35 黒豹玉
Gymnocalycium kurtzianum
(Gym. mostii var. kurtzianum Backbg.)
写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏 氏 径約12cm


我が国で黒豹玉と言われている植物と、ドイツ又はその他の国々でkurtzianumとされているものとの間にかなりの違いがある。こう言った学名と植物との相違がいくつかの品種に見られるが、本種もその一つである。現存するもののうち最右翼に挙げられる植物は竜胆寺氏の記載した写真1)があるが、一般に黒豹玉として現在我が国で栽培されているタイプについて述べることにする。
体色は灰緑色で強光線下では少し紫色を帯びた濃緑色を呈する。小苗の内は丸々としているが、次第に刺座の下のコブが突出してくる。稜数は18〜20稜になる。刺は小球の頃は5本であるが、大球になると9〜10本、中刺も出てくる。縁刺は体肌から離れて上向きに開帳する。新刺は黒褐色であるが、古くなると紫褐色となり、更に白っぽく粉を吹いたようになる。
花は白色又はベージュがかったうすいピンク色で底紅。
和名の命名者、タニクチエイキ氏2)。
Backeberg3)の記載した写真並びにその解説によると、紅蛇丸の刺をより強くしたもので、学名も紅蛇丸の変種として扱っている。
Br.& R.4)は現植物を見ずにGurkeの記載と写真を参考として、大体Backebergと同じような説明をつけている。
我が国に最初入った頃の写真5)はもっと刺がそり返っていて、紅蛇丸に近いものであったようであるが、後に記載された写真6)は表記タイプと同系のものである。
ウィンター商会より入った種子の実生苗も大体このタイプであった。


参考文献
1) 竜胆寺雄;豪華版シャボテン,p290,(1962)
2) シャボテンの研究,7,13,(昭和7年)
3) Backeberg;Die Cactaceae,V,1761,(1959)
4) Br.& R.;The Cactaceae,V,163,(1922)
5) 光兆園報;p5,(昭和8年5月号)
6) 佐野季雄;シャボテン,55,(vol6,No,8)口絵写真(昭和14年9月号)
津田宗直;シャボテン,24-5,13,(昭和11年)