牡丹玉変種パゾティアヌム
ドイツ輸入種子の実生苗。
山名利三郎氏栽培。径8cm。
牡丹玉変種パゾティアヌム Gym. friedrichii
var. pazoutianum Moser et Valnicek
一見したところ牡丹玉系ではない様な感じであるが、瑞雲丸系の純系分離を25年間にわたって続けて来たPazout氏によって、遺伝的に純粋な変種の1つとしてGym.
mih. var. piraretaenseが発表され、我国にも既に種子が入り、実生苗はもう親木となっている。このpiraretaenseピラレタエンセ(和名円舞曲)が最初の採集地ピラレッタよりも何百粁も離れたパラグアイ北西の国境近くで発見されたために、地名によって付けられた学名が不適当であるとして、今回学名変更が行われ、表記の様にバゾート氏の名にちなんでGym.
pazoutianumと命名された。
比較的仔吹きの良い品種で、あまり大球とはならない。肌は粗く、ややざらざらした感じで、暗緑色、光線が強すぎると赤く焼ける。牡丹玉の様な横縞模様はあまりはっきりしないが、わずかにそのふくらみが見られる。稜は8〜10稜で、斧状にくびれており、刺座の部分が特に突出した様に見える。刺は5〜8本で中刺1本、縁刺は横に広がり、少し穹曲してそり返る。新刺は黄色乃至褐色、古くなると灰褐色となる。花は牡丹玉より少し大きく、色は白色から桃色までかなり巾がある。
参考
G.Frank:シャボテン,51,22 (1964) (シャボテン社編集部訳)
Backeberg;Das Kaktuslexikon,p170 (1966)
G.Moser et J.Valnicek:KAKTUSY67 Nr.5〜6.58 (1967)
牡丹玉変種 フライシェリアヌム Gym.
friedrichii var. freischerianum Paz.
偏球形で明るい緑色の肌に暗色の斑点があり、径10cm位になるといわれる。稜は比較的するどく、一見すると翆晃冠の様な感じであるが、刺座の出張り方はごく少く、切れ込みもわずかである。稜数約12、刺は黄色で4〜6本。花は白色、径8cmで全開しない。産地はパラグアイのChaco
Borealと記されている。
参考
Backeberg;Das Kaktuslexikon,p170 (1966)
G. Frank:シャボテン,51,23 (1964) (シャボテン社編集部訳)
牡丹玉変種メロカクティフォルメ Gym.
friedrichii var. melocactiforme Paz.
非常にメロカクタスに似ていて、花が咲かないとメロの幼苗、特に叢雲と見間違うのではないかと思われる。肌色は淡緑で、時により赤味を帯びる。径10cm位になるという。稜数は8〜12稜で稜線はするどく、刺座のすぐ上に少し切れ込みがある。本種は瑞雲丸系独得の横縞模様がない。刺は黄色で約2cm、3〜5本が開張している。花は淡桃色で、花弁が細い。何回か種子が輸入されたので、標本球がそろそろ見られるのではないだろうか。
参考
G.Frank:シャボテン 51, 24 (1964)
Backeberg;Das Kaktuslexikon,p170 (1966)
牡丹玉変種アングスト・ストリアツム
Gym. friedrichii var. angustostriatum Paz.
牡丹玉に近い変種であるが、横縞模様が非常に密で、約2〜3cmの間かくである。稜は牡丹玉よりももっと薄く、わずかに波うっている。刺は1本で非常にとれやすく、生長点の近くでは綿毛の申から顔を出しているが、古い部分には綿毛も刺もない。花は淡桃色で牡丹玉に近い。稜数約12。7,8年前に一度種子が入ったが、まだ標本球としては日本には殆んどないと思われる。
参考
G.Frank:シャボテン 51, 23 (1964)
Backeberg;Das Kaktuslexikon,p170 (1966)