38 バッテリー
Gymnocalyium vatteri
写真の球の栽培者 堺市 藤田 昭宏 氏 径約7cm 原産地球


偏円状、径15cm位になる。つやのないオリーブグリーンの肌色は陽に焼けると紫褐色を帯びる。
稜は9〜11稜、基部では2.5cm位の巾で、稜の高さは約1cm、アレオレの下で丸い疣にふくれている。
疣とアレオレの間で鋭く切れ込んでいる。アレオレはいくらかへこんでいて、灰色の綿毛がわずかについている。
刺は1本で、時に2〜3本、タイプによっては3本で固定していて、本種の特徴である1本刺にならないものもある。
Backeberg1) の記載した写真はまだ成球に達したばかりなのであろうか、3本刺で所々のアレオレから1本刺が顔を出している。
その上刺は比較的立っているし、下向きの1本も曲がらずに放射している。しかし解説文の中では「最初は非常に立っているが、後には下方に向かって肌に沿って曲がり、殆ど爪のようになる。長さ2cm、基部は濃色で圧縮されている。」と記しており、その説明より見て今年相当量輸入された原産地球は特徴のはっきりしたものであった。
Die Kakteen 誌に掲載された写真を根岸2)が紹介しているが、全部1本刺で下向きに爪のように曲がっていて、我々の目を楽しませてくれた。
花は長さ5cm、径4cm位であまり大きい方ではない。子房は丸く3.5cm、オリーブ色。花弁は丸みを持っているが、先端はとがっており、長さ2cm、巾8mm、白色で花底はわずかに赤みを帯びている。
花柱は黄色、雄しべも黄色。種子は光った明るい茶色のオワン型で竜頭系である。
山地はアルゼンチン、コルドバ州グランデ山脈の中のノノ村の近くで800〜1000mのところと記されている1)。
近年日本に紹介されたギムノのいくつかの品種のうち、特筆に値する銘品は強刺系では光琳玉と曲刺天平丸と斗鷲玉とすれば、根岸2)も言っているように弱刺系ではバッテリーとラゴネシーであろう。


参考文献
1) Backeberg;Die Cactaceae ,V,1724,(1959)
2) 根岸 栄;サボテン No,75 ,(1965年8月号)(日本サボテン協会)


3本刺のバッテリー 栽培者 相馬市 勝間 清次 氏 径約10cm 原産地球


追加資料

バッテリ(1本刺タイプ)
写真の球の栽培者 山形市 つばささん 径約  cm