13A&B 羅星丸A型及B型
Gymnocalycium bruchii Hoss. TypeA & B
写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏氏
今更説明するまでもない位の普及品で、誰でも数本は所有しているので、つい駄物扱いされがちであるが、春のきざしが見えはじめる頃、ギムノ全品種中、真先に蕾をもたげ、ピンク色の可憐な花を多開させて楽しませてくれるので、第一番に移植してやりたくなる品種である。
小型種で成球から円筒形で、基部からたくさん仔吹きして芝生状に群生する。
一球の直径最大6cm位まで。
肌色は緑色、稜数約12、稜は非常に低く、丸いコブ状でギムノ特有のアゴ状突起はなく、痕跡がある1)。
アレオレは5mm位の間かくで密接して並び、白い綿毛を少しつけている。
刺は長さ5mm位の細い剛毛状、12〜15本がヒゲ状で体に密着して放射する。
刺色は文献1)、2)によると白色からやゝガラス様の透明な色で、刺の根元はやゝ褐色を帯びていると記されているが、日本で普通羅星丸と呼ばれているものは刺の色に巾があり、桃色の濃いものから白色のものまである。
我々はこの刺の白いものを白羅星と呼んでいる(これを今A型としておく=写真の球)。
それに対して刺の赤いものを赤羅星と呼んでいる、3)、4)(これをB型としておく)。
中刺はないが、時に1本出ることもある。
伊藤5)によれば、中刺1〜2本でより長く(約1cm)突出すると記載している。
文献1)2)5)に記された白色刺で中刺をもつものを所有しているが、これが羅星丸の原種があるかどうか、もうしばらく観察したい(これを仮りにC型としておく)。
記載のものと同定された時にC型(=典型種)としてあらためて記載したい。
花はロート状で長さ約3cm、直径3.5〜5cm、外弁の先端は丸く、内弁はやゝとがっている。
外弁の外側は緑がかった褐色1)を帯び、内弁はうすいピンクでやゝ濃い中筋がある。
赤羅星はピンク色がより濃い。
花弁の巾は4mm位。
雄蕊は多く、花糸は白色、花柱はクリーム色、柱頭は黄色で8裂、子房は短く、従って果実は殆んど球形である。
鱗片は少ない1)。
2月の終わり頃にはすでにつぼみをのぞかせ、3月中頃には次々と開花し、5月中頃まで続用する。
開花日数も長く3〜4日、(Vauplによれば3日2))。
原産地はアルゼンチン、ゴルドバ州の山脈地帯、Alta
gracia,La Falda2)。
産地のLa Faldaから、最初Etus.lafaldenseとして記載されたのが、HosseusによりG.bruchiiと変更された。
従って羅星丸という和名はこのラファルデンセから来ているという説がある3)。
大きなゴボー状の塊根を有し、フラレイアとよく似ていることから、かつてはFrailea属に入れられ、又桃園という異和名をもっていたこともある。
この塊根から本種は山地性で、しかも岩のわれ目とか岩石の露出した斜面等に着生しているのではないかと想像される4)。
Britton&Rose(1922)はこの品種を記載していない。
又津田宗直氏の仙人掌栽培法の中にも顔を出していない。
BackebergのkaktusABC7)にくわしくでている。
1961年9月の輸入原産地球の中に羅星丸ではないかという品物があったが、花の形、色、花期及び体型が偏球形であること等からみて、火星丸に近い別物(おそらく新種?)であろう。
現在日本にある羅星丸は、細かく分けると7〜8通りのタイプがある3)。
しかし一応白羅星と赤羅星に大別されるが、実際には2つの呼び名だけでは形がとれないものである6)。
(山名利三郎)
参考文献 1)Borg;Cacti p.303,(1951)
2)Backeberg;Die Cactaceae V、1698(1959)
3)山名利三郎;大阪サボテンクラブ会報、24,(1961年5月号)
4) 〃 ;サボテン日本、23,16,(1961)
5)伊藤 芳夫;サボテン図説、p.204,(1957)
6)庵田知宏;サボテン日本、23,10,(1961)
7)Backeberg;kaktusABC、p,285(1935)