56 ゲラルディ Gym. gerardii

サボテン日本、42号で蝸牛丸という名前で解説したが、蝸牛角というのが正しいようである。
是正しておく。命名者、竜胆寺雄氏。
かつて九紋竜の変種として扱われたように、九紋竜によく似ているが、より扁平に育ち、刺も肌よりはなれてそり返って伸びる。

 cf. 山名利三郎;サボテン日本,42,17,(1965)


57 アルビプルパ Gym. pflanzii var. albipurpa

天賜玉の変種であるが、原種よりも優美で、又特徴のある品種である。
体型は天賜玉よりも疣が小さく、丸味を持ち、コブの間の横溝はわずかに三日月型に切れ込んでいる。
刺は黄白色で先端褐色を呈する。紫がかった肌色が日光を強くすると紫色が強くなる。花は原種と大体同じであるが、花底の紫紅色があざやかで美しい。

 cf. 山名利三郎;サボテン,No,74,(1965)


註)現在では「天紫丸」或いは「尾形丸」としてよく普及している。(仙太郎)


58 ハマツム Gym. hamatum

波光竜と大体同形であるが、刺が黄褐色で先端がカギ状を呈する。波光竜系の中では特徴があって面白い。
花は側生、白色であまり大きくない。

 cf. シャボテン,40,裏表紙(1962)


59 チキテンセ Gym. chiquitense

新しく紹介された品種で、蛇竜丸系のもの。丸々とした稜はつやつやとしていて、瑞々しい。
刺は黄色から褐色で5本、比較的長く、2〜3cmの針状である。花は白色。
異学名 Gym. hammarschmiditii 、これに対して竜胆寺氏が「良寛」という和名を与えている。

 cf. 竜胆寺雄;カクタス研究,46,3,(1965)


追加資料

チキテンセ(良寛)
Gymnocalycium chiquitense
写真の球の栽培者 西宮市 團上 和孝 氏 径約10cm


60 守殿玉 Gym. stellatum

鳳頭の学名は現在 Gym. asterium であるが、以前は Gym. stellatum であった。
伊藤が stellatum から asterium に変更し、Backeberg もこれを採用して Gym. asterium だけを記載している。しかし日本では鳳頭とは明らかに別の形態の一群が存在する。
1961年の輸入原産地球の中に、多くの個体差を持つ一連の快竜丸などに混じって、1つのタイプの異なったものがあり、これが stellatum として分けられた。稜は快竜丸系のものとしては比較的高く、小さなコブ状に分かれ、灰緑色の肌に灰褐色の3本の刺が丁字型に出る。刺は短く、頑丈である。
快竜丸、武勲丸に比べて日焼けしやすい。

 cf. 伊藤応久;サボテン,No,69,(1965)
  竜胆寺雄;カクタス研究,49,5,(1965)
  山名利三郎;Cacti,19,4,(1961)


守殿玉の特徴が良く出ていると思われる標本球写真です。
快竜丸よりは少し色が浅めの肌に、こぶが比較的はっきりしており、刺の色が快竜丸の根本が黒いのとは逆に、灰褐色の刺の先端が濃くなります。
又、快竜丸よりは刺が肌より浮きます。

守殿玉
Gymnocalycium stellatum
写真の球の栽培者 更埴市 柿崎 碩 氏 径約10cm