牡丹玉
内地実生苗。径9cm。
山名利三郎氏栽培.横縞の細いタイプ
牡丹玉
内地実生苗。径9cm。
庵田知宏氏栽培.横縞の広いタイプ
牡丹玉 Gym. friedrichii Paz. 1964
緋牡丹や緋牡丹錦の原種としてよく知られている牡丹玉も昔は牡丹色の花の咲く瑞雲丸ということから牡丹瑞雲と呼ばれていた。学名も瑞雲丸の変種
Gym. mihanovichii var. friedrichiiとして古くから親しまれていたが、最近チェコのPazoutによりGym.
friedrichiiと改められたものである。1)
いくつかの変種が記載されている様に、牡丹玉と言われているものも、よく観察すれば色々な顔を持っている。非常に稜の薄いものから、瑞雲丸に近い丸味のある稜のものまで、又縞模様の巾の広いものから、Gym.
friedrichii var. angstostiratum の様な巾の狭いもの、花色の白に近いものから濃い桃色まで、かなり巾の広い変異を示している。これは牡丹玉というものの本来の姿ではないだろうが、日本においては宿命的な先祖を背負わされたためといわざるをえない。即ち緋牡丹及び緋牡丹錦が作出されたことに刺激されて、斑物を作ることを目的とした交配がくり返されたことにある。原因はともかく現状においては色々なタイプがあるけれど大体次の様な特徴を持つものは牡丹玉であると規定したい。
通常8稜で、大球になると増稜することもある。稜は比較的薄く、頂点近くでは鋭角であるが、老球になって長球形になってくると腹の方は円筒状を呈する。刺は1〜3〜5本で0.5〜1cm、ヒゲの様に弱く、次第に脱落する。花は淡桃色、花弁は尖っている。肌は玉虫の如く艶があり、横縞模様は比較的はっきりとしている。
(註)1,F. Pazout;Friciana Rada 4 : 23, 3〜19 (1964)