23 翆晃冠
Gymnocalycium anisitsii Br. & R. 1922
写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏 氏 径約8cm


体径10cm位までは偏円状であるが、次第に円筒状となる。体色は小苗のうちは鮮緑色で少しつやがあるが、大球になるとやや緑が濃くなり、つやも少なくなる。
稜数8〜11、稜は真直で、あまり高くなく、丸味をもったコブ状で、アレオレの下には短い稜線の跡があり、小さな切れ込みが稜を区切っている。アレオレは小さくだ円形で、綿毛は少ない。
棘は5〜7本、針状で不規則に乱れて伸び、長さ4〜6cm、中棘ははっきりしない。棘色は白色から象牙色を帯びた白色で、先端がやや褐色がかっている。
花は径4cm位のロート状、中輪で、外弁は白色に緑褐色の筋があり、内弁は白色でより小さくあまり外側に開かない。葯は灰色 1)で、花糸、花柱、柱頭は白色 2)。多花性で春から秋まで次々と続開する。一輪の開花日数も長く、数日間開く。花そのものはそれほど美しくないが、良く開花することで素人向けに喜ばれている。
5〜6cmになると時々仔吹きする。
産地 パラグアイ Rio Tigatigami 3),4)。
市販の翠晃冠には、棘が5mm位しか出ないものや、棘も短く直刺で中棘のはっきりしたものや、又ピンク色の花の咲くもの等あるが、麗蛇丸、明宝丸、牡丹玉等との雑交配種であろうと思われる。

参考文献
1)伊藤芳夫;サボテン図説,p171,(1957)
2)Borg;Cacti,p296,(1951)
3)Br.&R.;The Cactaceae,V,159,(1922)
4)Backeberg;Die Cactaceae,V,1779,(1959)


追加資料

翆晃冠
Gymnocalycium anisitsii Br. & R. 1922
写真の球の栽培者 西宮市 團上 和孝 氏 径約12cm

翆晃冠は非常に普及しているにもかかわらず、本来の形質を持つものが非常に少なくなった品種です。
これは美しい斑物作出のために、紫色などの色合いを持つ麗蛇丸と交配が繰り返されてきたためと考えられ、現存する翆晃冠はその殆どが刺が短いものになってしまっています。
しかし本文にもある通り、翆晃冠の刺は本来少なくとも4cm程度の長さはあるものです。
この写真の球は今では少ない、翆晃冠の形質を良く残している球と思われ、このような球を今後は選別して行っていただくようお勧めしたいと思います。