31穹天丸(きゅうてんまる)
Gymnocalycium chubutense Speg.
写真の球の栽培者 守口市 庵田 知宏
氏 径約5cm
南部アルゼンチン、Chubut州産の九紋竜系のもので、球形から円筒形に育つ。体色は灰緑色で、稜数約15、輸入種子の実生苗は九紋竜よりも稜がオノ状に突出していおり、棘座の下にイボを形づくっている。
アレオレは約2cmはなれていて、いくらか凹んでおり、棘座の上には稜に切れ込みがある。
棘は5〜7本、中棘1本が、体からはなれて伸びている。棘色は淡褐色、針状で硬い。Backeberg
1)は中棘0か又は古いアレオレから1本出ることもあると記している。又棘色についてはネギの様に濃くはないが白粉を帯びた黒灰色という表現をしている。
花は九紋竜よりも花首がみじかいが、大きく長さ8.5cm、径4cmであるという
1)。花色は純白色。
Backeberg 1)のこの品種の項にあるノートによると、Hosseusの採集時の記録をのせ、本種は主として近寄り難い断崖に生えており、採取しにくい。それに対してG.
brachypetalum(鬼胆丸)は平坦地に生えている、とある。
本種は古くから日本に渡来していたらしいが、穹天丸という名前だけは残っていたが、現物が絶えていた
2)様である。サボテン日本23号にそれを記したが、その後種子が入った。現在栽培されているのはこれらの実生苗である
3)。
参考文献
1)Backeberg;Die Cactaceae,V,1758(1959)
2)山名利三郎;サボテン日本,23,p14,(1961)
3) 〃 ;ibid,42,p15(1964)