42 ホリデスピヌム
Gymnocalycium horridispinum
写真の球の栽培者 東京都 羽鳥 鎮男 氏 径約13cm 原産地球
本種は新しく紹介された品種で、今までに出た文献、解説書には記載が見当たらない。3年程前、種子でまず輸入され、昨年親木がいくつか輸入された。一見ホリドカクタスのような風貌をしているので、花が咲かないとギムノとは思えない様な植物である。以下、羽鳥氏の観察記録を記す(山名註)
体形は球状から成球になるにつれて次第に長球形となる。体色は濃緑色で光沢があり、稚竜玉A型の体肌に似ている。
大きさは1964年の輸入球では10〜13cm位のものであった。稜数は上記の球で13稜位で比較的真直で、球体の下部に至るまで通っている。刺座はやや上下に長く、楕円形で、綿毛を生じ、刺座の下はアゴ状に突出している。
刺は新刺は黄褐色で、古くなるに従い黒味を増し、白粉を帯びる。学名の示すように太い針状の丸刺で、成球では縁刺は約2cm、13本位で下に廻るにつれて左右上下に開いている。中刺は4本で、約2.5cmで、初めは真っ直ぐに外側に向かって十文字に突出するが、次第に先端が上方にゆるくカーブするようである。
花は花筒が短く、花径約8cmで優美なピンク(濃い桃色花)の大輪重弁花。ギムノの中でも最美花といえよう。
花弁の先端はやや尖る。雄蕊、雌蕊、柱頭、花粉ともに白色で、花弁の色が映えてややピンクがかって見える。
果実は球形で種子は黒色で無光沢。比較的小さく、1果に4〜500粒。
私の観察は僅か2球であったが、1本は雄蕊は正常で花粉も沢山あったが、雌蕊は退化して柱頭は充分に開かずじまいである。
他の1本は雄蕊が退化して、花粉は殆ど認められない。代わりに雌蕊は尋常に発育していた。両者共交配したが、結局結実したのは雌蕊の正常であった後者の球であった。(羽鳥鎮雄)
尚、本種に「恐竜丸」という和名が提唱されている。命名者、羽鳥鎮雄氏。