16a 天主丸
Gymnocalycium schickendantzii var. delaetii Backbg

写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏氏 直径10cm


伊藤1)は種として扱っているが、Backeberg2)、Borg3)等は変種としているので、その説をとって一応学名は変種として記載した。

波光竜との相違点について、伊藤1)はより偏円状に育ち、稜がよりとがったイボにくずれ、棘が約8本でやや櫛歯状に出る。花はより長く(6cm)、色はより濃色でしかも濃色の中筋がある、と記しており、Borg2)はより丸い突起をもち、棘はよりみじかく、花はより長く、蕾の時赤味がかっている、としている。
Backeberg3)はコブがより丸く、つながっていないことと、蕾と鱗片が赤いことをとり上げている。
Br.&R.4)が記載している様にK.SchumannがE. delaetiiの学名で波光竜を記載した点、又我国ではかつて波光竜のことを天主丸と言ったこともあるし、波光竜の種子をまけば波光竜しか出ないが、天主丸を播けば波光竜と天主丸が出ると言われていること5)等、不明な点もあり、現物を見ても波光竜にも色々なタイプがあって特に区別する程の大きな特徴を見出し得ないので、天主丸は波光竜の一つのタイプと見ても良いのではないかと
考えている6)。

参考文献
1)伊藤芳夫;サボテン図説,174頁,(1957)
2)Borg;Cacti,P301,(1951)
3)Backeberg;Die Cactaceae,V,1778,(1959)
4)Br.&R.;The Cactaceae,V,164,(1922)
5)山名利三郎;シャボテン,36,31,(1962)
6) 〃 ;サボテン日本,23,18,(1961)

(山名利三郎)