装飾衣裳変幻遊戯

「人間台風」への道

- 第三章「微速前進」 -



 時に西暦1999年初春。衝撃の覚醒から月日は瞬く間に流れたものの、何一つ
具体的な事が定まらぬまま。

 と言うのも、ここ数年の間、春先、特に3月から5月は仕事で地方出張が多かったりで、
なかなか時間が取れない。さらに、年に一回八丈島で行われる釣りのオープントーナメント
参加が、財政的にも負担になっている。

 そんなこんなで、あっという間にもう6月(^^;
とにかく「初陣」の日を決めようということで、いろいろと考えてみたが、















コスプレできるイベントって、
コミケしか知らない・・・(爆)


つーことで、今からじゃどう考えても夏には間に合わんので、“冬混み”に決定する。

 これでもう後ずさりは出来ない。言い逃れも出来ない。自らに課した使命を全うし、
皆の声援に答える為に・・・。(相変わらず大袈裟)

で、改めて何から手を着けようかということで、
















コスプレだけにやっぱ衣装でしょ!(当たり前じゃ)




ってことで、発注できる所を考えてみるが、こういう世界にはめっぽう疎いので、
知り合いの漫画家センセーにメールを叩き付けてみる。

 返事が帰ってきて、どうやらセンセーの知り合いにその手の衣装をオーダーで作って
くれる人がいるとの事。
 しかも、センセー、私がヴァッシュをコスることに偉く興奮ぎみ(笑)










「どんなことがあろうとも必ずやるように」
という、
"念書"を条件に、
その方を紹介してくださった・・・。
鬼ぃ〜〜っ、悪魔ぁ〜〜〜っっ!! (嘘)


 「とりあえず、話はしておいたよ〜」とのことで、早速電話を入れてみた。

 まず衣装を作るにあたって、全身正面、側面、背面など資料になるカットと、
色や素材感など本人の希望をまとめた仕様書みたいなものを作成して送る。
 それを見た上で、材料費と工賃の概算を出してくれるので、そこで金銭交渉となる。

 ざっと見積もって諸々で約10万円。正直、相場がどんなもんかは判らないが、
完全オーダーメイドの合皮ロングコートが10万円なら、普通に考えても安いと思った。
とにかく、お友達価格を摘要してくれて感謝なのだった。m(__)m
けど、やっぱ10万円は大きいが・・・(笑)

 後日、某服飾材料店にて生地などの買い出し。その後、採寸の為工房にお邪魔する。




職人様「で、いつまでに必要ですか?
    夏コミだとちょっと厳しいかも」

わたし「あ、冬までにあればいいんで、
    ゆっくりやっちゃって下さい(^^)」


 っつうことで、発注完了!これで大きく前進ぢゃぁ〜〜。




 しかし、問題もいくつかあった。

 Vashの特徴である「腕のパーツ」だが、どうやら専門外らしい。
 見た目でもかなり複雑なものだが、これをまた作ってくれる人を探すのはかなり困難と判断。
覚悟を決めて自作する事にした。

 「作れんのかなぁ?」と思いつつも、工作は好きな方なので、手芸店にて材料になる
黒い合皮と裾上げテープなどを買い込む。









そう、







ハナから「縫う」という発想を
持っていない所が素人の強み(笑)


ま、元々ミシンを持ってないってこともあったけど。(笑)


 まずは、メインのパーツである、合皮のベルト作りから。

 合皮に40ミリ幅の線を色鉛筆で引いていく。
あ、因に今ですらチャコペン持ってるが、当初はそんなもん無いので、あるもので代用。
 これを100円ショップで買った万能鋏でジョキジョキと裁断。
 思っていた以上に真直ぐ切るのが難しく、結構ヨレヨレになったしまったが、
折り返した方側はあんまり目立たんから無視する。(^^;

 次に、帯状の合皮を裏返して、真ん中に裾上げテープをアイロンで圧着。
貼り終わったら、保護紙を剥がして、合皮の両端を折り返して、少しずつ裾上げテープに
圧着していく。
そんなこんなで、数日掛かりで20ミリ幅の合皮ベルトが30本ほど完成。(疲)


 次は、ベルトの金属パーツだが、当時行っていた手芸用品店には金属製のバックルで
安いものが置いて無かったので、色々と考えた末、プラスチック製のもの(良くディパック
とかに使っているヤツ)を塗装して使う事にする。
 ベルトの折り返し部分の接合には「ハトメ」を使用。で、何とか腕のパーツ完成〜Y(^o^)Y


 記念すべきコスプレ用パーツ第一号。

 夜中に左腕に装着して、鏡を見ながらニヤニヤ(笑)










「いやこれ、マジかっちょえ〜っ!」とか
いぃ〜んじゃない?い〜んじゃない!?!」
などと、独りブツブツ(笑)


例えパーツとは言え、まったくゼロの状態から前進した事で、俄然士気は高まる。

チェックリストに赤線を一本引いて、「さ〜てお次は、何いこーかなー?」と、
気分は既に余裕モード。この調子で、頑張っちゃってみよう!



<次回は、第四章「捜索」です。お楽しみに。>


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