61 黒菱丸 Gym. curvispinum

勳装玉と紅蛇丸の中間といった感じで、勳装玉よりも肌色が薄く、灰色を帯びた濃緑色。
刺も黒味があり、上方へ向かってのびる。実生苗は紅蛇丸に似ているが、次第に特徴のある肌と刺を示してくる。
Backeberg は勳装玉の異学名であるとしているが、ウィンター商会から入った輸入種子の実生は独特の趣がある。


62 武勲丸 Gym. ochoterenai

偏円球で、頂点は平らである。暗緑色でやや褐色がかる。稜数約16,コブ状を呈するが、下の方へ廻るにつれて次第にコブが判らなくなる。アレオレの上には深い切れ込みがある。
刺は3〜5本、長さ1〜2cmで、横と下にカーブする。刺色は黄白色で、先端は暗色がかる。
花は白色で花底は薄いピンク色、花首は短い。
Backeberg が Kaktus ABC 及び Die Cactaceae に載せた写真と同じような球は殆どなく、それに類似したものに武勲丸の名前がつけられて売られた。中には triacanthum 又は stellatum と考えられるようなものもあったので混乱しているものと思う。1965年に武勲丸の変種2種が輸入された。
Gym. ochoterenai var. varispinum
var. tenuispinum
これらは先に Gym. sp. (Hig.), sp.v(Ser.)として入ったものと類似していて、対照されるのではないかと思う。
これについては更に検討を加えたい。

cf. Borg;Cacti,p300,(1951)
Backeberg;Die Cactaceae ,V,1728,(1959)
Backeberg;Kaktus ABC ,p293,(1935)
伊藤芳夫;サボテン図説,p192,(1957)


62 武勲丸
Gymnocalycium ochoterenai
写真の球の栽培者 札幌市 土門 誠 氏 径  cm


63 夕勳丸 Gym. leeanum

稚竜玉によく似ているが、より刺が太く、縁刺6〜7本、長さ1〜1.2cm、中刺が出る。
花は大輪、黄色、外弁は緑色がかっている。

cf. 伊藤芳夫;シャボテン,No,68,204,(昭和15年11月号)
Br. & R.;The Cactaceae,V,154,(1922)
Backeberg;Die Cactaceae ,V,1735,(1959)
伊藤芳夫;サボテン図説,p192,(1957)


64 碧巌玉 Gym. hybopleurum

我が国で古くから碧巌玉と言われていたものは伊丹勝吉氏がサボテン12ヶ月に写真を載せられた碧巌玉白刺変種が一つのタイプであり、ドイツのハンブルグ植物園にもこれと同じタイプのものが植えられていて、hybopreurum の札がつけられていることが根岸氏により報告されている。
この他に一昨年(1964年)輸入された原産地球で、日本で五大州と言っているものに良く似たものがある。
これは刺が7〜9本で五大州よりも肌から少し浮いていて、Backeberg の記載したものと大体同一であると考えられる。
この実在する2つの碧巌玉について、今後更に検討が加えられなければらない。

cf. 伊丹勝吉;サボテン12ヶ月,p69,(1962)
根岸 栄;サボテン日本,46,3,(1965)
Backeberg;Die Cactaceae ,V,1750,(1959)


64a Gym. hybopleurum var. ferosior (強刺碧巌玉)

本種は独立して1種としても良いほど特徴のある品種である。刺は縁刺7本、中刺1本で非常に太く、頑丈で、
白い粉をふいた様な淡褐色をしている。一昨年初めて輸入された。


65 凄装玉 Gym. nigriareolatum var. densispinum

原種の勳装玉は比較的刺がまばらで、あまり見栄えのしないものであるが、本種はその多刺変種。
現在日本には標本球は殆どないと思われる。輸入原産地球の中に本種に近い勳装玉もあった。

cf. Backeberg;Die Cactaceae ,V,1759,(1959)
伊藤芳夫;サボテン図説,p188,(1957)


66 華武者 Gym. weissianum

現在日本で華武者と呼ばれているものは、比較的タイプのはっきりしないものが多い。
原産地球で華武者として売られたものはタイプの巾が広く、刺の数も3本のものから7〜9本のものまで含まれていた。
体色は紫がかった灰緑色で、低い丸みのある稜に黒っぽい刺をつける。

cf. Backeberg;Die Cactaceae ,V,1763,(1959)
伊藤芳夫;サボテン図説,p184,(1957)


67 宝卵玉 Gym. megalothelos

Br.& R. は一見翠晃冠に近いような形の写真と挿し絵をのせ、花はピンクがかった白であると記しているが、伊藤氏は海王丸に似た図をのせ、刺が一様に体に密着し、下方に向かって湾曲しており、花は蛇竜丸と同じであるとしている。
ウィンター商会の種子の実生苗は後者の方であった。
又、Osker Smrz はやはり海王丸に近い植物の写真を載せている。海王丸と異なる点は刺の数が多く、7〜10本であることと、アレオレの綿毛が至って少なく、従ってコブの割れ目から刺が両側に開いて出ているように見えることである。

cf. Br. & R.;The Cactaceae,V,162,(1922)
伊藤芳夫;サボテン図説,p170,(1957)
Backeberg;Die Cactaceae ,V,1770,(1959)
Osker Smrz;Kniha O Kaktusech A Jinych Sukulentech


68 新世界 Brachycalycium tilcarense

Backeberg によって Gymnocalycium 属から分けられたものであるが、最初 Gym. saglione var. tilcarense として
紹介された。新天地によく似ているが、アレオレの綿毛が刺の出ている部分よりかなり上までのびていることと、
花が非常に小さい等特徴があって新属に編入されているようである。
カクタス研究 No,53 (1966)に大球の写真が紹介されている。

cf. Backeberg;Die Cactaceae ,V,1786,(1959)