39 魔天竜
Gymnocalycium mazenense Backbg.
写真の球の栽培者 大阪市 山名利三郎 氏 径約12cm 原産地球


通常単幹で球形、径15cm位までで特に大きいものでも20cmに達するのは希である。
肌色は灰色を帯びた暗緑色であるが、かなり変化があり、青緑色のものもある。頂点は少し凹んでいる。
稜は10〜12で低く、丸みを持ち、わずかにコブ状がかっていて、コブの下に横溝がある。アレオレは大きく、ダエン形で綿毛は初め白く、次第にうす茶色に汚れてくる。
刺は縁刺7〜9本、中刺1本、針状で強靱である。長さは2〜3cm、中刺はそれより少し長く、上向きにそり返る。
刺の色は最初赤みを帯びた褐色であるが、次第に粉を吹いたような灰褐色となるが、水をかけるとうすい褐色を呈する。
Backeberg1) は黄褐色〜ローズ色で灰色になると記している。
花は比較的小さい方で、3〜4cm、くすんだ桃色でより濃色の中筋があり、外弁の外側は少し緑色を帯びた中筋があり、花弁の色にぼかされている。花底は桃色が濃く、花弁はさじ状で先端で少しとがっている。
花首は短い。
北アルゼンチン、Catamarca 州と La Rioja 州の境界付近、Mazan の近くで採集されたので mazanense という学名がつけられた。
Backeberg1) は多くの植物を見た結果、非常に変化があると記しており、彼は var. breviflorum (花の小さいの意)を写真と共に載せている。Backeberg の載せた写真は比較的刺の太いタイプの魔天竜のタイプであり、津田2)の記載した時の写真3)とは少し違っているように見える。日本で魔天竜として作られて来た標本は津田2)の記載したもの(伊藤4)の解説しているものと同じと解する。)を標準にしているし、この解説に使った標本もそれと同一の部類に入るものであるが、古くから残っているものは至って少なく、又5年前に入荷した輸入球の中にもこのタイプは極わずかであった。その時にいくつか魔天竜として売られたものは、刺数の少ないもので、どちらかと言えば華武者又は前期 var. breviflorum に近いものであった。
和名命名は津田宗直氏。


参考文献
1) Backeberg;Die Cactaceae ,V,1765,(1959)
2) 津田宗直;シャボテン ,22,111,(仙人掌栽培法21)(昭和11年)
3)     ;      ,22,105,(昭和11年9月号)
4) 伊藤芳夫;サボテン図鑑,p183,(1957)
5) J.Borg ;Cacti,p302,(1951)


刺が少し上方に向かって湾曲して放射し、魔天竜系の特徴を良く再現している標本球として掲載しました。
魔天竜としては刺が太く密生し、どちらかと言えば魔天竜よりは斗鷲玉に近いタイプといえると思います。
鑑賞価値の大変高いタイプと思います。

 魔天竜
Gymnocalycium mazenense Backbg.
写真の球の栽培者 更埴市 柿崎 碩 氏 径約14cm