13a 万朶玉(まんだぎょく)
Gymnocalycium bruchii var. hossei Backbg
写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏氏
原種の羅星丸に近似しているが、変種としての特徴はその花弁にあるといえる。
この写真の球はドイツのウインター商会からvar.hosseiとして種子で入ったものであるが、その特徴である花弁は全く羅星丸と同一で、従って文献1),2),3)記載のものとは違っている。
Backeberg2)によれば不規則に並んだねじれ曲がった花弁の大輪花で、部分的に細く尖っているという。
即ち、その写真を見ると、花弁の先端が更に細く突出していて一種独特の形をしている。
新刺はいくらか肉桃色で不明瞭ではあるが、中刺は時折分かれている2)。
伊藤3)によれば、羅星丸との相違点は刺はより多く、中刺はなく、花の記載はBackebergと同じで、花弁は深く切れ込んでいて、乱れよじれていると記している。
又、Backeberg2)は鱗片がとがっていて、桃色にふちどられており、これは他にない形であると記している。
KaktusABC1)にはすでに写真が載せられている。
ドイツ種子の実生苗が万朶玉としての特徴を持たないと同様に、日本に在来からある羅星丸系のものに、このような花弁の細くとがった、しかもよじれたものは今のところ見ていない。
少なくとも文献記載1),2),3)通りの花弁の乱れている万朶玉は、羅星丸とはちがった趣があり、仲々良い品種である。
入手出来た時、改めて写真を撮り直したい。
参考文献 1)Backeberg;kaktusABC、p,286(1935)
2)Backeberg;Die Cactaceae V、1699(1959)
3)伊藤 芳夫;サボテン図説、p.205,(1957)
追記
var.hossei万朶玉の他に羅星丸の変種にvar.spinosissimum白蜘蛛と言うのがあるが、現在大部混乱してしまっていて、入手する度毎に色々なタイプのものが入ってくるので、しばらく記載をひかえておきたい。
伊藤3)は羅星丸のより多くのせんさいな刺を密生したもの、と記している。 (山名利三郎)