36 麗蛇丸(れいじゃまる)
Gymnocalycium damsii
写真の球の栽培者 大阪市 山名利三郎
氏 径約6cm
小苗のうちは明るい緑色であるが、次第に暗緑色の肌色となる。
偏円状から球形に育ち、稜数は約10、稜の谷は比較的深く、ねじれないで真直に垂直に通っている。
アレオレの下の疣はオノ状を呈し、鋭い横溝が切れ込んでいる。刺座は約1.5cmほど離れており、いくらか凹んでいて、楕円形で、花の咲いた後は綿毛が少し多く残って、やや丸く見える。
中刺と縁刺の区別ははっきりしないが5〜8本の針状の刺が放射する。刺の長さは1.2cm前後、翠晃冠のように長くならない。
刺の色は白っぽい褐色で、先端はより濃色を呈する。
新刺は褐色で、古くなると灰色になる。
花は頂生で長さ6.5cm、花筒は緑色で細長く、白くふちどられた細長いうろこが重なっている。
蕾の形は先端が丸く、ちょうど翠晃冠と同じ形である。外弁は赤味のかかった緑色でふちどられ、弁の外側にも同じ色の中筋が見られる。内弁は白色で丸弁、部分的に少し尖っている。花糸は2列に並んでついていて、白色、花柱、柱頭も白色である。
葯は灰色がかっていて、これも翠晃冠とよく似ている。Schumannによれば、葯は褐色であると言うが、Backebergは灰色であると観察している1)。
果実は花筒の細長い形そのままで、長さ2.5cm、熟すると赤くなる。
産地はパラグアイ北部2)。
Bergerはこの品種が元々交配種で、それ自身の花粉で汚されることにより果実を作ることが出来ないと記していることが、Schumannによって紹介されているようであるが1)、最近Uhlig商会などから本種の種子が輸入されている。その中にはおそらく中刺のはっきりしているものであろう、セントリスピヌム
G. damsii var. centrispinum というのもあった。
我が国では翠晃冠に非常によく似ているところから、どうも翠晃冠と雑交しているものが多いらしく、はっきりしたタイプ標本が少ない。と同時にこのものが翠晃冠として売られたり、又、上記雑交配種が翠晃冠として売られたと推測されうる。
というのも翠晃冠の刺は割合に長い筈であるのに、一般に見られるものは刺の短いものが多いことや、刺の褐色のものがあることによって,も推測されよう。
和名は「レイダマル」とよく呼ばれるが、登録記載された呼び方は「レイジャマル」となっている。
参考文献
1) Backeberg;Die Cactaceae ,V,1780,(1959)
2) Br. & R.;The Cactaceae,V,163,(1922)