談ですが、
「鬼瓦」と聞いてビートたけしがコントで演じていたキャラを連想するのは、私だけでしょうか?
ミザリィのひとこと→「あの先生、せっかくアウターゾーンから抜け出すチャンスをフイにしたわね」

「救命艇に死神がいる」
霧の海に浮かぶ救命艇に、沈没船から脱出した人が7人・・・そこには、ミザリィ、客船の乗組員、占い師の老婆、
小説家、脱走犯、趣味の悪そうな金持ち、両親とはぐれてしまった女の子がいました。占い師が助かる時期を占っていたら、
突然「この船に死神がいる」と言いました。その後、怪我を負った乗組員が死んでしまったことにより、
占い師が「放っておくと、まだ死人が出る」と言いました。金持ちが水を勝手に飲んで、水のタンクを海に落としたことにより、
脱走犯が金持ちを溺死させました。霧が晴れないことに苛立ち、脱走犯と小説家は占い師を殺してしまいました。
それでも霧が晴れず、小説家は「あの女が怪しい」とミザリィを疑いましたが、「あんた達に殺されるなんて御免だわ」と言い、
ミザリィは海に飛び込みました。脱走犯は女の子を死神だと思い殺害を謀りましたが、脱走犯が殺人をしたように
見せかけるために小説家に殺されました。小説家は「殺人の現場を見た」と言い、女の子を海に落としました。
女の子が海に落ちた後、霧が晴れましたが、救命艇が救助船にぶつかってしまい、救命艇は砕けてしまいました。
乗っていた小説家は海の藻屑になりました。ミザリィと女の子は助かり、女の子は救助船のベッドで目を覚まし、
両親と再会しました。少女は長い間漂流していたと思っていたが、実は沈没事故があったのはつい昨日のことだと
客船の船長に聞かされ、少女は驚きました。最後にミザリィは「救命艇に死神はいませんでした。もし死神がいたとしたら、
それは彼等の心の中にいたのです」と印象的な一言を残しました。この話は「心の中の闇」が見事に描かれていました。
危機的な状況に陥ると「本性」が現われやすいなと感じました。救命艇で思い出しましたが、「笑ってコラえて」という番組で
知った話ですが、救命艇には食糧や水の他に、「諦めたらここで終わり」的な内容が書かれた本も積んでいるという話を
聞きました。・・・ということは、「スラムダンク」通常版第8巻や、「リアル」第3巻もそれに相応しい・・・?
ミザリィのひとこと→「あなたには、本当の意味での『死神』が見えますか?」

「デス・フライト」
ミザリィは航空機の会社の設立100周年機上パーティーに招待されました。主催者の滝沢は参加者達に
招待された理由を告げました。それは・・・「1ヶ月前に同じ飛行機のファーストクラスに乗り合わせていた共通点」が
あるということです。その飛行機で急死した女性がいて、その女性は主催者の滝沢の娘でした。滝沢の娘は、出血もないのに
大量の血が奪われていて、首筋にはまるで牙を突き立てられたかのような2つの穴があり、それを見た滝沢は
「犯人は吸血鬼以外の何者でもない」と確信しました。説明した後、滝沢は「君達の中に吸血鬼がいる!」と言いました。
この機上パーティーの真の目的は、吸血鬼の招待を暴くためだったのです。参加者全員を座席に縛りつけ、
吸血鬼の弱点である十字架を額に突きつけましたが、まったく効果がありませんでした。さらに、参加者が飲んでいた
飲み物の中には、聖水が入っていましたが、それも効果なしでした。吸血鬼は肉体の再生能力があるので、
切り裂き実験を行おうとした時、参加者の男が滝沢の持つナイフを払いのけしました。滝沢は銃を向けましたが、男がからみ、
銃が暴発して、流れ弾が機長に当たってしまいました。そして、飛行機は急降下しました。滝沢は「吸血鬼は墜落死からは
逃れられまい」と言い、その後、参加者の毛の薄い男が「死ぬのはお前等だけだ!」と言い、ついに吸血鬼が正体を現しました!
吸血鬼は、窓を割りましたが、予定より早い昇りかけの太陽が見えました。さらに、死んだはずの機長は生きていました。
流れ弾は「空砲」で、機長に血糊を仕込んでおいたのです。銃を暴発させた男は、1ヶ月前のファーストクラスには乗っておらず、
実は滝沢の娘の婚約者だったのです。機長が全ての窓のシャッターを開けると、太陽の光が一気に射し込み、
吸血鬼がもだえ苦しみました。日の出が早い理由は、飛行機がずっと「東」へ飛んでいたからなのです。
溶けかかったような姿の吸血鬼は、ミザリィの血を吸おうとしましたが、ミザリィは吸血鬼の額に手を当てて、
吸血鬼の頭を消し飛ばしました。これで、吸血鬼倒しを完了しました。ミザリィはこの回では、
パーティードレスを着ていますが、これがかなり決まっています! この話はまさに「人間VS吸血鬼の知恵比べ」という感じです。
この知恵比べは、もちろん人間の圧勝でした。ドラマチックで読み応えありです。
また、ミザリィの高い戦闘能力(?)を見せつけられた話でもあります。あまり怒らせないほうがいいかも・・・?(笑)
ミザリィのひとこと→「あの吸血鬼は、大したことなかったわね」

「マジック・ドール」 1〜4
「マジック・ドール」シリーズ最初の話は、4話構成となっています。その1は、刑事の火牙明が巻き添えにしてしまい、
死んでしまった女性の坂内マキが着せ替え人形に乗り移るまでの経緯が書かれており、人形となったマキは凶悪事件解決の
手柄により、火牙と共に行動するようになったという話です。その2は、マキが潜入捜査をするという話です。
病院を乗っ取った凶悪犯に気づかれず、無線で火牙に中の様子を伝え、鉛筆を使い、銃を撃てなくするという貢献ぶりです。
逆上した犯人にナイフで刺されそうになりますが、突入した火牙により、一命を取りとめます。その3は、火牙の部屋に
盗聴器を仕掛けた人形マニアの電気工にマキがさらわれるという話です。危うく、包丁でバラバラにされそうになりますが、
火牙が助けに入った後、人形マニアは床に落ちた人形に足を滑らせ、マネキンのような人形が落ちてきて、自分に包丁が刺さり、
自滅してしまいます。その4は、死人か瀕死の人間に乗り移れる凶悪な死神が起こした連続殺人事件を止めるという話です。
しかも、火牙とマキのコンビは、死神を追い詰めますが、追い詰められた死神は、新しい体に乗り移ろうとしますが、
マキが先に乗り移られる前に乗り移るという機転を聞かせ、死神を倒すための銃を拾った火牙が、死神に止めを刺して、
事件を解決させました。この話で印象に残る人物として、死者の門の受付をしている「マイク・ピンキー2世」です。
その4では、「私はこの仕事をうまくやらないとクビになってしまうんですよ。あ〜上司になんて報告したらいいんだ!!」と
嘆いたりもしています。このストーリーでは、火牙はビシッと決めているつもりでも、人形のマキをいつも連れているために、
仲間から変な目で見られたりもします。そのため、オチが笑える回も多いです。「ギャップを楽しむ」という意味でも注目のエピソードです。
ミザリィのひとこと→「このシリーズはきっと、作者の光原もお気に入りね」

「睡魔」
不眠症の少女・鈴香は、ある朝、誤ってコンタクトレンズを洗面台に流してしまいました。ミザリィのいる眼鏡店で
コンタクトレンズを買おうとしますが、ミザリィに「新製品のモニターを募集している」と言われ、鈴香は新しいコンタクトレンズを
手に入れました。そのコンタクトレンズは、「睡魔」という名前の悪魔が実際に形として見えるアイテムだったのです。
鈴香はミザリィにその「睡魔」について聞いたら、「ある身近なところにある『成分』に弱い」と言われました。ゴールデンウィークに、
鈴香はバスで家族旅行へ行きました。バスの中で「睡魔」が出現し、運転手の肩にとりつきました。さらに、もう一匹出現し、
今度は鈴香にとりつきました。運転手が眠ったせいで、バスが揺れます。鈴香は、目の前に転がってきた缶コーヒーを見て、
「睡魔」にかけることを試みて、見事成功しました。運転手にとりついている「睡魔」にもかけて、乗客は一命を取りとめました。
その後、鈴香は睡魔を意のままに操れるようになり、不眠症が治ってしまいました。この話の面白いところは、形として見える
「睡魔」という名前の悪魔です。このアイデアは、とっても素晴らしいです。 それに、睡魔を手なづけてしまうなんて、
かなりうらやましいです。私の場合は、13〜14時あたりに「睡魔」が背中にとりついているのかもしれないです(笑)もしや、
「Sa・Ga3 時空の覇者」での「コーヒー」の使い方は、目に見える睡魔(魔法等で眠らされたら出てくる?)にかけるのかもしれないです。
ミザリィのひとこと→「このページの管理人のスラムさんは、あのコンタクトレンズが欲しそうね」

「ブレード・カイザー」 前編・後編
前編は、「ブレード・カイザー」という名のヒーローに憧れて、怪人が大嫌いな少年・悠太が、スタントマンをやっている父親から
「ヒーロー役をやることになった」と聞かされて大喜びでしたが、2週間後、ブレード・カイザー役が他の役者にとられ、
父親は怪人役で出演することになりました。悠太はそれに落胆しました。悠太は、ミザリィのいるおもちゃ屋へ行き、
ヒーローに変身できるブレスレットを貰いました。ミザリィに廃ビルに連れられ、変身した悠太はミザリィにビルの屋上から
落とされましたが、まったく異常が無かったです。つまり、そのブレスレットは、使うとヒーローと同じ力が得られるアイテムだったのです。
後編は、悠太がヒーローに変身して、不良高校生2人組を撃退しますが、その高校生は大怪我を負い、ヒーローは一転して
「通り魔」になってしまいました。悠太がヒーローに変身して、廃ビルで壁を壊して遊んでいたら、市民の通報によって、
警察に包囲されてしまいました。さらに、ブレスレットに壊した壁の破片が当たり、変身が解けなくなってしまいました。
ミザリィの店へ逃げようとし、通り道でミザリィに会い、ブレスレットを外してもらい、元の姿に戻ることができました。
これで、ヒーローの姿をした「通り魔」は姿を消しました。さらに、大怪我を負った高校生は一命を取りとめました。最後の方にある
ミザリィの台詞の「ヒーローはいくら強くてかっこ良くても、それに釣り合う悪役がいないと弱い者苛めになるわ。
強くて悪い悪役がいてこそ、ヒーローも輝くものよ」が忘れられません。「悪役の良さはここにあり」という感じのものです。
あと、破れたヒーロー役の俳優とスタントマンの父親が一緒に写っている写真をつなぎ合わせたシーンも良いです。
後編の扉絵は、ミザリィは悪役風の恰好(悪の組織の幹部クラスっぽいです)をしています。前編の扉絵で、
こたつでくつろいでいる姿とは大違いです。なんだかコスプレ好きの姉ちゃんのよう・・・いえ、何でもないです(笑)
ミザリィのひとこと→「スラムさん、あなたねぇ…でも、あの子にとっては良い教訓になったわ」

「マジック・ドール」 〜過去からの復讐〜 前・中・後編
人の魂が乗り移った人形のマキと共に行動する刑事の火牙は、ある女性に車をぶつけられました。その女性・川田範子は、
なんと火牙の昔の5年前に死んだ恋人・由美にそっくりな女性でした。火牙は範子を食事に誘い、火牙の部屋にも誘いました。
火牙が出かけているときに、なんと、範子は火牙がかつて逮捕した男・荒川に電話をしていました。範子は、荒川の作戦により、
由美そっくりに整形して火牙に近づいていたのです。火牙は、由美が生きるか死ぬかの手術をしている日に、現金輸送車を襲った
犯人である荒川を捜査していました。次の日に、仕事のことを話せば許してくれるだろうと、由美の入院する病院へと向かったのですが、
ここで由美が死んだことを知らされました・・・火牙には、こんな悲しい過去があったのです。火牙は次の日に、範子から電話があり、
範子がいる部屋へ向かいました。そこには、包丁で刺された範子の姿がありました。しかも、その包丁は、範子が火牙の部屋から
盗んできた包丁で、火牙の部屋には範子の指紋がついています。執念深い荒川による「5年前の復讐」にはまってしまったのです。
火牙は犯人として逮捕されますが、その間に、マキはマイク・ピンキー2世(死者の門の人)を呼び、死ぬ間際の範子に
マキの魂を乗り移させました。証言されることを恐れた荒川は、病室にいる範子を殺そうとしますが、間一髪で火牙が止めます。
マキの魂が乗り移った範子が証言したことにより、火牙は釈放されました。そして、火牙は、荒川を捕らえることに成功しました。
火牙は、病室で亡くなった恋人・由美の魂と出会いました。火牙はそこで、由美と別れの挨拶をしました。
長年つかえていたものがとれた火牙・・・実は、まだ乗り移っていたマキが由美のふりをしていたのです。
ちなみに、この話の中編と後編は、ミザリィの出番がなかったです。どこかで怒っていなければいいのですが・・・(笑)
ミザリィのひとこと→「このシリーズの話が深まると、私が忘れ去られているみたいだわ(怒)」

「老化」
老人を苛めている若者・武がある夜、占い師の老婆に暴行を加え、金を奪います。老婆は立ち上がり、武に呪いをかけました。
次の日の朝、武は老人になってしまいました。占い師を探す途中の道で、髪が抜けたり、体力が低下したり、歯がとれたりと、
彼の体は老化が進んできます。若者にカツアゲに遭い、彼は「老人というだけでこんな目に遭うなんて…
俺はこんなことをしていたのか」と悔やみます。武は偶然、ミザリィの店に立ち寄り、「夕暮れから商売をする占い師がいる」という話を
聞きつけます。しかし、夜になっても占い師は見つかりません。パトロール中の警官の話の寄ると、「あの婆さんは死んだ…
誰かに暴行を受け、打ち所が悪かったのだろう」という話を聞き、武はショックを受けます。その後、武は老人養護施設にひきとられます。
ラストの方の「俺は20歳なんだよ…信じてくれ…」という武の台詞は、痛々しいです。まさに、「報い」が襲い掛かったかのような話です。
ミザリィのひとこと→「彼は本当に弱い者の立場になった時、自分の愚かさが分かったみたいね」

「魔人の手」
死んだ父親から古書店を受け継いだ青年の高崎はある日、友人の加藤が来店し、久々の再会をします。加藤は「魔人の手」という
アイテムを買って欲しいと持ちかけます。それは、3つの願いを叶えるが、その代わりに災いを起こします。
魔人の手を買って欲しい理由は、加藤がこれによって、不幸が続いたからです。高崎は20万円を出して、魔人の手を買いました。
高崎は「不幸を招かないような願い事をすればいい」と思い、2つ目の願い事(1つ目は、試すためにささやかな願い事)に
「未来に希望がありますように」と願い、最後の願い事として 「魔人の手が永久に消えてなくなるように」と願いました。
その瞬間、魔人の手は炎と共に消え去りました。これで、人を狂わせる物は完全に消えました。災いをもたらす物を有益に
使うところが凄いです。この話の主人公は「現状に満足している欲のない男」ですが、この性格が彼に幸福をもたらしたのです。
この話でのツッコミポイントを2つ!まずは、加藤が「骨董屋の女主人は・・・」と話しましたが、
それはチャイナドレスを着たミザリィでした(笑)貴女はどこにでもいるのですね・・・
しかも、似合っていますし・・・(オイオイ)次は、ラストシーンでのミザリィの台詞の「(魔人の手で)背中をかくのに
使ってもいいでしょう」とありますが、これで背中をかくと、背中に傷がつきそうな予感です。
ミザリィのひとこと→「スラムさん、またですか?(苦笑)あの古書店の主人のような人が見直されるべきね」

「パンチング・マシーン」
久々のこのコーナーの更新は、この話から・・・カツアゲした金でミザリィのゲームセンターで遊んでいる不良が、
ミザリィから「良い仕事があるけど、うちの店でバイト(時給1万円)してみない」と言われ、それを引き受けることにしました。
その立っているだけでいいアルバイトの内容は、なんと・・・パンチング・マシーンの中に入り、客に殴られ続けるというものでした。
しかも、殴られてダメージを受けても、リセットボタンで元に戻ります。最後には、ミザリィの呼んだ「招待客」こと、
今までカツアゲをされた人々が、不良が中に入ったパンチング・マシーンで遊んでいきました。まさに、悪事が自分に
跳ね返ってきたという感じです。この作品では、この話のように、ゲームセンターを舞台にした話がいくつかあります。
ミザリィのひとこと→「これも、弱者になって自分の愚かさに気づいたパターンね。私のゲームセンターに遊びに来てみない?」

「ゲームの達人」
この話もゲームセンターを舞台にした話です。ゲーセンの店長姿のミザリィもなかなか良いものです・・・
さて、本題に入りましょうか!(←オイオイ) 勉強もスポーツもからっきしだが、ゲームの腕は凄い明雄は、
手応えのあるゲームを探していました。ミザリィから「ゾーン・ファイター」というゲームを教えられ、実際にプレイしてみると、
それは手応えのあるゲームでありました。やっていくうちに、新しいゲームに慣れ、ついにラストステージまで辿りつきました。
ラストステージをクリアして、明雄はあることに気がつきました。それは、ラストステージの敵キャラの正体が、行方不明になった
TVゲームの達人だということです。ゲームを全てクリアした後、明雄はゲームの中に吸い込まれました。彼は「一生ゲームばかり
やって暮らせたら、どれだけ幸せだろう」と言っていましたが、このオチは衝撃的です。昔、「みんなのうた」であった
「メトロポリタン美術館」の最後の方の絵に吸い込まれるシーンを思い出します。この話のラストは、明雄にとって幸せなのか、
それとも不幸せなのかは、皆さんの想像次第です。私だったら、絶対に吸い込まれたくないです(笑)
ミザリィのひとこと→「あのゲームは強い人を求めているわ」

「真夜中の教室」
定年間近の古文を教える教師の松永は、校長からお叱りを受けていました。最終電車を乗り過ごした松永先生は、
家まで歩いて帰ることにしました。帰り道の途中で、見知らぬ学校を見つけました。夜更けの学校だというのに、生徒がいました・・・
その生徒達は、アウターゾーンの住人達だったのです。生徒達は「先生になって欲しい」と頼みます。その後、松永先生の表情が
今までと違って生き生きとしてきました。校長は、松永先生の理解者である榊原先生に「松永先生の帰りが遅いので、
どうしているか知らないか?」と聞いてきました。榊原先生は、あらぬ疑いをかけられたくないので、不本意ながら、
松永先生の後をつけてきました。松永先生が向かった先はボロボロになった廃校で、松永先生は自縛霊たちに授業を教えていました。
榊原先生が松永先生の事実を知った夜以来、松永先生は二度と姿を現しませんでした。後日に榊原先生は校長と警官と一緒に、
松永先生が消えた 廃校を訪ねました。警官の話によると、その廃校は「20年ぐらい前に火事で焼けて
大勢の生徒が亡くなった」ということが分かり、廊下に貼ってあった集合写真を見てみると、そこには消えたはずの
松長先生が写っていました。松永先生は「生死」も「時間」も超越した空間へ消えていったのでしょうか・・・。
ミザリィのひとこと→「どこか味のある話ね。幸せそうね、あの先生…」

「禁書」
私が特に気になる未来を予言したかのような話です。通常版単行本の第12巻にこの話がありますので、ご興味がある方は、
古本屋で探してみてください。話の舞台は「漫画が抹殺された世界」です。漫画だけでなく、格闘技番組、テレビアニメ、
ゲームセンター、ロック音楽などというものが抹殺されています。少年の琢磨は、隣の家に住む西崎という紳士の家に
よく遊びに行っていました。西崎は、漫画を大量に隠してある隠し地下室を持っていて、琢磨に見せていました。
琢磨は家族には「イラストを習っている」と嘘をついていました。ある日、琢磨は西崎に「漫画を貸して欲しい」と頼みました。
しかし、西崎は断りました。琢磨は諦めきれず、こっそりと漫画を一冊持ち出しました。数日後、その漫画は琢磨の部屋を
掃除していた母親にみつかりました。そして、母は通報し、西崎は逮捕されて、裁判にかけられました。裁判は有罪となり、
漫画は焼却処分されてしまい、西崎は2年後に獄中自殺しました。その後、琢磨は成長して大人になり、かつて西崎がしていた事と
同じ事・・・こっそりと近所の子供に漫画を見せていました。最後のミザリィの言葉が印象的です。掲示板などであの法案を語る
議題のときに、この話のことがよく出されます。未来はこんな世界のようになるのかと危惧されています。私は凄く嫌ですが・・・。
ミザリィのひとこと→「本物の『良識』とは何かを考えさせられる先見の明がある話です」


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