33 王冠玉(おうかんぎょく)
Gymnocalycium sutterianum Berg.
写真の球の栽培者 大阪市 山名利三郎 氏 径約5cm 輸入球カキ仔


Backeberg 1)は主としてBerger 2)の記載を引用している。それによると体形は偏平で頂点には棘がなく、稜数約10稜、コブ状突起はやや長く、いくらか竜骨状を呈する。横溝は小さく深く切れ込んでいる。
アレオレは最初白い綿毛でおおわれている。棘は大抵5本で、白灰色で細長く、横に伸びるか少し後方にそっている。斜め下に伸びた棘は約1.5cmで、下向きの1本は少し短い。
花は大きく、白味がかった桃色で、赤味のある中筋がある。花筒は大きく花弁の長さと同じ位である。
Bergerは細長いという表現をしているが、Backebergはそれを否定して、大抵の場合大体同じであると記している。
下の方の棘座の上から仔吹きする。産地は征冠玉と同じアルゼンチン、コルドバ州のChica山脈である 1)。
解説の文だけで比べると、征冠玉と王冠玉の違いは極くわずかで、棘の数も絶対的なものではない。
この2種の他にBackeberg 1)も指摘しているように G. stuckertii(万珠玉)やG. capillense(桃冠玉)等が近似しており、再調査が必要であろう。
Bergerが肌色の相違を挙げているが、これも栽培環境によって変わるから決定的なものではない。
Backeberg 1)も3枚の写真をのせているし、その1枚(Abb.1641)は王冠玉によく似ている。
Borg 3)はG. denudatum(蛇竜丸)の変種又は交配種の可能性があることを指摘している。

参考文献
1)Backeberg;Die Cactaceae,V,1714(1959)
2)Berger;Kakteen,220,(1929)
3)J.Borg;Cacti,p297,(1951)