15 叫竜丸(きゅうりゅうまる)
Gymnocalycium intermedium
写真の球の栽培者 東京都 小蔦 明 氏 直径10cm


体形は偏球形から次第に球形になる。肌色は蛇竜丸に似てやや濃い緑色 1)、新棘は黄色で次第に灰褐色となる。中棘はなく、7本の針状棘がねじれて肌に密着する。小苗のうちは海王丸とよく似ているが、大きくなるにつれてアレオレの下の突起がいちじるしくアゴ状を呈し、丁度モンビー玉に似たコブとなる。
花は純白で大輪 1)、蛇竜丸よりも美しい 2)と言われる。
Rother 2)によれば、G. monvillei(モンビー玉)又は denudatum(蛇竜丸)とmultiflorum(多花玉)の交配種であると言い、Backeberg 3)及びBr. & R. 4)はmonvillei 又は multiflorum と denudatum の交配種であるとしている。おそらく原産地での自然交配であると思うが、その体形からして海王丸とモンビー玉の交配種ではないかと思う 5)。産地パラグアイ
この写真の球は平尾 6)によって紹介され、小蔦氏もサボテン誌上 1)で写真を発表された。
昭和11年、佐野孝雄氏により譲られたもので、おそらく標本球はこれ1本であろう。
従ってこのかき仔が相当広く行きわたっていることと思うが、交配せずにそのまま残しておきたい品種である。

参考文献
1)小蔦 明;サボテン(日本サボテン協会)No.23
2)W.O.Rother;Kakteen,p120
3)Backeberg;Die Cactaceae,V,1702(1959)
4)Br. & R.;The Cactaceae,V,155(1922)
5)山名利三郎;サボテン日本,23,12,(1961)
6)平尾秀一;シャボテン,18,4,(1958)