32 征冠玉(せいかんぎょく)
Gymnocalycium sigelianum Berg.
写真の球の栽培者 東京都 小蔦 明 氏 径約6cm 輸入原産地球


扁球形で径5〜7cm、頂点には棘がない。肌色は褐灰色又は暗褐緑色、稜は約10で低い。
アレオレは丸く、1〜1.2cmはなれ、棘座の下はわずかに突出し、横溝がはっきりとついている。
アレオレは初め白い綿毛でおおわれている 1)。
棘は通常3本 1),2)で、2本は横に広がり、1本は下向きに出て瘤に接して伸び、先の方で上方にカーブする。
長さ1〜1.5cm、下向きの1本は少し短い。棘は頑丈で、先端が少し暗色がかった褐灰色である。
花は比較的大輪で、漏斗状 3)、径7〜8cm、内弁は淡桃色で、より濃い中筋が入っている。
花喉の内側は紫紅色 3)、ガク片は褐色がかった中筋が入る 1)。花糸は白色、葯は黄色 3)、花筒はせいじ色 3)。
Backeberg 1)はこの植物を採取したHosseusの言葉を引用して「変化が色々あって、1つの植物について、3本、5本、7本の棘が見られるが、3本棘のものが G. sigelianumの典型としたい」と言っており、G. sigelianum、G. sutterianum、G. capillense を区別するむつかしさを指摘している。
ちなみに写真の球は、昭和34年輸入された球で、最初は3本棘であったが、栽培の関係からか、現在では5本棘となっている。昭和39年6月、サボテン誌に発表された 4)。

参考文献
1)Backeberg;Die Cactaceae,V,1713(1959)
2)J.Borg;Cacti,p298(1951)
3)伊藤芳夫;サボテン図説,p195,(1957)
4)小蔦 明;サボテン,No.61(日本サボテン協会)(1939)