19 天賜玉(てんしぎょく)
Gymnocalycium pflanzii Werd.
写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏 氏 径約9cm


単幹であるが、下の方に時々仔を吹く。半球形で新天地に非常によく似ているが稜の形が新天地の様にダルマ状にならず生長点近くでは巾が細く、下部では巾広くなり、コブ状の隆起がアレオレの所で突出している。肌色は光沢のない黄緑色でざらざらしている。産地では径50cm位になるという1)。
アレオレの下にはコブがなく、棘座の間に弓形の切れ目がついている。棘座間は約4cmはなれ、帯黄白色の綿毛が吹き出すように出る。棘は新天地に比べ少なく、8〜9本、中棘のあるものと外棘だけのものとがある。錐状の棘はややそり返り、赤褐色で先端がやや黒く、次第にざらざらした棘になる。長さは2.5cm位。棘の形に色々なタイプがあり、最近輸入されたものには殆ど直刺のものもあった。
花は長さ、径共約5cm、蕾は新天地よりとがっている2)。花弁は白色から鮭肉色3)でいくらか紫色にふちどられ、花糸、花柱が紫色なので底の方が紫色に見える。
産地はボリビアのPilcomayo河の砂の斜面1)と記されているが、アルゼンチン北部にも延びているらしく、少しタイプの異なったものが輸入されている。直刺のものはおそらくアルゼンチン産のものであろうと思われる。筆者がかつてA型とB型の2つにタイプの違いを分けてみたが4)、最近の輸入球を見ると、もっとタイプ変異が大きいように思える。

参考文献
1)Backeberg;Die Cactaceae,V,1772,(1959)
2)J.Borg;Cacti,p304,(1951)
3)伊藤芳夫;サボテン図説,p203,(1957)
4)山名利三郎;サボテン日本,23,15,(1961)